--今回はゼルビアユースの塚田晃平選手にお話をうかがいます。まずは自己紹介をお願いします
塚田「高校3年生の塚田晃平です。ポジションは左サイドバックです。」
--ゼルビアの左サイドバックと言えば…。
塚田「太田宏介選手です!」
--さすがです! 翁長聖選手もいますが、アカデミーの選手ですから、太田宏介選手は模範回答では。プレーを見ていて参考になることは?
塚田「正直、うますぎて参考になりません…。ただポジショニングとか、攻撃参加は見て学ぶようにしています。」
--精度の高いキックは次元が高すぎて逆に参考にならないとか?
塚田「キックの精度は今の課題ですが、フォームも独特なので、真似をすることは難しいのかなと思っています。」
--好きな選手である太田宏介選手が試合に出た時は、どんなポイントで見ていますか。
塚田「センターバックとの距離感やボールを受ける前にどんな選手を見て、どういうポジションを取っているのか。またサイドハーフとの距離感も見ています。そういったことを見ています。」
--なるほど。オフ・ザ・ボールの状況に注目されているのですね。その他にトップで注目している選手は?
塚田「反対サイドの奥山政幸選手です。」
--奥山選手のどんなところを注目ているんですか。
塚田「変な言い方になりますが、奥山選手のマッチアップのシーンは勝つんだろうなと思いながら見てしまいます。本当に対人が強いですし、左右のサイドバックを遜色なくできることもリスペクトしています。」
--ちなみにゼルビアにはいつ加入したのですか?
塚田「中学1年のジュニアユースからです。加入のきっかけは小学生の時の選抜チームでのプレーを中学1年次の監督が見に来て下さっていて、練習参加の声を掛けていただき、練習会に参加してから内定をいただきました。ジュニアユースの時に当時の監督から、「あの試合のことを覚えている? 選抜チームでのプレーを見てからずっと気に掛けていた」と言って下さったのですが、自分は記憶になく…。」
--なるほど。夢中にプレーしていたから記憶にないのでしょうか。あらためて、ご自身のストロングポイントは?
塚田「スピードでも、球際でも、攻守両面で1対1には自信があります。運動神経も良い方です。」
--身体能力も自信があると。
塚田「小学生の時に体操をやっていたので、その時にかなり身体能力は上がったと思います。」
--体操と言っても幅広いですが…。
塚田「器械体操やマット運動、鉄棒などをやってきました。体操をやったことにより、体幹もしっかりと鍛えられました。」
--自信があるという守備は、どうやって鍛えてきたのでしょうか。
塚田「チームメートと何回も1対1をやることで感覚を鍛えてきました。」
--ちなみに目標としている選手は?
塚田「リバプールのアンドリュー ロバートソン選手です。ドリブル、パス、クロス、守備、攻撃と全部のクオリティーが高いです。スタミナもありますし、厳しい時はチームを鼓舞できるので、できないことはない選手です。自分もそんなふうに全てのことをハイレベルにできる選手になりたいと憧れています。」
--ちなみにプレーポジションの変遷は?
塚田「小学生の時はFWでしたが、選抜チームで左サイドバックをやっていて、それを評価されたため、ゼルビアに加入してからはずっと左サイドバックです。当時は左利きの選手が少なかったので、左利きの攻撃的サイドバックとして、そのまま定着しました。個人的には左サイドバックのポジションで今後も勝負していきたいと考えています。」
--今、課題に感じていることは?
塚田「先ほど話したキックもそうですが、メンタルが弱いので、メンタルが課題です。中山(貴夫)監督にも指摘されることですが、1つミスをすると、どんどん気落ちしていくタイプです。昨年からずっと指摘されていることですが、なかなか直らないので、本当に課題です。」
--チームメートにメンタルの強い選手がいると思いますが、そういった仲間にアドバイスを求めるようなことは?
塚田「確かにチームメートでそういう選手はいますが、結局は自分なので、自分で克服していくしかないと思います。ただなかなか自分に打ち勝てないですね…。メンタルなので、気合いでやるしかない、そう思っています。」
--殻を破るために、ぜひ乗り越えて下さい。今年のユースチームはどんなチームでしょうか。
塚田「個人の能力は非常に高いチームです。どのポジションでもレベルの高いプレーはできていますが、チームが1つになるという意味では、まだまだ時間が掛かるのかなと思っています。」
--冷静に分析されていますね。チームとして、組織の力を発揮するために、塚田選手にできることは?
塚田「最終ラインの選手なので、チームを鼓舞して引っ張らないといけないと思っています。サッカーは1人ではできないですし、苦しい時は声を掛けて、チームを鼓舞したいです。」
--そういう意味では、ミスした後に気落ちしている場合ではないですね。ぜひ頑張ってください。ここからは少し先日の東京都クラブユースU-17選手権・3位決定戦のFC東京戦を振り返って下さい。
塚田「2-0で勝つことはできましたが、正直あそこまでうまくいくとは思っていませんでした。ただメンタルがとても良好でモチベーション高く試合に臨めました。個人の能力はあるチームですし、メンタルが良好だと良い試合ができるので、普段のリーグ戦でも、安定したメンタルで試合に臨めるようにしていきたいです。」
--良好なメンタルで臨めた理由は?
塚田「試合会場が、西が丘だったこともありますし、相手が格上と言われるFC東京だったことも良い意味で影響していると思います。昨年であれば、名前負けするようなことがありましたが、今回は「食ってやる!」という気持ちで戦えました。観戦者もたくさん入っていたので、「ゼルビアの力を見せつけよう!」という気持ちの充実が、結果に繋がったのかなと思います。」
--上位カテゴリーチームとの対戦ということでいつも以上の闘争心を駆り立てられるものなのですね。
塚田「FC東京もゼルビアより能力の高い選手は多かったと思いますが、あの試合はチームとして一致団結して戦えました。またチームの完成度でも上回ることができたという感触がありました。」
--勝った時の興奮度は?
塚田「もうヤバかったです(笑)。相手は格上ですし、勝つのは難しいかなと思っている中で、確かに難しい試合でしたが、前半に2点を取ることができて、良い形で試合を進められたことも大きかったです。」
--個人という意味でのプレーを振り返ると?
塚田「体も軽くコンディションも良かったですし、予測の部分も冴えていた気がします。攻守共に良かったと思っています。」
--10点満点では何点のプレーでしたか。
塚田「後半の攻め込まれる時間帯にチームを鼓舞できたかというと、決してそうではありませんでした。それは減点材料ですが、勝ったということで、自己評価は7点です。」
--ちなみに、3位決定戦ではジュニアユース(新高1)の選手が2人含まれていました。彼らのプレーはどう見えていましたか。
塚田「クオリティーに関しては学年に関係なく、遜色ないプレーができます。中3だからという気持ちがあるのか。コーチングの声が少なかったですし、2つ学年が違うことで気後れしている部分があるかもしれないので、先輩である僕たちがサポートしていきたいと思っています。」
--新チームの目標は?
塚田「AチームはT1リーグ、BチームはT3リーグに所属していますが、まずは共に優勝すること。そしてBチームはT2リーグに昇格し、Aチームは参入戦を制して、プリンスリーグに上がりたいです。それが絶対条件です。」
--目標に到達するために何が必要か。チーム内で共有されていることは?
塚田「1人で目標を目指しても仕方がありません。Aチーム、Bチームに分かれてしまうかもしれませんが、先発メンバーやベンチメンバーの垣根を越えて、全員が同じ方向を向き、同じ目標を目指して、切磋琢磨することだと思っています。」
--その目標を達成するために、ご自身はどうやって貢献したいですか?
塚田「最高学年になるので、厳しい状況でもチームを鼓舞して、プレーでもプレー以外でもチームの中心として、チームを引っ張っていきたいです。」
--個人としての数値目標は?
塚田「昨年のリーグ戦ではアシストが1つもなかったので、5アシストぐらいはしたいです。ゴールは…多分無理ですね(苦笑)。ゴールを決めるイメージが湧きません…。」
--では、その分、アシストで貢献していただきましょう。
塚田「もちろん全試合に出ることは1つの目標にしたいです。」
--今季のトップチームは多くの選手が入れ替わり、生まれ変わりましたが、トップチームの印象は?
塚田「黒田剛監督が就任し、選手も多く入れ替わっているので、本当に生まれ変わったと思います。「ゼルつく」で黒田監督が「勝つイコール守れること」と話されていましたが、本当にそうだなと見ています。守備が良いから良い攻撃に繋がっているのではないかと思っています。」
--想像しにくいかもしれませんが、攻守両面での対人の強さを誇る塚田選手ですから、今のトップチームに入ってもやれる自信はあるのでしょうか。
塚田「平河悠選手を止めることができれば、トップでもやれるのかもしれません。」
--プレシーズンのキャンプで平河選手はJ1の選手を何度も突破していました。
塚田「とても速いですよね…。止めるだけでは、まだまだ足りないですが、平河選手を止めることができれば、自信はつくのかなと思います。」
--塚田選手が1年生の時に、樋口堅選手が3年生ですね。昨年、トップチームの試合に出場した樋口選手を見て、どんなことを感じましたか。
塚田「身近な存在でプロになった方を初めて見ました。ユースでの堅さんはいつも自主練習をしていましたし、プロサッカー選手になるんだろうなという雰囲気がありました。実際にプロになりましたし、話をさせていただく中で、いろいろなアドバイスをいただいています。身近な選手から話を聞くことはとても勉強になりますし、堅さんがトップの試合に出ている様子を見て、自分のことのようにうれしかったです。」
--印象に残っている樋口選手とのやり取りは?
塚田「「結局は自分がどうするかだから」。そう言われたことは本当にそうだなと思いました。」
--トップチームに昇格したい気持ちはあるのでしょうか。
塚田「すぐにでもトップに上がりたい気持ちは強いです。」
--塚田選手が樋口選手のことをトップに昇格したアカデミーの先輩の背中を見てきたように、彼らも塚田選手の背中を貴重な先輩として見ているでしょうね。
塚田「堅さんにも「待っているよ」という声を掛けていただいています。次は自分がトップに上がって後輩たちにそう言えるようにしたいです。」
--トップに上がるには、どれぐらいのプレー水準が必要だと思っていますか。
塚田「技術面はまだまだ上げていかないといけないと思っていますが、やっぱりメンタルの水準を上げないといけないと思っています。プロの世界では、大観衆の前で毎週プレーすることもあります。そうした周りの環境に左右されないように、ブレないメンタルや精神力を身に付けないといけないと思っています。」
--2018年度の東京都クラブユースU-13選手権決勝で西が丘のピッチを踏んでいますが、その時のことは覚えていますか。
塚田「当時もサイドバックでしたが、あの頃は味方に頼ってばかりで、うまいFWの選手を陰で支えるような存在でした。先日の西が丘での試合はキャプテンマークを巻いていましたし、陰の存在ではなく、チームの中心としてプレーできたことは、その時とは違う部分です。」
--ここまで話を聞いていると、謙虚な中にも自分に自信を持っているように感じます。
塚田「練習中でも試合中でも中山監督からは良いポジションを取れば、絶対に1対1では負けないと言われています。そう言われることでより自信になっています。監督から指摘されていることを自分の自信にしないと意味がないので、言われたことを心に留めながら、1対1では自信を持ってプレーするようにしています。」
--目指すのは、攻撃力のある翁長聖選手と対人守備に強い奥山選手の“良いとこ取り”でしょうか。特に翁長選手は陰で努力をされていますし、誰よりも試合に向けた準備を妥協なくされているので、翁長選手の弟子入れをお勧めします。またトップチームの練習に参加するような機会があれば、平河選手との1対1をぜひ見てみたいですね。
塚田「ありがとうございます。頑張ります!」
--それでは最後に、ファン・サポーターへメッセージをお願いします。
塚田「大きく生まれ変わったトップチームが結果を残している分も、ユースが結果を残さなければいけないと思っています。ユースは昨年監督が代わり、中山監督2年目になりますし、個人的にも勝負の1年になると覚悟しています。トップの試合を見ている方々にも、ユースの試合を見に来ていただき、「ゼルビアのユースも強いぞ」と思っていただけるようなサッカーを見せたいです。ぜひユースも応援して下さい。」
●編集後記・・・
TOPチームへの強い想いを語った塚田選手。
謙虚な姿勢の中でも自信を持って話す部分は、非常に頼もしく期待をかけずにはいられません。
U-13時代の西が丘の試合から、今回のFC東京U-18との3位決定戦までの間に、自身でも成長を実感し、さらなる飛躍を目指します。
先ずは、プリンスリーグへの昇格とT2リーグへの返り咲き。
この両方の目標を達成するために、塚田選手は今日もトレーニングを積み上げます。
ぜひ、ユースの試合では左サイドの塚田選手を注目してみてください。
(MACHIDiary 編集長より)