今回はパートナー事業部の山川隆晃さんにお話を伺います。まずは自己紹介をお願いします。

山川「山川隆晃です。所属部署はパートナー事業部セールス課。主な業務は新規パートナー企業様獲得のための営業と既存顧客とのアクティベーション活動です。ゼルビア歴はインターン時代も含めると、今年で11年目となります。」

 

--ちなみにパートナー事業部として非常に喜ばしいことがあったと聞きました。

山川「ユニフォームの左の鎖骨部分に「RIPTY」と掲出している株式会社リップルコミュニティ様と、トップパートナー契約を締結しました。私自身、ユニフォームのパートナー企業様との新規契約は初めてのことだったので、決まった際は思わずガッツポーズをしてしまいました(笑)。その時は私だけではなく、グッズ担当をしているマーケティング部のスタッフも同席していたのですが、一緒に喜んでいただき、その瞬間は非常に事務所が盛り上がったようです。」

 

--上長である大室旭さんから見て、山川さんはどんな様子でしたか?

大室「私と一緒にパートナー事業部のメンバーとして働くようになって7年ほど経ちましたが、最近はオフィシャルクラブパートナーの新規契約は取れるようになっていました。次の段階が一番大きなトップパートナーとの新規契約ということで、その目標到達に向けて、3年という期間設定を設けて取り組んできた中での成果でした。」

 

--様々なご苦労があった末の大きな成果だったのですね。

大室「トップパートナーとなれば、金額も大きいですし、タイミングが合うことも重要ではあるので、なかなかそこまで到達はしませんでした。「毎年のように、今年は取ります」と本人は意気込んできたものの、なかなか実現させるのが難しいことは、私自身も分かっているので、どこかのタイミングで取れるだろうと思ってはいましたが、今回はようやくその時がきたと私としても、喜ばしい出来事でした。」

 

--期限設定をされていたのですね。

大室「昨年か今年が勝負と位置付けている中で、初めての成果が出ました。一緒に働くメンバーとして、山川さん自身の長年の努力が実を結んだことが自分のことのようにうれしかったです。また本人の喜びはもちろんのこと、パートナー事業部としても喜ばしい出来事でしたし、会社全体としても、大きなトピックになりました。彼のひたむきな頑張りがクラブ内に大きな渦を呼び込んでくれました。」

 

--今回の要因をどう分析されていますか。

大室「単純に数字がついてくるようになりましたし、山川さんも30歳を迎え、三好亮輔さんという後輩も入ってきたことが刺激になったのではないでしょうか。責任感も生まれたでしょうし、自分が後輩に結果で示さなければならないという自覚も良い方向に作用したと思っています。もちろん、まだまだ足りない部分はありますが、山川さんは非常に素直で、こちらのアドバイスに対しても聞く耳を持ったパーソナリティーでもあるため、こちらの成功体験を他に活かそうと努力してきた結果でもあると思います。」

 

--山川さんが新規のトップパートナー契約を決めたという成果は、それほど大きな影響力を持っているのですね。

大室「社内全員が「山川さんに取ってほしい」と思っていたようなので、パートナー事業部だけではない、周りのスタッフも喜ぶ結果になりました。」

 

--山川さんの成長を実感するようなエピソードはありますか。

大室「その点で言えば、これまでの営業スタイルは基本的に1人で訪問する形でしたが、トップの方と直接面談できる場合は、2人体制で訪問する形を取り入れたことも大きな変化でしょうか。山川さんだけでも企業様の要望にも応えられるようになっていましたし、クラブのこともしっかりと伝えられるようになっていました。そうした成長を実感したからこそ、時間の問題だとは思っていました。」

 

--時間の問題になるまで、成長を遂げられていたのですね。

大室「あとは先ほどもお話ししたように、責任感が芽生えてきたことも大きいと思います。“永遠の新卒”みたいな雰囲気でしたが、後輩の三好さんやクラブ内でも年下のスタッフが多くなったことで、会社全体のことも見えるようになりました。プロジェクトのリーダーをやることも増えましたし、ある意味、覚悟が出てきたのかなと思っています。」

 

--大室さんにここまで褒められることはないでしょうが、山川さんはお話を聞いていかがでしょうか。

山川「トップパートナーの新規契約を取るためにいろいろと相談にも乗っていただきましたし、その中で責任感が芽生えたことも事実です。また月1回の面談でもお話ししていますが、自分自身の意識を変えていかないといけないと感じていたことも、トップパートナーの新規獲得の要因になったと思っています。全ては上長である大室さんのおかげでもあります。」

 

--トップパートナーを取った山川さんに対して、今後はどんな存在になってほしいと思っていますか。

大室「山川さん自身、クラブパートナー、オフィシャルクラブパートナー、トップパートナーと、全カテゴリーのパートナー企業様の実績を得られたのは今後に向けて、大きなことだと思います。やはり実績がないと、説得力が伴わない部分もありますし、何よりも実績を作ったことで誰かに伝えることができるようになったと思います。今回の成功体験を活かして、今後は誰かに伝える立場になってほしいです。私が伝えてきたことと、山川さんなりの解釈で学んだことを他の人に伝承してくれることに期待しています。」

 

--大きな金額での取引はなかなか想像しにくい世界なのですが…、それだけ今回のことは大きな成果なのですね。

大室「もちろん、大前提として、パートナー企業様に金額の大小はありません。パートナー企業様は何らかの形で名前(企業名やロゴ等)が出る形になりますが、ユニフォームに企業名を掲出するとなれば、J1昇格や、AFCチャンピオンズリーグ出場時には、クラブの歴史の一部として、パートナー企業様の名前が刻まれることになります。パートナー事業部という立場から、クラブの歴史を形作る仕事ができることも、この部署の大きな魅力です。」

 

--大室さんにお聞きしたいのですが、トップパートナー契約を結ぶ決め手はどんなことが多いのでしょうか。

大室「ゼルビアというクラブの想いに共感していただく必要があると思っています。同じ金額を出すのであれば、近隣の別のカテゴリーのサッカークラブの方が良いでしょう。それでも、ゼルビアを選んで下さるということは、ゼルビアに価値を感じて、共に歩んでいただく決断をして下さっているということです。そのように、クラブの魅力を先方に伝えていくこと。そして、パートナー企業様と真摯に向き合って、誠意を持って対応し、その中でトップの方の熱意を動かすことが必要になると思っています。」

 

--では、話を戻しますが、大室さんから今後の期待に向けての言葉を聞いて、山川さんはどんな想いでしょうか。

山川「月1回のミーティングでは後輩を育てることにもチャレンジしてほしいという話はされてきました。もちろん三好さんなど、後輩にも成功体験を伝承していければと思っています。期待を掛けて下さってうれしいのですが、目標としてきたトップパートナーの獲得を成し遂げたことで、また今後の仕事のハードルも上がりますし、求められるものも変わってきます。また緊張感や責任感を持って、気持ちを新たに頑張る所存です。」

 

--今回の決定のプロセスを聞かせて下さい。

山川「新規のパートナー企業様獲得に向けて、これまではテレアポをしたり、Facebookを駆使して、企業のトップの方にダイレクトメッセージを送ることなどをしてきましたが、違ったアプローチができればという話を大室さんにしてきました。その中で、昨年の12月中旬に東京商工会議所が主催するビジネス交流会に、FC町田ゼルビアとしてPRブースを出展しました。実は昨年の1月にもブースを出していたのですが、1回目は成果が出なかったので、昨年末にもう一度チャレンジさせてほしいとお願いをしました。」

 

--新しいアプローチ方法を模索したのですね。

山川「2日目の片付けを始める時だったでしょうか。リップルコミュニティの山口龍佑社長がブースを訪れて下さいました。その際は自分が不在だったため、別の担当が名刺交換をしており、後日、その者と自分でリップルコミュニティ様をお訪ねしました。またリップルコミュニティ様は別のJリーグクラブのパートナーをされているとのことだったので、そこでは共にどんな取り組みをされているか、ヒアリングしました。」

 

--初対面は終了間際の出来事だったと。何だか運命的ですね。

山川「面談の際、最初におっしゃられたことは、別のクラブと同じ取り組みができるのであれば、ユニフォームのパートナー企業になることを検討したいとのことでした。そのため、2回目の訪問では、グッズ担当に同席していただき、打ち合わせをしていると、同様の取り組みは実現が難しかったのですが、トップパートナーの打診をすると、協賛とグッズの取り組みは別軸なので、ユニフォームの鎖骨部分のパートナー企業として協賛しますとお話をいただきました。」

 

--なんというスピード感!

山川「同席していたメンバーも「え?決まったの?」という反応をするぐらいでしたから、とてもビックリした次第です。楽しいことをしながら、Jリーグを盛り上げたいという気持ちのある企業様でしたし、サッカークラブのパートナーシップに理解があったことも大きかったです。接点を持ち始めてから1カ月程度で決まったため、そのスピード感も決め手になったかもしれません。」

 

--ブースを出展することで新規営業のチャネルを増やすアイディアは山川さん発信だったのですね。

山川「結果に繋がってホッとしました。また同じ展示会があるならば、出展する意気込みではありますし、新しい営業スタイルの確立に繋がったこともうれしかったです。」

 

--期限設定が設けられた中で、結果が出ないことに対する気持ちの葛藤はどうでしたか。

山川「大室さんをはじめ、田口さん、岡田さんなど、各部署の上長の方々には「山ちゃんなら取れる」「もうあと少しだね」と言っていただいていたので、なかなか決まらないことに対して申し訳ない気持ちでいっぱいでした。インターン時代からお世話になってきたクラブに対して、恩返しをするには、パートナー事業部のスタッフとしては、大きな数字を取ってくることだと思ってきたので、皆さんの期待になかなか応えられなかったことがとても悔しかったです。「タイミングがあるものだし…」と皆さんはフォローして下さるのですが、そのタイミングをいつ掴めるのか、不安感もありました。」

 

--このたびはおめでとうございました! ではここからは時計の針を戻させて下さい。まず入社の経緯は?

山川「インターンが全ての始まりです。2013年に大学4年でインターンを始めた時はトップチームのマネージャーでした。翌年は大学卒業のタイミングでしたが、当時の上長だった近藤安弘さんに泣きついて、もう1年インターンをやらせていただけることになりました。2年目は酒井良さんをサポートする形でスクールコーチやホームタウン活動、広報部の業務を兼務しました。計2年のインターンを経て、2015年に正式入社させていただきました。」

 

--この仕事のやりがいはいかがでしょうか。

山川「ご支援いただけるパートナー企業様が増えることは、ゼルビアの価値が上がっていることに等しいのかなと思っています。そのため、新規のパートナー企業様と契約できた時は、何よりもうれしいです。」

 

--コロナ禍でも新規のパートナー企業様が順調に増えている印象を受けます。その要因はパートナー事業部全体として、どう分析されていますか。

山川「当然、まだまだやらなければならないという想いはあります。大室さんを筆頭に、事業部メンバーの1人ひとりが、どうすればゼルビアをもっとご支援いただけるのか、常日頃考えている成果でもあると思います。」

 

--サイバーエージェントグループの一員であることも大きな要因でしょうか。

山川「その大きさを実感しています。パートナー事業部は今年からセールス課とアクティベート課に分かれた中で、セールス課は大室、自分、そして三好の3人が主なメンバー構成ですが、自分は町田市以外を、三好は町田市内の企業様を主に担当しています。特に自分は都心の企業様に働き掛けることが多いため、CAグループであることと、藤田晋社長の名前は大きな影響力を持っていることを実感しています。」

 

--経営サイドとして、藤田社長の名前はインパクトが大きいですよね。

山川「最初のフックとして、サイバーエージェントの社長である藤田社長が経営するサッカークラブというブランドは大きいです。そうしたフックがきっかけとなってお話しをさせていただく機会も多くなってきました。その一方でどうしても掲出料が高額になるユニフォームパートナーの話になりがちではあります。そのため、もっと細分化された金額でパートナー企業になれることや、企業名の露出だけではなく、福利厚生の一環として試合観戦を使っていただくなど、いろいろな形があることにビックリされるケースもあります。」

 

--なるほど。パートナー企業の形もいろいろありますよね。

山川「例えば最近力を入れているゼルビアアシスト企業様も含めると370社ほどある中で、横の連携に繋がるビジネスマッチングも始めています。その中で「この金額でそういう活動もできるんですね!」と再認識していただくこともあります。スタッフの数も多くなり、広くゼルビアの魅力を伝えられる活動ができていることも、新規獲得の要因の1つになっていると思います。」

 

--この仕事が大変だなと思うことは何ですか。

山川「大変という言葉が適切かどうかは分かりませんが、ご支援下さっているパートナー企業様の会社全体のゼルビア熱を上げることは大変だなと実感しています。ご担当者の方は直接ゼルビアの話を聞けるため、余計に熱量が高まることに繋がりますが、それ以外の方は接点を持ちづらいことで難しい部分もあります。そこでご担当者の方には一緒に社内のゼルビア熱を高めるための働き掛けにご協力下さい、というお願いをしています。そのためにできることはやらせていただきますと、コミュニケーションを取らせていただいています。やはり町田市内の企業様であれば、ゼルビアとの接点を持ちやすいですが、都心の企業様になればなるほど、社内のゼルビア熱を高める難しさを実感しています。」

 

--パートナー企業様とは、どのような関係性を築いていきたいですか?

山川「長年の関係性を築いていただけるように、現状に満足せず、ゼルビアの魅力を伝えていきたいと思っています。また各企業様によって、求められることが違うので、継続的にコミュニケーションを取っていきたいです。」

 

--1人あたりの抱える企業数が多い分、各企業様との向き合い方も難しそうです。

山川「パートナー事業部としての協賛企業はおよそ170社ですが、それでも1人が抱える企業数は多いですから、どうにかスケジューリングをして、コミュニケーションを取れる機会は作るようにしています。もしくはご担当者の方になかなかお会いできないケースは、試合観戦の招待をするなどして、ゼルビアのことを印象付けるような発信もしています。」

 

--ちなみにファン、サポーターの皆様にこんなことをしてほしいなど、リクエストはありますか?

山川「1つお願いしたいことは、ゼルビアのパートナー企業様の中には、BtoCのパートナー企業様があります。例えば、引越しをする機会があれば、アート引越センター様をご活用いただき、今季からユニフォームサプライヤーになったアディダス様の商品をご購入いただくなど、ぜひゼルビアのパートナー企業様を積極的に活用して下さい!」

 

--非常に良い心掛けですよね。その他にはありますか。

山川「ゼルビア関連のSNSでの発信に対して、パートナー企業様がリプライやリツイートをして反応して下さることがあります。そうした発信を見かけた場合は、リツイートやいいねで反応して下さるとうれしいです。例えば先日はリップルコミュニティ様が翁長聖選手の誕生日に対する発信をして下さったので、ぜひSNSでの反応にご協力をお願いします!」

 

--ファン、サポーターの皆様、ぜひご協力下さい。

山川「まだありますよ(笑)。実は先日2月26日の群馬戦でゼルビアアシスト紹介ブースを作りました。その目的の1つがファン、サポーターの皆様が勤務する会社に情報を持ち帰っていただき、サポーターの方々にイチ営業マンとしてのお力を借りたいというブース展開でした。スタジアムで応援するだけではなく、新規のパートナー企業様の開拓に繋がるような、新しい応援の形を作って下さるとうれしいです。」

 

--それでは最後に山川さんにとって、FC町田ゼルビアとは?

山川「共に成長する機会を与えていただいている場だと思っています。インターンをはじめ、チームマネージャー、スクールコーチ、ホームタウン活動、広報、そしてパートナー事業と、いろいろな立場でゼルビアの仕事に携わってきましたが、ゼルビアのクラブの規模感が次第に大きくなっていくことと並行して、自分自身も共に成長させていただいています。幸いにもファン、サポーターの皆様は僕の存在を知って下さっていますし、これだけ多くの方々に関わることができているのも、僕の人生では初めてのことです。当然ですが、今やゼルビアはなくてはならない存在です。」

 

●編集後記(特別編)・・・

あの山川さんが新規のトップパートナーを獲得するなんて! 

この報せを聞いた時、クラブスタッフでもないのに、勝手に感慨深かったのはナイショです。

 

インターン時代、当時の上長だった近藤さんに怒られてばかりいた“マリオ”(山川さんの愛称)が10年以上の時を経て、大きな仕事をやってのけるとは。

時が人を成長させるんだなと、勝手に親心のような想いでいます。

 

ここに書けないようなことも、いろいろありましたよね(笑)。

新規のトップパートナーを獲得した山川さん。

大きな第一歩を踏み出したとはいえ、これからも近い距離感の山川さんでいて下さい。

このたびはおめでとうございました。

 

(MACHIDiary ライター 郡司さんより)