--お2人は2度目の登場となります! まずは自己紹介をお願いいたします。

三好「パートナー事業部セールス課の三好亮輔です。2012〜15年までFC町田ゼルビアユースでプレーしていました。そして2022年1月に株式会社ゼルビアのフロントスタッフとして戻ってきました。ユース在籍時のポジションはMFでした。」

小池「マーケティング部地域振興課の小池万次郎です。2010〜15年の中学から高校までFC町田ゼルビアのアカデミーに在籍していました。当時のポジションはサイドバックやセンターバックです。入社日は三好と同様に2022年1月です。」

 

--前回のご登場から約1年半経ちましたが、仕事には慣れましたか?

三好「自分のやるべきことやミッションを理解した上で業務にあたっています。前回取り上げていただいた際は、良い意味で怖い者知らずでしたし、「とにかく頑張ります!」とやる気がありましたが、今はそのやる気をどこに向けるべきか。どういったことをするのが組織やゼルビアのためになるのか。そういったことの理解は深まったと個人的にはそう思っています。」

小池「慣れたと言えば慣れましたが、仕事をする上でできることが多くなってきた分、まだまだやらないといけないことがあります。また地域振興課の活動を通して、町田に出て行くとまだまだ知らないことがありますし、やるべきことがあると痛感しています。やればやるほど見えてくることがあるのは、ありがたいことではありますが、仕事に慣れた分、新たに別の難しさを感じています。」

 

--ご自身の仕事内容について教えて下さい。

三好「パートナー事業部では、ゼルビアを支援して下さるパートナー企業様と向き合う業務をしております。パートナー事業部の業務は、既存のパートナー企業様の窓口になることと、新規パートナー企業様を開拓するこの2つに大きく分かれています。約170社のパートナー企業様がある中で私は町田市内の企業様を中心に70社ほどを担当しています。新規のパートナー企業様を開拓する場合は、ご支援いただくことにどんな意義があるのか。そういったことをお伝えしながら、新規開拓に取り組んでいます。」

 

--ここまで印象に残っているパートナー企業様とのやり取りは?

三好「我々がアカデミーに入る前からご支援いただいている企業様は、特にゼルビアに対する想いが強いですし、その想いを聞くたびに、自分にできることをこのクラブで成し遂げなければならないという気持ちを強くしています。また新規開拓という意味では、東急ツインズ様に町田駅へ特大のゼルビアの看板を出していただきました。私自身がアカデミーに在籍している際に、もっと町田駅周辺にゼルビアの色が出たら良いなと思っていた中で、その願いと企業様との想いがうまく噛み合う形で実現しました。ファン・サポーターの皆様にも喜んでいただけましたし、企業様にとってもゼルビアを応援して下さっているブランディングを構築することにも繋がりました。またクラブとしても宣伝ができたため、できて良かったと思える施策です。」

 

--お披露目された時の喜びは格別だったのでは。

三好「東急ツインズ様と社内の協力があってこそ実現したことです。施工に関しては、夜の23時から翌朝の5時まで掛かりましたが、それにも立ち会いました。冬の時期でとても寒く、途中で眠気も襲ってきましたが、出来上がった時の感動は大変だった分、喜びも大きかったです。もちろん、完成した時は社内でご尽力いただいたマーケティング部部長の田口智基さんと一緒に看板の前で記念撮影をしました(笑)。」

 

--次に小池さんの業務内容をお話いただけますか。

小池「地域振興課は主にホームタウン活動と称される活動をしています。ちなみにホームタウン活動は大きく分けて3つあります。私と地域のステークホルダーという意味では、主に小学校や中学校を筆頭とした教育機関への訪問活動、また街中でのポスター、横断幕やのぼりなど、そういった掲出物を掲出する【青く染め隊】もホームタウン活動に含まれます。さらに地域のイベント事に参加することも、地域振興課の業務にあたります。」

 

--過去のホームタウン活動の中で、印象に残っていることは?

小池「一番多くの時間を割いている活動が町田市内の教育機関への訪問活動です。春先の小学校では下敷きの配布活動をしております。またクラブマスコットであるゼルビーや選手にも協力をいただきながら、全42校に対して、昨年と今年も2年連続で訪問してきました。サッカー教室も含めて、訪問先では「万ちゃんコーチ」や「万ちゃん」と呼んでほしいと呼び掛けていますが、それを覚えていて下さり、週末のホームゲームで僕を見掛けた際に「あ、万ちゃんだ!」と声を掛けて下さることが今年は増えてきました。入り口が何であれ、ホームゲームに足を運んで下さることは、地道なことではありますが、ホームタウン活動をやってきて良かったと思える瞬間です。」

 

--それはうれしい出来事ですね。

小池「【青くそめ隊】では、野津田のスタジアムから3km圏内を担当させていただいています。町田駅周辺では後援会の方々にもご協力をいただきながら、ご挨拶周りの活動やチラシ配りなどの活動をさせていただいています。その中で交流があることや、「楽しかったからまたやってほしい!」と言って下さることは、コロナ禍を経て、少しずつ状況が変わる中で自分自身のやりがいに繋がっています。宣伝の意味合いはありますが、ホームタウン活動をクラブとファン・サポーターの皆様が交流する場として活用できていることがとてもありがたいですし、それこそ地域振興ならでの活動だと思います。」

 

--コロナ禍も落ち着いていることで、ゼルビア朝礼も復活しました。

小池「ゼルビア朝礼は昨年の終わり頃から復活し、今後も年内は何校かご依頼のお話をいただいています。私もゼルビーと共に壇上に上がらせていただいておりますが、今は東京都議会議員である星大輔さんの代からスタートし、上司の野村卓也さんが繋いできたものを私が引き継ぐ形で続いています。ゼルビア朝礼は全校生徒の前で実施することなので、重みもあります。また夢の話を少しさせていただき、最後はゼルビーと共に元気良く「ゼルビアコール」をやって終わる形です。私自身、とても励みになっています。」

 

--最近はホームタウン活動に選手が参加するケースもあると思います。選手が参加したホームタウン活動で印象に残っているものは?

小池「選手がホームタウン活動に参加すると、子どもたちの目の色が違うなと実感します。また選手自身にもゼルビアならではのホームタウン活動を実感してほしいと思っています。子どもたちにとっては、選手たちが訪問をすると、本物を感じられる貴重な場になりますし、それが一番大きいです。また選手たちも自分の想いを言葉にできるので、とてもありがたいですし、助かっています。選手たちに対しては、自分の言葉で伝えてほしいということだけは事前にお願いしています。その他には例えば三輪小学校に布施谷翔選手と訪問した際には布施谷選手が「翔と呼んでね!」と呼び掛けていましたし、三輪緑山ベースで布施谷選手のサインをもらったファンの方が三輪小学校に通っていたりと、そんなほっこりとしたエピソードもあります。」

 

--三好さんは最近、年間売上目標を達成したとか。

三好「そうなんですが、大前提として、我々も株式会社ゼルビアという企業である以上、利益を出さなければいけないですし、パートナー事業部はそのための重要な役割を担っています。私個人の当初の年間目標を達成できた一方で、部内の協賛金の目標額にも到達しましたし、ユニフォームの掲出箇所も全てのパートナー企業で埋まりました。そういった意味ではとても良い成果が出たシーズンです。」

 

--新規のパートナー企業もとても増えている印象です。

三好「既存のパートナー企業様や新規の企業様に対しては、経営サイドも強化サイドも生まれ変わった中で、「改めてJ1を目指しましょう!」ということを強くお伝えさせていただいた結果、目標に到達できました。ありがたいことにチーム状況も良い影響をもたらしています。トップチームの成績が良いことで、新規のパートナー企業様も増えましたし、パートナー企業の皆様が既存、新規を問わず、ゼルビアを応援したいと思って下さった結果です。」

 

--クラブの体制の変化とトップチームの好成績も追い風になったのですね。

三好「それはあります。ありがたいことに注目度も高まっていますし、ゼルビアを応援すること自体がクラブの企業価値を上げることに繋がっているとご理解いただけています。中にはパートナー企業様の社内の福利厚生や採用の部分で生かしていただけているようです。また「パートナー企業になった際のメニューを教えてほしい」といった問い合わせも増えています。とてもありがたい状況が生まれています。」

 

--個人的に売上目標を達成できた要因はどう捉えていますか。

三好「部内のスタッフに育てていただいているおかげです。例えば大室旭部長にはパートナーセールスの仕方だけではなく、社会人とは何たるやの部分から教えていただきました。信頼関係も構築できていることで、この方のために頑張りたいという想いも強いですし、そういった想いが原動力になりました。先日課長になられた山川隆晃課長は入社当時から面倒を見ていただきましたし、大室部長や山川課長の仕事のやり方を盗みながら、背中を追いかけてきた結果、目標達成に繋がったと思っています。また伊東祥明アクティベーション課長や吉田実咲さんを含め、パートナー事業部のチームワークのおかげでもあります。」

 

--小池さんは最近、クラブ公式Youtubeチャンネルの「町田ってどんなまちだ!?」にも出演していますよね。

小池出演の機会をいただいた中で精一杯やらせていただきました。画面に映る側になったことがないので、貴重な経験になりました。」

 

--今だから話せる撮影時の裏話はありますか。

小池「昭和薬科大学様の回に野村さんと出演しましたが、お互いに素人過ぎて「どうする?」と話していました。映っていることと話すことを気にし過ぎると、言葉が出てこなくなりました。こんなに言葉が出てこないとは思いもよりませんでした。」

 

--100点満点で点数をつけるとしたら何点でしょうか。

小池「50点、60点ですかね…。出来上がりを見て思ったことは、編集ってすごいなということ。見られるようにして下さったので、編集の方にはとても感謝しています。」

 

--周囲の評判はいかがですか。

小池「行政や地域の方々に見て下さった方がいるため、恥ずかしい一方で、見ていただけていることはとてもありがたいです。「有名人ですね?」なんて言われてしまうと、リアクションに困ってしまう自分がいます(苦笑)。」

 

--改めてアカデミー出身者としてクラブに戻ってきて、外から見ていた時との違いなどはありますか?

三好「アカデミーに在籍していた頃は、野津田のメインスタンドがプレハブでしたから、今の野津田には驚きを隠せません。また今年は国立開催もありましたし、青城祭を実施した磐田戦では野津田に1万1,918人の観衆の方々にお越しいただきました。クラブに所属する人間が言うのも変ですが、単純にすごいなと思います。今年は経営サイドも強化サイドも大きく変わり、“新生ゼルビア”としてスタートしましたが、クラブの理念や町田のためにという想いは、ブラしてはいけないと思っています。その役割を果たすのは小池やサブマネージャーの鈴木悠人など、アカデミーの出身者たちだと思っています。それが僕たちの使命でもあります。今までやってきたことを大事にしつつ、クラブを大きくしていくイノベーションにはどんどんチャレンジしていきたいです。」

小池「三好が話したことと重複しますが、クラブ自体の規模が大きく変わっていることを実感しています。その一方でホームゲームをプランニングすることなども含めて、スタッフが事業部として成長して、表向きの変化に表れているのかなと思います。」

 

--今季はチームの成績もそうですが、観客動員数も増えています。

三好「多くの方々にお越しいただくことはとてもうれしいですし、観客動員が増えていることを実感しています。またピッチレベルに降りると、ファン・サポーターの皆様の熱量を体感していますし、選手たちも実際にそれは感じていると思います。これからも多くの方々にお越しいただくことで、クラブとしての存在意義を体感していただきたいです。また我々スタッフとしては、お越しいただく施策を考えて実行に移しているので、ぜひスタジアムにお越し下さい。」

 

--小池さんはいかがでしょうか。

小池「自分がアカデミーに所属している時は1万人以上の観衆が入るようなことは想定できませんでしたから、単純にすごいなと思っていますし、それだけの観衆を迎え入れられるクラブになったことを実感しています。自分の仕事の成果がどこまで繋がっているかは分かりませんが、例えば小学生招待は昨年よりも今年の方が伸びています。そうした地道な活動が、クラブの魅力の発信に繋がっているのかもしれません。」

 

--お話にも出ましたが、国立でのホームゲーム開催もありました。

三好「町田GIONスタジアムとは違ったスタジアムでの開催は大きなチャレンジでした。何度も視察に行きましたし、準備も大変でしたが(苦笑)、それだけの規模感だった分、クラブとしてのホームゲーム運営に関する自信や経験値にも繋がっていると思います。国立での東京ヴェルディ戦はJ2初の国立開催、1位対2位の対決でもありましたし、自分がゼルビアと関わるようになってから、大きな変化だったため、率直に感慨深かったです。」

 

--国立開催はすごい盛り上がりでした。

三好「国立に新規のパートナー企業様をご招待することができましたし、ゼルビアの試合を見ていただいたことが支援したいという形に繋がりました。既存の株主様や関係者席も全席数に対して100%の方で埋まりましたし、それだけ多くの方々がゼルビアを応援して下さっていることを実感できたのは、とてもうれしかったです。」

 

--小池さんはいかがでしょうか。

小池「これは個人的な想いになりますが、現役選手だった時は、アカデミーでも大きなスタジアムのピッチに立つことはなかったですから、選手の立場ではなく、サッカーを辞めても、国立ほどの大きなスタジアムに立てたことは、個人的にとてもうれしかったです。国立で見る景色は感動が強かったです。」

 

--ここからJ1昇格に向けて、ラストスパートをかけるために自分たちのやれることは?

三好「僕たちはアカデミー出身者としての血の濃さがありますし、ゼルビアに携わってきた方々の想いを事業面に繋げていかないといけない存在だと思っています。またここまでゼルビアを作ってきて下さった方々はもちろんのこと、今一緒に戦っているスタッフ、強化、トップチームの現場、ファン・サポーター、町田市民など、ゼルビアに関わる方々の想いはアカデミー出身者が背負っていくことだと思っています。」

小池「地域振興活動をやることでクラブの人間として表に立つことが多いため、この盛り上がりを維持できるように街の方々と接していきたいです。地域の課題解決や子どもたちにとってより良いものを届けることが、クラブへの関心や興味に繋がると考えているので、自分に与えられた業務を真摯にやっていきたいです。」

 

--一体感を作る上で大事になることは? それぞれいかがでしょうか。

三好「町田市内や都心の支援をして下さる企業様にご協力いただき、応援する雰囲気を作ることです。小田急様がゼルビアの車両ジャックにご協力いただきましたし、神奈川中央交通様もラッピングバスという形でご協力いただいています。またタペストリーやのぼりの掲出によって、街中にゼルビアの色が増えていくことは、一体感を作る上では重要だと思っています。」

小池「クラブスタッフは一喜一憂してしまう部分はありますが、昇格も優勝もまだ決まったわけではありません。何かを決めつけるのではなく、どんな状況にせよ、ブレずに良いものを届けていくことが、クラブスタッフからクラブ全体へと伝搬し、その結果、町田の一体感を作ることに繋がると思っています。そのためにも、スタッフがそれぞれの業務を一生懸命やることに尽きると思います。」


--栃木戦では、クラブOBの大先輩でありユース時代の監督であった竹中譲さんが栃木SCのユニフォームを身にまとい町田GIONスタジアムに凱旋しました。
率直にどのように感じましたか?
三好「まずは久しぶりにお会いできたことが率直に嬉しかったです。ピッチ内外で自分たちを育ててくれた方で、本当に今の人生に大きな影響を与えてくれた方なので。
6月のアウェイ栃木戦ぶりの久しぶりの再会でしたが、一言「しっかりやれよ。」と、良い意味で竹さんらしくあっさりとはしていましたが(笑)
また、別クラブになってしまってもこうしてまた人と人を繋いでくれる、サッカーの素晴らしさも改めて感じました。」

小池「試合結果は別として、まずは元気な姿で再会できたことが嬉しかったです。
おそらく僕らより竹さんの方が、感慨深いものがあったのではないでしょうか。
また、ゼルビアで働いている姿も見せることができ良かったです。
残念ながらゆっくりとお話する時間はありませんでしたが少なからず気持ちと姿勢で、「頑張ります」という意思を伝えることはできたかと思います。」

--ここから目標達成のために、それぞれの立場で必要なことは?

三好「たくさんの企業様とパートナーシップ契約を結ばせていただいているので、試合を見に来ていただくことや、社内のイベント事にぜひゼルビアを活用して下さるような働き掛けをしていきたいです。パートナー事業部としても、各パートナー企業様や町田市民、ゼルビアを気になって下さっている方々も含めて、一体感を作ることに力を尽くしたいと思います。」

小池「クラブとして表に立つことが多い立場としては、ブレずにやることが一番大事だと思っています。またチーム状況に左右されることなく、地域の方々が求めていることを実行に移し、皆様の信用を高め、興味や関心を持っていただくことでスタジアムに集結していただく。それが選手たちの力となりますし、もしかしたら、1つの声援が走り切るパワーになるかもしれません。そういったエネルギーを生み出せるような力になりたいです。」

 

--最後にファン・サポーターの皆様へ、メッセージをお願いします。
三好「J1昇格という長年の夢には近づいていますが、まだ何も成し遂げていません。全ては町田のために、応援して下さる方々に感動を届けられるように、頑張りますので、ぜひスタジアムにお越しいただき、共闘をお願いいたします。」

小池「まずは日頃からスタジアムや地域で接して下さっている方々に対して、ありがとうございますと、感謝の気持ちをお伝えさせて下さい。今季は残り数試合となった中で、最終的な結果がどうなるか分かりませんが、最高の景色を見るために、皆様と一丸になることで目標は達成できると思っています。ぜひスタジアムで一緒に戦いましょう。またスタジアムまでなかなか来られない方は、その場で応援していただき、地域振興課としては、ゼルビアのことを大いに活用していただければ幸いです。残りのシーズンも、共闘をよろしくお願いします。」

 

●編集後記・・・

 

取材の中で印象的だった言葉は、『アカデミー出身者が率先して想いのバトンを繋ぎたい』と話されたことです。

クラブの規模感が大きくなると忘れがちになりますが、ゼルビアは想いを紡ぐことを原動力として、次第に大きくなってきたクラブです。

 

だからこそ、アカデミー出身のクラブスタッフが、想いのバトンを繋ぐ一翼を担っていることに、大きな価値があるような気がします。

 

大きな変化をして迎えた2023シーズンも残り9試合。

クラブに関わる皆様が『J2優勝』という一つの想いへまとまり。

 

必ず悲願を達成する。

私達フロントスタッフも最後まで町田のために闘い続けます。

 

『すべては町田のために』

 

(MACHIDiary 編集長より)