--第24回東京都クラブユースサッカーU-17選手権3位決定戦、FC東京U-18から勝利を掴み、見事3位!おめでとうございます!
小林コーチから見て、大会の結果はどうでしたか?
小林「FC東京U-18という所属カテゴリーが2つ上の強い相手に勝てたことは、選手達にとって自信になると思います。練習してきたこと、監督・コーチがやってきたことを、選手達が一生懸命やった結果が、いい方向に行き、結果が出たのかなと思います。ただ東京ヴェルディに負けて優勝できなかったことは本当に悔しいです。」
--小林コーチから見て、積み上げてきたことの成果とはどんなことだと思いますか?
小林「できるだけ長い時間、攻撃をしたいし点を取りに行きたいという中で、もっとボールを持ちたい、チャンスシーンを多く作りたいというところがあります。失点しないこともすごく大事で、FC東京という強い相手になると、特に先制点を取られてしまうと厳しいので、結果を出すことを考えると、攻守両面ともに大事になります。攻撃するために、守備がありますし、守備をするために攻撃もあります。その中で、今年は守備面に時間を割いているところもあります。監督が求めていることを選手が少しずつ理解してトレーニングできてることが積み上げに繋がっていると思います。」
--今回の大会では、中学3年生が2人スタメンで出場していますが、若い選手がこういった試合に出る意味はどのようなことだと思われますか?
小林「こういう経験をすることで、中学生と高校生の違いを感じることができます。彼らからすると、少し大人な対戦相手になると思いますが、そこで課題が出ますし、身体的な差をどうやってカバーしていくか、どうしたら上手くいくかを学んでいくチャンスだと思います。上の舞台で年上の選手とできることは、良いチャンスだと思いますし、これをきっかけに成長できると思っています。」
--FC東京U-18に勝利した要因を1つ上げるとしたらどんな部分だったと思いますか?
小林「監督・スタッフが求めていることを、選手が一生懸命やってくれたことが、すごく大事なことだったと思います。中山監督は、様々な舞台を経験しているので、現状を見ながら段階を踏んでやっている途中だと思いますが、今できる100%のことを準備して、選手も100%出し切ってやったことが、いい結果に繋がったと思います。」
--スタッフの皆さんが、選手に求めていることを、言語化できるとしたらどのような言葉になりますか?
小林「サッカー的なことも様々ありますが、FC町田ゼルビアのアカデミーがFC東京、川崎フロンターレ、東京ヴェルディという近隣のクラブに、追いつくために、追い越すために、将来的にプレミアリーグで戦っていくためには、こういう舞台で勝っていかなければならない、と普段から意識させるようにしました。試合にもたくさんの方々が見に来て下さり、勝つことで知名度が上がることもあると思うので、そこはとても強調されていた部分になります。これからクラブがどうなっていくか、選手達にもそういった自覚を持たせるように、常々伝えていました。」
--戦術的なこともありますが、精神面で特に強調された部分があったということですか?
小林「精神面を強調したわけではありませんが、チームとして士気を高め、100%試合に集中すること。FC東京に勝つこと。超えていくということにフォーカスしたところはありました。」
--改めて、選手を引退し、指導者生活がスタートして1カ月たった今、どんなお気持ちですか?
小林「生活リズムが変わり、全てが新鮮ですね。新しい事にチャレンジする、楽しさもあり、難しさも感じていて、全て上手くいくと思ってはいないですが、チャレンジすることに対して、楽しみながらやれていると思います。」
--様々な環境の変化があると思いますが、現役時代と指導者で特に感じるギャップはなんですか?
小林「現役時代は常に自分に矢印が向いてましたし、身体などの変化にも敏感でした。
指導者となり、自分のことより選手のことを考えるようになりました。何をどう選手に伝えていくか、言葉選びを含めて本当に難しさを感じます。正直現役時代より大変ですね。
あとは触ったことのないパソコン作業が増えたことですね。」
--FC町田ゼルビアへの加入の経緯を教えていただけますか?
小林「昨年、大分トリニータを契約満了になり、引退するつもりもなかったので、チームを探していました。アカデミーダイレクターの菅澤大我さん(以下、菅澤AD)とも連絡を取り合っているなかで「指導者の道もあるよ」と声をかけていただきました。いろいろと相談するなかで「向いているんじゃないか?」とお話をいただき、自分の中でしっかりと向き合い、新しいチャレンジをすることを決めました。菅澤ADにはとてもお世話になり、アカデミー時代から育ててもらい、恩を感じていました。その恩を返していきたいですし、また一緒に仕事をさせてもらえることに興味を持ち、絶対面白そうだと思いました。」
--菅澤ADとのこれまでの関係性を教えていただけますか?
小林「東京ヴェルディジュニアのセレクションを受けた時に菅澤ADが当時はヴェルディに在籍しており、僕が小学校4年生だった時に、僕らの代を指導してくださったのがはじまりです。その後、中学生まで菅澤ADとは監督・コーチと選手という立場で携わっていただき、プロになってからも、連絡を取り合っていました。」
--菅澤ADは指導者としてどんな方ですか?
小林「サッカーに対する考え方が突き抜けている方だと思います。自分を持ってますし、練習が本当に面白いです。
そして勝負事なので、勝ち負けにこだわる、勝つことで評価を得るということを菅澤ADさんは体現してきた方だと思います。」
--指導者として大切にしたいことはどんなことですか?
小林「正直、それすらも探り探りではありますが、まずは、自分が1人の人として認めてもらわなければならないと思います。グラウンドに出たら、サッカーに対して100%やろうとする姿勢を見せていきたいです。
育成では、人としてという部分も大事になると思います。しっかりとした大人になるための見本になりたいと思います。」
--現時点で、理想の指導者などはいますか?
小林「わからないです(笑)。正直、こういう風になりたいということはあまり考えたことはないです。」
--今は、ご自身のできる引き出しを増やしている最中ということですか?
小林「そうですね。FC町田ゼルビアのアカデミースタッフの方々は、本当に素晴らしい方ばかりなので、それを見て学ぶことが今は1番大事だと思います。」
--外から見ていた時のFC町田ゼルビアの印象、もしくは東京ヴェルディのアカデミーにいた時の印象などはありますか?
小林「失礼な話ですが、東京ヴェルディのアカデミーにいた時は、FC町田ゼルビアというクラブの印象はなかったです。ですが、ここ数年で着実に段階を踏んで成長しているクラブという印象があり、これから楽しみなクラブだなと思っていました。」
--FC町田ゼルビアにこういう形で貢献していきたいなど、思い描いているものはありますか?
小林「僕がお話をいただいたこと、菅澤ADに呼んでいただいた意味はプロサッカー選手として12年間やってきたことを、FC町田ゼルビアのアカデミーに持ち込むということだと思います。ここに関しては僕ができることだと思っていますし、菅澤ADから求められていることだと思っているので、しっかりやらなければいけないなと責任を感じています。」
--今シーズンの目標はありますか。個人とチームとしての両方あればそれぞれ教えてください。
小林「チームとしては、トップチームがJ2優勝、J1昇格を目指すように、アカデミーも上を目指さなればいけないクラブだと思っています。ですので、トップチームのスローガンである「町田を世界へ」と同様にアカデミーもそこを目指さなければいけないと思っています。
T1リーグで優勝し、プリンスリーグに昇格すること。そこから一人でも多くトップチームに絡んでいける選手を輩出できたらなと思います。個人的な目標は、ミスを恐れずチャレンジすることです。失敗することはもちろんあるかもしれませんが、自分自身で反省し、同じことを繰り返さないように意識しながらやっていきたいなと思います。」
--最後に、アカデミーを応援してくれるファン・サポーターの方にメッセージをお願いします。
小林「正直本当に自分が指導者をしていることに驚いている部分もあります。ただ、そのなかでも自分なりに精一杯やって、FC町田ゼルビアが地域の方々やサッカーをしている子供たちにとって、少しでも興味を持ってもらえる存在になれるように努力していきたいです。そのなかで、プロを目指したい、FC町田ゼルビアのトップチームで活躍したいと思ってくれるような選手が一人でも多く出てくるように自分自身も日々努力していきたいなと思っています。」
●編集後記・・・
小林コーチが加入すると聞いたときは大変驚きました。
プロ生活12年。
J1出場も250試合以上。
選手としての実績は誰もが知る選手。
ただ、ゼルビアでのプレー経験はなく、そんな方がどうしてゼルビアに来てくださるのか。
単純に疑問でしたが、今回のインタビューでそれが解決しました。
ご自身もチャレンジという言葉をたびたび使っており、セカンドキャリアを楽しんでいる様子でした。
自身が求められていることを感じ、それを今後様々な手法で選手たちに落とし込んでいってくれると思います。
小林コーチが育てた選手が、トップチームで躍動する日も、遠くないかもしれません。
(MACHIDiary 編集長より)



