--今回はFC町田ゼルビアユースの山下輝選手と森久幹太選手にお話を伺います。まずは自己紹介をお願いします!
山下「FC町田ゼルビアユース背番号4番、山下輝(やましたひかる)です。ポジションはセンターバックをやっています。ストロングポイントはヘディングなどの競り合いやフィジカルで当たり負けしないところです。チームメイトからはヒカルと呼ばれています」
森久「FC町田ゼルビアユース背番号8番、森久幹太(もりひさかんた)です。ポジションはミッドフィルダーです。ストロングポイントは俊敏性と足もとの技術です。チームメイトからはカンタと呼ばれています。」
--森久選手の中盤での役割は?
森久「インサイドハーフやボランチでプレーしています」
--山下選手は今年のキャプテンですね。どうやって選ばれたのでしょうか?
山下「キャプテンはまず3年生全員で話し合って、そのなかでぼくが立候補した形でやらせていただきました。」
森久「多くがジュニアユースから上がってきているということもあって中学生のときからキャプテンをやっているヒカルはリーダーシップがあると思われているし、ぼくから見てもそれはあるのかな、と。キャプテンがヒカルだと決まっていたわけじゃないですけど、彼のキャラクターからしてある程度決まっていましたね。」
--中盤の選手からすると山下選手のそういうキャラクターは頼もしいですか。
森久「ヒカルがうしろにいると安心するというのは声かけを考えてもありますし、後ろから発信する選手がいないと前の選手としてもやりづらい。やっぱり、すごく助かります!」
--性格的な印象はいかがですか。
森久「ひとことで言えば『優しい』という言葉がいちばん当てはまるかなと思います。自分の考えもしっかり持ちつつ、他人の考えも受け容れてくれたり聞き入れてくれたりして。まとめ役がぴったりだと思います。」
--山下選手から見てプレーヤーとしての森久選手はどんなキャラクターに映りますか。
山下「声をしっかり出してチームを引っ張ってくれる存在と言えると思います。ボールを扱う技術が高く、ハードワークが出来てチームのために貢献出来る選手ですね。」
--性格的には?
山下「性格的にはとてもおもしろく、ピッチ内でもピッチ外でもチームの雰囲気をよくしてくれる選手で。優しくて、チームを明るくしてくれます!」
--この選手みたいになりたい、あるいはこういうプレーを意識しているといったプレーヤー像は?
山下「ぼくはチアゴシウバ選手のような選手をめざしています。競り合いに負けないところだったり、フィジカルで当たり負けないところとか。そのなかでチームを統率することもやっているところは参考にしたいと思います。」
森久「最近、トップの試合を生で観させてもらう機会があって、髙江(麗央)選手が攻守に存在感を発揮しているところがすごく印象的でそのプレーを意識しています。ぼくも8番を着けさせてもらっているので同じ背番号というところで意識はしていますね。」
--いま髙江選手の話が出ましたが、トップチームで好きな選手というと誰になりますか?
森久「ぼくは、今年トップに上がった樋口(堅)選手が好きです。ぼくは外部(ユースから加入)からFC町田ゼルビアに入ったので、最初は右も左もわからない状態で、そのときに樋口選手がよくしてくれて、アドバイスをしてくれましたし、ピッチ内のこともピッチ外のこともいろいろと学ばせてもらいました。そういうこともあってぼくは樋口選手を応援したいですし、早くスタジアムで観たいと思います。」
--トップチームがあるクラブならではのアカデミーとの連続性がありますね。
森久「アカデミーから昇格した一年目の樋口選手、一個上の先輩が実際にプロの世界でプレーしているというのはいま自分がユースでやっていて刺激になりますし、もっとやらないといけないなと、気持ちも高まります。」
--山下選手が好きなトップの選手は?
山下「ぼくはチョンテセ選手です。献身的なプレーをしてチームを引っ張るだけじゃなくて声をいっぱい出したりするところがいいと思っています。攻撃の面でも、ああいうアクロバティックなプレーする選手が好きで、生で観させていただくときも、ついつい眼で追ってしまいますね。」
--森久選手はユースから町田に入ったとのことですが、入る前はどういうクラブだと感じていましたか。
森久「自分が中学生の時にジュニアユースにぼくの小学校時代の知り合いが何人か所属してました。しかもぼくが中学で所属していたチーム(FC多摩)が町田に近かったこともあり、身近なクラブという印象でした。Jクラブのアカデミーということもあって試合の結果も気になりますし、意識していました。」
--FC町田ゼルビアのユースに入ろうと思ったのもその辺りが理由ですか。
森久「そうですね。やっぱりトップチームがあって、よりプロを意識した環境で出来るということがすごく大きなメリットだなと思いました。」
--山下選手はジュニアユースからの昇格で中高6年間の最終学年ということになりますが、どのような決意で今シーズンに臨んでいますか。
山下「6年目になって、コーチ、スタッフ、サポーター、選手、家族、いろいろな人に支えられてここまで来ているので、しっかり恩返しが出来るように、感謝の気持ちを持って、自分たちの頑張っている姿をしっかりと見せられるように全力でやろうという気持ちでやっています。」
--アカデミーはクラブの看板を背負って立つ集団だとも思いますが、やはりそういう自覚があるのでしょうか?
山下「そうですね、たとえば移動の際にはクラブのエンブレムが入った服を着ているので、
『周りから見られているのだから気をつけなくては』という意識は年々強くなっています。
ピッチ内だけでなくピッチ外でもゼルビアの一員にふさわしい振る舞いをしないといけないと、実感しています。エンブレムを背負っていなくても、人としてマナーを大切にしないといけないとも思います。」
--森久選手もクラブエンブレムへの想いは強くなってきていますか。
森久「そうですね。中学校では所属していたクラブにも愛着や誇りはあるんですけど、ゼルビアはトップまでつづいているクラブであって自分たちだけのエンブレムではないので、責任の大きさを感じています。」
--外部から来てユースに入り、中から見てFC町田ゼルビアというクラブについてあらためて思ったことはなんですか?
森久「外から入って驚いたことは、経験豊かなコーチが多くて、元プロでプレーされていたり、ゼルビアで活躍していた元プロの選手だったという人もおり、いろいろと吸収するものが多いですし、吸収しないといけないなという気持ちになります。
『この人がプロの世界でやっていたんだな』と思うと尊敬する気持ちになりますし、言葉に説得力があるので素直に受け容れようと思います。」
--山下選手はジュニアユースからですけど、FC町田ゼルビアに入ったきっかけは?
山下「正直なところ入団する前まではゼルビアのことを知らなかったんです。最初の接点は、小学5年のときに出た大会でゼルビアのスタッフの方に声をかけていただいたことで、それ以降、ゼルビアのことを知るようになりました。加入のきっかけは、森久選手も言っていたように、トップがある環境でやることがプロになるためにはいちばんいいところだと思ったことと。もうひとつは、そのときトップで活躍していた重松(健太郎)選手に心を掴まれてこのクラブでやりたいと思い、入りました。」
--その少年もいまや高校3年生のキャプテン。時の流れを感じますが、今年のユースはどんなチームになっているのでしょうか。
山下「1年生から3年生まで全体的に壁がないというか、仲がいい。意見を交換するのもフランクに出来るチームだと思います。」
--なるほど、いいチームですね。サッカー面に関してはどうでしょうか。アカデミーとしては方針が定まっていても、監督が替わると中身も少し変わりそうですが。
山下「去年から相手の選手と選手の間に空いているスペースにポジションをとるという大きなベースが変更した中で、今年はそれを継続してやっています。さらにボールが動いた先での連動とか、状況が変わったときの自分のポジショニングを変えるところなどプレーを要求されることが多いです。」
--そうとう頭を使うと思いますが、やっていくうちにシンキングスピードが短縮されていくものなのでしょうか?
山下「(監督の中山)貴夫さんによく言われるのは、『頭を使ってプレーしていかないと、プレーのスピードは速くなっていかない』ということです。頭を使うということを意識してやっていかないといけないと思います。」
--森久選手も昨年との比較でちがうところがあると感じますか。
森久「そうですね。いつも『基準を高く』と言われています。上のチームと戦っていくうえで、自分たちの基準を上げていかないといつまでもそこのレベル止まりなので、基準を高くして、そして当たり前を当たり前にしていくことで自分たちのレベルが上がっていくのだと思っています。」
--いろいろなクラブでトップとアカデミーを貫く方針が定まってきていますが、言い換えるとアカデミーの選手もトップでやっていることを出来るようにならないといけなくて、これは難しい作業だと思います。しかしだからこそやりがいがある、という感じなのでしょうか?
森久「トップがそうしているようにボールを握るというのは自分たちユースのテーマでもありますし、最近トップの試合を生で観戦させてもらってより身近に感じられるようになったというか、そこでプレーしたいという想いは強くなりましたね。」
森久「負けず嫌いな選手が多くて、それが悪い方向に働くときもあるんですけど、それを良い方向に持っていけば、勝ちたいという想いが強みになると思います。」
--記憶に新しいクラブユース選手権関東大会はノックアウトステージ1回戦で柏レイソルに敗れて敗退ということになりました。この試合を含めて大会をどう振り返りますか。
森久「その前にグループステージを全勝できなかった(2勝1敗)ことが大きかったです。自分たちも身が引き締まったと言いますか。最後の全国につながる大会なので『やらなきゃいけない』という想いがより強くなったなかでレイソル戦を迎えました。ボールを握れる時間もありましたし、自分たちが攻めている時間もあったんですけど、巡ってきた一回のチャンスを決めきれるか決めきれないか、一人ひとりの身体の大きさやスピード、1対1で相手を上回る技術、そういうところで自分たちの結果からすると、まだ内容が伴っていない、なるべくしてなった結果だと思います。」
--山下選手はキャプテンとしていかがですか。
山下「レイソル戦はベンチだったのですが、ピッチ外から観ていて選手一人ひとりの質やスピードはレイソルのほうがゼルビアよりも上だったという印象はありました。でもそのなかでもゼルビアは連動、三人目の動きといったところを意識してプレー出来ていたので、まったくやれていなかったということはないですけど、個の部分で負けてしまったなという印象でした。」
--とはいえリーグ戦もあり、シーズンは続いていきます。今年のチームとしての目標は。
山下「今年の最初に立てた目標はクラブユースの全国出場と、T1、T2リーグを優勝で昇格するというものだったんですけど、クラブユースは敗退してしまいました。この反省を踏まえて、Tリーグではしっかり勝ちきれるようにしていきたいと思います。」
--個人としての目標は。
山下「今年はベンチで試合に出られない時間が多いので、まずスタメンで出られるように練習をたくさん積むこと、昨年から試合に出たときにクリーンシートが少ないので失点をしない、チームを勝たせる守備が出来るようにがんばっていきたいと思います。」
森久「チームとしての目標と同じになってしまうんですけど、クラブユースに負けて悔しい想いが強いので、個人としても圧倒的に差をつけて強いなという印象を与えてのリーグ優勝を狙いたいと思います。」
--では最後に、ファン・サポーターに向けてのメッセージを。
森久「最近は有観客での試合も増えてそういう状況になったことは感謝しないといけないですし、当たり前のことではないので、そういうなかで結果というものを目に見えて出していかないといけないと思います。結果を出していけるように頑張るので一年間応援をよろしくお願いします。」
山下「ぼくたちはトップチームで活躍するために練習を日々積んで頑張っているので、応援よろしくお願いします。」
●編集後記・・・
悔しい結果に終わったクラブユース選手権。
柏レイソルとの激闘を振り返る場面では、山下キャプテンの悔しさが、画面越しにでも強く伝わるほどでした。
一方で、T1リーグでは3試合を終え2勝1分け。
特に第3節の国学院久我山戦ではアディショナルタイムに森久選手の決勝弾による勝利はチームに大きな自信をもたらすものであったのではないかと思います。
有観客での試合に対しての感謝の気持ちなど、サッカー選手としてはもちろん、一人の人としての立ち振る舞いも語った二人。
これからのユースの試合も注目です。
(MACHIDiary 編集長より)