--今回は岩間浩昭ジュニアコーチにお話を伺います。まずは自己紹介をお願いいたします!

岩間「こんにちは、岩間浩昭です。担当学年はU-11で小学5年生です。ゼルビアに来る前はジェフユナイテッド千葉でスカウトとU-14のコーチを担当していました。指導歴は大学を卒業した後、千葉の街クラブを指導してきたので、今年で16年目になります。」

 

--もう少し詳しく指導歴について聞かせて下さい。

岩間「地元の千葉を基盤に活動してきました。指導歴のスタートはACC四街道でして、その後は市立習志野高校でも指導してきました。また千葉のサッカー協会での仕事もしてきましたし、千葉市や千葉県のトレセンで指導する中でジェフのスタッフと知り合い、良いご縁をいただきました。ジェフでのスタートは普及部のスクールコーチをやりながら、2年目からはジュニアの立ち上げに携わり、ジュニアの一期生を指導。スカウトやアカデミーのジュニアのコーチを兼任し、ジェフには最終的に6年間在籍しました。」

 

--それだけの実績をお持ちの方が、なぜゼルビアにお越しいただけたのでしょうか。

岩間「それだけの実績といわれるのは恐縮です。私は千葉で生まれ育ち、暮らしている中で千葉という土地しか知りませんでした。指導者を始めた頃は、Jクラブに関わることはイメージしていませんでしたが、さまざまなご縁をいただいたことにより、Jクラブで働くチャンスをいただき、プロフェッショナルのクラブで仕事をすることに魅力を感じるようになりました。ジェフに在籍している時は、いろいろな方々にサポートしていただきましたが、仮に自分が知らない土地やクラブで何を発揮できるか。そういうチャレンジをしたい気持ちを持っていた中で、ゼルビアの菅澤大我アカデミーダイレクターからお話があり、今回のご縁をいただきました。」

 

--オファーがあった時の率直な心境は?

岩間「素直にうれしかったですし、チャレンジしたいという想いと、いろいろなタイミングが重なったので、思いきってチャレンジすることにしました。」

 

--外から見ていた時のゼルビアの印象は?

岩間「Jクラブのアカデミー同士とはいえ、地理的な距離もあったため、ジェフ時代はほとんど接点がありませんでした。自分が担当していたカテゴリーで練習試合をするようなこともなかったですね。ただU-14のメトロポリタンリーグで試合をしたことがありまして、その時の感触では情熱的なチームだなとは感じていました。」

 

--実際に中に入ってのゼルビアの印象はいかがですか。

岩間「街中でもゼルビアのポスターを見かけることも多いですし、町田という地域の中に“オラが街のクラブ”として根付いている印象を受けます。長い時間を掛けて、着実に根付いてきたんだなと思っています。」

 

--ゼルビアでの主な業務内容は?

岩間「スカウト業務とU-11のコーチを兼務しています。スカウト業務とは徹底的な視察です。正直、町田はこれまで縁がなかった土地であるため、いろいろな場所に顔を出して、ゼロから人間関係の構築をしています。開催されている大会を自分で調べて、大会に顔を出して、人間の繋がりを広げています。」

 

--スカウト業務の詳細は?

岩間「例えば、ジュニアを卒業する年代となった選手が、それまで在籍していた街クラブにジュニアユースのカテゴリーがないとなれば、進路を探さなければいけないというフェーズに入ってきます。その節目でゼルビアに入っていただけるようなアプローチをしていきます。」

 

--どんなアプローチ方法がありますか。

岩間「こちら側の誠意や熱意を見せることに尽きます。どうしたらゼルビアを選んでいただけるか。アカデミーのストロングポイントや今後クラブが目指している方向性を提示するようにしています。」

 

--ちなみにスカウト業務の繁忙期は?

岩間「スカウト業務が佳境な時期は、U-11のトレーニングは他のコーチングスタッフに託して、スカウト業務に専念します。1・2月ぐらいから、夏休みぐらいまでが勝負の時期ですね。」

 

--仕事をされている上でのポリシーは?

岩間「スカウトはクラブの“玄関口”。門構えはどんなものなのか。ゼルビアの入り口にふさわしい所作や言動は気にするようにしています。」

 

--コーチ業ではいかがでしょうか。

岩間「選手一人ひとりのために全力を尽くすこと。そして選手とコミュニケーションを取っていくことも大事にしています。選手とのコミュニケーションに関しては、選手たちに必要なことを考えながら動き、土岐田洸平監督、武藤真平コーチと3人で話をしながら、コミュニケーションの中で解決していきます。」

 

--指導する上で、土岐田監督とのパワーバランスの取り方が難しそうです。

岩間「土岐田監督も自分のことを尊重してくれますし、もちろん私自身も土岐田監督を尊重しています。監督とのパワーバランスの取り方は、自分の中での落とし所を見つけられているとは思います。またその場の雰囲気や空気感は、察知できるように努めています。」

 

--また選手を指導する上で大事にしていることは?

岩間「これまで自分が長く見てきた中学2年生は思春期を迎える時期であるため、そういう一面を踏まえながら必要なタイミングでコミュニケーションを取ってきました。自分のエネルギーをサッカーに向けられるように働きかけることは意識しています。」

 

--以前の土岐田監督へのインタビューで、岩間コーチの「強いチームほど、人間性も整っている」という指導方針が印象的でした。やはり人間教育を大事にしていると。

岩間「大好きなサッカーに熱中してほしいですし、サッカーにエネルギーを向けるようにすることが、繋がっているかもしれません。」

 

--選手を見る時に大事にしているポイントは?

岩間「得意な部分を見ますが、一番見ていることはその選手の雰囲気でしょうか。ピッチの中での凛とした姿や、ピッチ上での立ち居振る舞いがきれいな選手が目につきますね。」

 

--これからのゼルビアアカデミーの展望については、いかがでしょうか。

岩間「ゼルビアのアカデミーは、サッカーで違いが作れる、ピッチの中で自分を表現できる選手が育つ環境にあるため、今後はそういったアカデミーになっていくと思います。またスタッフは個性がありますし、素晴らしい仲間と一緒に仕事ができているため、毎日充実した日々を過ごさせていただいています。」

 

--ゼルビアで充実した日々を過ごされているのですね。

岩間「ココは確実に魅力のある選手が育つ環境にあると思いながら仕事をしています。才能ある選手に来ていただけるように、自分自身、頑張ってスカウト活動をしていきます。あとはこうしたアカデミーの活動をもっと知ってもらえるような発信もできればとも、個人的には思っています。」

 

--今、お話に出てきた岩間さんの立場での短期的、中期的、長期的スパンをそれぞれ聞かせて下さい。

岩間「自分自身、アカデミー全体のことを語れる立場にはないので、今自分が携わっているU-11の年代やスカウト業務という範囲でお話しします。短期的なスパンでは、他のコーチともコミュニケーションを取りながら、町田という地域の情報をキャッチし、押さえることです。中期的にはこの地域の有力選手を獲得し、クラブの発展に貢献することです。」

--最後に長期的スパンではいかがでしょうか。

岩間「長期的スパンでは、スカウトのエリアを拡大していく必要性もあります。子どもの数が年代と地域によってバラツキがあるため、見られる分母を増やしていかないと。その分母を増やして、タレントを発掘していくことも、自分の仕事の成果だと思っているので、そういったイメージは持っています。」

 

--ちなみに現在の地理的な意味でのスカウトの範囲はどのエリアですか?

岩間「小田急線や京王線など公共交通機関で1時間から1時間30分で通うことが可能なエリアです。幸い町田は相模原、川崎、横浜が隣町になるため、そういう意味ではスカウトとしては、可能性が広がっている地域です。」

 

--他クラブとの競合はあるけれども、カバーできる範囲の選手の数という意味では、可能性はかなり広がっていると。ちなみに現時点での認識として、菅澤アカデミーダイレクターが理想とするアカデミーの姿に向けて、順調に来ている手ごたえはありますか?

岩間「菅澤ダイレクターにしか表現できないことですが、目指すものを一緒に描ける方々がそろっているとは思います。それぞれのストロングポイントを活かしながら、皆が働いているという印象です。自分自身の仕事にも手ごたえを感じています。」

 

--まだ道半ばとはいえ、順調と聞くと、今後に期待が膨らみます。

岩間「それぞれが同じ想いの下に仕事をできていれば、順調と言って良いのではないでしょうか。菅澤さんは1人ひとりの意思を尊重してくれます。それぞれがコミュニケーションを取りながら、こちら側の見解にも聞く耳を持っていただいています。またこちら側の話を後押ししてくれるので、やりがいをもって日々仕事に取り組んでいます。」

 

--最後にファン、サポーターの皆様へ、メッセージをお願いいたします。

岩間「アカデミーをより良くしていこうと取り組んでいますし、1人でも多く、トップチームのピッチに立てる選手を輩出していこうと頑張っているので、これからもぜひアカデミーの活動には注目していただき、ぜひ応援して下さい。よろしくお願いいたします。」

 

●編集後記・・・

アカデミーのスカウト活動とはどんなことをやっているんだろう??

そんな疑問から、今回の取材が決まりました。

 

普段はなかなか話しを聞けない岩間コーチ。

いつも、とても細やかで様々なところまで配慮しながら練習の準備を行う岩間コーチ。
それは今回のMACHIDaiaryの取材の準備も同様でした。

 

最初は少し緊張した表情の岩間コーチでしたが、現在の仕事について話す場面では、充実した表情を浮かべ、アカデミーの未来についても熱く語る姿がとても印象に残り、今後がさらに楽しみになりました。

これまでのアカデミーの歴史や経験に、さらに積み上げられていくアカデミー活動にもより注目をしてみてください。

(MACHIDiary 編集長より)