--大室さんは二回目の登場となります。まずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

大室「パートナー事業部長兼海外事業担当の大室旭です。主な業務内容はパートナー企業様の新規開拓、既存パートナー企業様とのリレーションを中心に、クラブ収益につなげるための業務にあたっています。」

 

--開幕直前にエイベックス・エンタテインメント株式会社様(以下、エイベックス)とのパートナー契約というビッグニュースが飛び込んできました。まずはどのようなきっかけでこの話が浮上したのでしょうか。

大室「エイベックスさんに限らず町田と縁がある企業様はリストに入っていましたし、その中でエイベックスさんの創業地が町田であることは知っていました。

そしていつの日か、パートナー企業になってほしいと考えてきました。

町田との縁だけに限らず、エイベックスさんは本社サイバーエージェントとの繋がりなども多くの接点があることやパートナーになっていただくことでの連携イメージも持っていました。」

 

--長年の悲願だったのですね。

大室「長年っていうわけではないですが、そうした想いを抱えていたところ、スタートとして2年前に長年スタジアムDJを務めて下さった和田タスクさんが退かれたタイミングに新たなスタジアムDJの方を探している中で、エイベックスさんにご相談しました。その結果、昨年からエイベックスさんに所属しているmotsuさんにスタジアムDJになっていただいたことが、1つのきっかけとなりました。」

 

--大室さんは以前、エイベックスに務めていたというお話も聞きましたが、それも影響したのでしょうか。

大室「残念ながら私自身が以前、エイベックスさんにお世話になっていたことは影響することはなかったと思います(笑)。

ですが、motsuさんとの接点を作る中で、以前一緒に働かせていただいたエイベックスさんの方にも協力いただけましたし、昨年夏の「まちだ漢祭」にSEAMOさんにご出演いただいた時もご尽力いただいたので、今回のパートナー契約締結に関してもその方たちが大きな力となりきっかけになったことは事実です。大変感謝しています。」

 

--交渉の過程でどんなことが大変でしたか。

大室「今回のお話は2023シーズンの終盤に一気に動き出しました。スピード感に関しては、エイベックスさんも新シーズンの開幕に間に合わせたい意向はお持ちでしたし、他の企業様からのユニフォームパートナー検討もある中での調整もありました。またユニフォームの鎖骨部分となれば、それなりのご協賛金にもなるため、そのあたりの調整は大変でした。」

 

--決まった瞬間の喜びも大きかったのでは。

大室「今回の契約についてはかなり短期間の中で多くの方が関り、大きな契約をまとめていただき開幕に間に合わせることができたことについて先ずはエイベックスさんには大変感謝しています。

その中で、エイベックスさんとパートナー契約を締結できたことは、スポーツ業界への話題性もあると思いましたし、ファン・サポーターの皆様から大歓迎されると考えていました。

個人的にも以前お世話になったところと違った形でご一緒できることはわくわくしました。」

 

--ガンバ大阪との開幕戦には、松浦勝人会長が観戦に来て下さったと聞いています。

大室「松浦会長が町田GIONスタジアムに来て下さったことは純粋にうれしかったです。その様子をYoutubeにアップしていただいて、「楽しかった」という感想をいただけたことは嬉しかったです。ぜひ次は勝利の試合をご覧いただきたいと思います。」

 

--エイベックスにとって、地元と言っていい町田のサッカークラブであるゼルビアに対しての熱量も高いのでは。

大室「ご担当の方とコミュニケーションを取る中で、パートナー契約だけにとどまらず、いろいろな形で連携していきましょうといったお話をさせていただいておりました。分かりやすい面で言うと、開幕戦のハーフタイムにエイベックスさんの所属アーティストである『僕が見たかった青空』さんにライブパフォーマンスをしていただいたように、エイベックスさんの所属アーティストさんに「天空の城 野津田」までお越しいただくことや、エイベックスさんのMD部分でのナレッジ協業なども今後できればとは考えています。その他には多くのイメージはしています。今後さまざまな可能性が広がっていくと期待しています。」

 

--選手たちの反応はいかがでしたか。

大室「選手たちからのSNSでの反応も多かったです。またエイベックスさんは誰もが知るエンターテイメント企業なので、すごいアーティストがホームゲームに来るんじゃないかといった期待を抱いているようです。もっとクラブが変わっていくのではないか。そういった期待感も持ってくれたようです。ありがたいですね。」

 

--社内スタッフの反応はいかがですか。

大室「パッと会社のことがイメージできるだけに、こういうことが一緒にできるのではないか。選手と同様にあのアーティストの方がホームゲームにお越しいただけるのではないかと、具体性を持って夢のような話をできるのでは、という期待感に包まれています。」

 

--先ほどのお話のように、パートナー企業締結後、初めてエイベックスの所属アーティストがライブパフォーマンスをされたのは、『僕が見たかった青空』さんでした。ファン・サポーターからはどんな反応がありましたか。

大室「来城が決まった際は、引用リポストの数がトップクラスでした。そういった反応を見ると、サッカークラブとしての価値観と、音楽を中心としたエンターテイメント企業の価値観が掛け合わされることで何かが生み出されていくのではないか。そういった期待感を持ちました。」

 

--エイベックスを筆頭に、今年に入っても、新規のパートナー企業が増えている印象を受けます。事業部サイドとしての手ごたえは、いかがですか。

大室「広告収入は毎年上がっています。今までは町田市内の企業様が多かったですが、近年は都心の企業様も増えました。そして大手企業様がパートナーになっていただくケースも増えたことも大きな変化の1つです。

新規の都心企業様が増える中でも既存の町田の企業様にも引き続きご協賛いただけていますし、J1の今シーズンは多くのパートナー企業様からご協賛を増額いただきました。

増額いただいている部分は外に出るところではないですが、大変感謝しております。」

 

--増額されてもご継続いただけるのはありがたいですね。

大室「J1に戦うステージが上がったので、このタイミングでの増額をご相談する中でも、引き続きご協賛いただいていることには感謝しかありません。」

 

--最近は都心のパートナー企業が増えている要因はどんなことが考えられますか。

大室「我々も東京のJ1クラブであることが要因の1つですし、またサイバーエージェントグループであることも大きいです。さらに我々は、J参入という意味では後発のクラブですが、今回のエイベックスさんやKDDIさんが新たなパートナー企業様になっていただくことで、クラブへの興味や期待感など他Jクラブと違う動きがある印象づけができていると感じています。」

 

--とても良いサイクルが循環しているのですね。

大室「サッカーが好きな都心の経営者の方から見ると、「ゼルビアは勢いがあるクラブ」と言っていただけることが多いです。また都心から30、40分で行ける距離であることも魅力的に映るという話も良く聞きます。とてもありがたい話です。」

 

--今後の発展性も見込めるお話です。

大室「もちろん、現在5名のパートナー事業部メンバーの奮闘も大きな力になっています。毎年増えている新規パートナー獲得も私自身非常に心強いです。また、パートナー企業様との新たなアクティベーション設計など簡単なことではないですが、常に前向きな姿勢で取り組んくれています。

私を含めて、全員がJ1のステージで仕事をすることは初めてのことになります。

初めてのステージで大変な部分もある中でも本当にメンバーの頑張りに感謝しています。」

 

--業界での経験も長いですが、ゼルビアの良いところは何でしょうか。

大室「他クラブと比較して全体的に若い組織であることは大きな特長だと思います。私たちは感動や夢を与えるという意味では、新たな仕掛けなどを求められます。

もちろん若いからそのあたりの感度があるがイコールにはならないですが、学生含めた幅広い層がいることで多くの情報や刺激はあると感じています。

あとは先ずはトライしてみるといった雰囲気はあると思います。

それもゼルビアの強みだと思います。」

 

--営業職の責任者として大事にしていることは?

大室「1つの企業様から協賛金をいただくことは決して簡単ではありません。企業のトップの方がサッカー好きだからゼルビアが好きだからと言って、協賛を出していただけるものでもありません。

企業として協賛をしていただくには、しっかりその企業様のニーズに答えた提案をしていく必要があります。その中でしっかり必要に応じて少しでも企業様の課題解決ができるような提案や定量的なデータを提出しないといけません。」

 

--なるほど。データなどを活用し、説得力を持たせるのですね。

大室「アプローチ先も企業様も株式会社であるため、ビジネスサイドとしてのメリット提示もさせていただいております。これまでは「このサッカークラブが頑張っているから支援しよう」という流れが多かったように感じます。その気持ちもクラブとしても大変嬉しいお話です。そしてこれからもそう思っていただける部分も大事にする必要もあります。ですが、しっかりビジネス面においてもパートナー企業になって良かったと言える実感がなければ、長続きはしないと思っています。」

 

--情熱や熱意だけに訴えるのではなく。

大室「前回に登場した際にお話をしましたが、ゼルビアのことを“自分事”になっていただくことも重要だと思っています。パートナー企業様と良好な関係を築けているなと実感できる1つの私の中での指標が、パートナー企業様の方がゼルビアのことを「ウチのクラブ」という言葉が出た時には、ゼルビアが自分事になってくれた瞬間だと感じます。そういうコミュニケーションが生まれた時は、やっていて良かったと強く思えます。そのためには試合にお越しいただくこと、ビジネス面においても面白い取り組みをする必要性を感じています。」

 

--ゼルビアを福利厚生の面でも活用していただく形ですね。

大室「パートナー企業になっていただきゼルビアをフル活用していただきたいです。その他には長期的にご協賛いただけるように、たとえ少額でも10年、20年続くことで見えてくるものもあるので、単年ではなく長く続くような関係性を築くことも重要視しています。」

 

--さまざまな可能性が広がることもアピールポイントになりますね。

大室「ピッチへの露出だけではく、ゼルビアのことを福利厚生の面で使っていただくことや、企業が抱える課題を解決するためにサッカークラブは活用できると思います。新たな取引先を見つけたいといったケースでも、我々には200社近くのパートナー企業様があります。ゼルビアを応援しているというコミュニティーで新たなビジネスに繋がることもありますから。」

 

--ゼルビアというコミュニティーでビジネス上のマッチングが実現できるわけですね。

大室「単純な広告効果だけではない、副次的な効果もありますし、「ゼルビアを使い倒したい」と思っていただける方は、いろいろな接点を作ることができると思います。多くの業種のパートナー企業様がいるのでその中で繋がっていただきたいと感じております。

そこをしっかりクラブとしても作っていきたいと思います。」

 

--自身の業務領域において、今後ゼルビアがどうなっていくと思いますか。

大室「昨年と今年はユニフォームパートナーが全て埋まりましたし、ゴール裏にはLED看板を入れることができました。色々なトライにしっかりご協賛をいただけています。

その中でもっとクラブとして成長するためには広告料を増やし、ジャンプアップしていく必要があります。そのためにも外貨を獲得していかないといけないとも思っています。もちろんこれまでの既存のパートナー企業様との連携も大事にしつつ、新たな取り組みとしてトライしていきたいですし、今後発展的がある部分だと感じています。」

 

--挑戦的な取り組みですね。

大室「サッカーは世界共通のスポーツですから、国外からも協賛を獲得する必要性を感じています。J1に昇格し、クラブの成長スピード感で言うと、それぐらいの目線は持っておきたいです。」

 

--やはり対外的なJ1昇格のインパクトは大きいですか。

大室「先日の名古屋グランパス戦で初勝利を飾った日の夕方のNHKのニュースに取り上げられていることや、新聞に載ることの効果は大きいです。パートナー企業の皆様にも「ここに露出されています」と報告できるのはうれしいことです。また先ほどの海外へのアプローチの話ではないですが、国内のトップリーグにいるクラブとなると見方も変わってきます。トップカテゴリーにいることの重要性は、この数カ月で実感しています。このチャンスを活かさなければならないと思っていますし、今のパートナー企業様を大事にしつつ、新規開拓も頑張っていきたいです。」

 

--最後にファン、サポーターの皆様へメッセージをお願いいたします。

大室「パートナー企業様関連のリリースを出した際に、ファン・サポーターの皆様からたくさんSNSでの反応をいただくのですが、パートナー企業様もやはり気になるので見ています。より拡散していただけるように工夫はしていますが、例えばXでの発信の際に「いいね」や引用リポストをしていただくことで、ファン・サポーターの皆様の声を企業様に届けられるのは非常に大きいです。今回のエイベックスさんのリリース時も多くの反響と広がりは見えました。引き続きSNSでの反応をお願いいたします!そしてぜひパートナー企業様のサービスや商品を購入して下さい! よろしくお願いいたします。」

 

●編集後記・・・

二度目の登場となった大室さん。

毎年パートナー企業からの広告料収入をUpさせている、パートナー事業部。

その先頭を走る大室さんの役割はクラブにおいて非常に重要な存在です。

 

今回のエイベックス様の締結を聞いた瞬間クラブ内でも歓喜の声が上がりました。

 

地元企業であり、エンタメ業界では誰もが知る大企業。

そのような企業に支援をいただけるほど、クラブも大きくなってきました。

 

地元「町田」を大切にしながら、着実に前進していければと思います。

多くのご支援をいただき、多くの感謝の気持ちを胸に、一歩ずつ前進していきます。

 

今後の海外展開にもご注目ください。

 

(MACHIDiary 編集長より)