--今回はU-13コーチの野寺さんにお話を伺います。まずは自己紹介をお願いします。

野寺「野寺和音と申します。担当カテゴリーはU-13コーチです。」

 

--ゼルビアに加入して何年が経ちましたか?

野寺「今年で3年目になります。」

 

--加入前のゼルビアの印象はどうでしたか。

野寺「私がJFLでプレーしていた当時は、ランコ ポポヴィッチ監督が率いているチームでした。また若手の有望株が期限付き移籍でプレーをしているチームという印象を持っています。クラブとしては、様々な経験をして、どんどん大きくなっているなと外からは見ていました。アカデミーという意味では、ヴェルディのアカデミーを指導していた時に、竹中穣前監督が率いるユースチームと対戦しました。その時の印象としては、とてもタフなチームだったという記憶が残っています。」

 

--クラブ全体に対する印象はいかがでしょうか。

野寺「町田は数多くのJリーガーを輩出してきたサッカーどころですし、ヴェルディにも町田出身の藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)がいましたから、余計にサッカーどころのクラブという印象が強いです。」

 

--21年にゼルビアに加入したきっかけは?

野寺「ありがたいことに菅澤大我アカデミーダイレクターと一緒に仕事をしていたことがきっかけとなりました。2020年に菅澤さんと同じチームで指導をしており、菅澤さんがゼルビアのアカデミーダイレクターに就任するということで、同じタイミングに誘っていただいたことが始まりです。」

 

--菅澤アカデミーダイレクターからオファーを受けた時の率直な心境は?

野寺「以前のチームで1年、ベレーザで3年指導をしていましたので、女子の指導が長かく、久しぶりに男子の育成年代を指導できるということで、そこにチャレンジしたいという気持ちでいっぱいでした。ゼルビアに加入した当初は、ユースのコーチを務めさせていただきました。」

 

--実際に加入してからのゼルビアに対する印象は?

野寺「サッカーの普及も進んでいますし、加入前から抱いていたサッカーどころのクラブという印象は変わっていません。」

 

--ユースとジュニアユースを指導する時の違いなどはありますか?

野寺「共通する部分はありますが、もちろん違いもあります。より下の年代になればなるほど、技術的な部分を丁寧に指導する必要性を感じています。また年代が上に行けば、フィジカルやスピード感が上がるのですが、フィジカルベースが上がった時にも対応できる個人スキルを指導し、個人でできることを増やすことが必要だと考えています。」

 

--個人ベースでの引き出しを増やすということでしょうか。

野寺「育成年代で戦術的なことに触れるのも重要です。トップチームでプレーするには個人で何ができるかは大事な要素ですから、ベースの部分はU-13の年代でも積み重ねられるようにしていきたいです。」

 

--女子の指導を経験したことで今に活きていることはありますか。

野寺「女子を指導していた時は、1人ひとりがサッカーを楽しむ中で、真剣勝負ができる状況を作ることの難しさを感じてきました。声掛けに関しても、より具体的に、より的確に伝えるタイミングは勉強になりました。そういった意味では、ジュニアユースの年代はまだまだ話を聞くことの集中力が持続しないこともあるので、いかに声掛けをしていくか。それは女子の指導を経験したことで今に活かせている部分はありますし、もっと選手たちにその経験を還元できればと思っています。」

 

--今年のジュニアユースはどんなチームですか?

野寺「走力があり、チームとしてダイナミックなチームだと思います。」

 

--その中でU-13というカテゴリーはどんなチームですか。

野寺「昨年から、岩間コーチを中心に、これまで以上にスカウティングに力を入れました。その結果、いろいろな町クラブの方々のご協力やご尽力のおかげで、今年も技術の高い選手が多くゼルビアを選んでくれました。本当に感謝しても感謝しきれないほどです。私としてもその年代を指導する責任感が強いですし、その分重圧もあります。もちろん将来性が楽しみであり、期待できる年代と言えます。」

 

--選手個人という意味で、目を引く要素は?

野寺「“サッカー小僧”ではないですが、サッカーに対するエネルギーが強い選手たちが集まりました。また今までもそうですが、1人ひとりできることが豊富で、個性の強い選手たちが多いです。」

 

--サッカーに対する情熱は、選手が飛躍するために必要な要素なのでしょうか。

野寺「サッカーがもっとうまくなりたいという意欲や情熱は大事なことです。特に今年のU-13の選手たちはそうした強い気持ちを持った選手がより多いなという印象です。」

 

--今後が楽しみですね。現在、ゼルビアのアカデミー全体で取り組んでいることは?

野寺「選手のスカウティングを充実させようと、いろいろなところに足を運んでいます。またその中で1人ひとりがうまくて賢くてタフに戦える選手を育成し、1人でも多くの選手をトップチームに昇格させることを目指しています。」

 

--対外的なゼルビアのアカデミーのセールスポイントを聞かせて下さい。

野寺「菅澤アカデミーダイレクターが就任してからの3年間で変わってきたことですが、自分たちが主体的にボールを掌握し、より戦略的に戦えるようなチームになってきていると思います。近隣には川崎フロンターレ、FC東京、東京ヴェルディといった素晴らしいクラブがある中でも、ゼルビアに対しての印象が変わってきているのでは、という手ごたえを掴みつつもあります。そしてそうなっていっているのは、指導者のレベルが高いということも上げられると思います。ユースの監督である中山さんやジュニアユース監督の前嶋さんなど、様々な経験を積み上げている指導者の先輩達がいることは、クラブとしても非常に大きいことだと思います。」

 

--ちなみに野寺さんが目標にしている指導者は?

野寺「これはつくづく思うことですが、自分自身は一緒に仕事をする方に恵まれてきました。中でもゼルビア加入にお誘いいただいた菅澤アカデミーダイレクターとベレーザで一緒に仕事をさせていただいた永田雅人さん、この2人には大きな影響を受けてきました。」

 

--具体的には?

野寺「2人の共通点は、サッカーに対する探究心が強いことです。また1人ひとりの選手が成長していく中で、チームも勝利を重ねていく姿を見てきました。自分もそんな個人を育成しながら、勝てるチームを作れる指導者になりたいと強く思います。」

 

--個人の成長を追求しながら、チームの勝利にも繋げていく。お2人はその両輪を実現できる指導者なのですね。

野寺「2人と仕事をする中で、それぞれの方法論は違いますが、肌感覚として体感できたことは衝撃を受けましたし、自分の大きな財産になっています。2人の良いところを盗ませていただきながら、将来的には自分なりの方法論を構築できればと思っています。」

 

--チームと個人。それぞれの目標を聞かせて下さい。

野寺「ユースのカテゴリーはプリンスリーグの昇格、ジュニアユースはできるだけ早く関東リーグの昇格を成し遂げたいです。またジュニアのカテゴリーに関しては、T-1リーグへの参入を常々目標に掲げているので、それぞれのカテゴリーのコーチングスタッフが力を合わせて取り組んでいきます。また個人としては、1人の指導者として、育成カテゴリーの“職人”になりたいので、選手たちと日々向き合いながら、個人の目標に到達できればと思っています。」

 

--最後にファン、サポーターの皆様へ、メッセージをお願いいたします。

野寺「コロナ禍により、アカデミーの試合をご覧になる機会はあまり作れていなかったですが、次第に緩和されてきたことで試合会場に足を運べる環境になってきました。トップチームは素晴らしい戦績を残している一方で、アカデミーも日々頑張っていますので、ぜひ応援して下さい。ゼルビアのエンブレムを着けて町田のお店に入ると、温かい声を掛けて下さることに感謝しています。町田は人の温かさをとても感じられる街です。これからもファン、サポーターの方々とクラブがより一体となって、一緒に良いクラブを作っていけると最高ですから、ぜひ支えて下さい。今後も引き続きよろしくお願いいたします。」

 

●編集後記・・・

にこやかな笑顔の眼差しの奥に、ギラギラと燃え上がる強い意志を感じました。

インタビュー中も笑顔で対応をしてくれた野寺コーチ。

 

ただ、時折見せる鋭い眼差しは、より良い指導者になり、選手の成長を手助けしたいという意思に感じました。

 

そして、町田を選んで来てくれた、選手達やその所属をしていたクラブの関係者への感謝の気持ちを口にしたとき、よりその眼差しが強くなりました。

 

FC町田ゼルビアジュニアユースの今シーズンの活躍も楽しみですし、U-13カテゴリーの試合もより楽しみになりました。

ぜひ、FC町田ゼルビアアカデミーの試合も現地でご観戦ください。

※現地観戦の可否はそれぞれの試合情報をご確認ください

 

(MACHIDiary 編集長より)