--今回はFC町田ゼルビアスクールコーチであり、出前サッカーリーダーでもある細野さんにお話を伺います。まずは自己紹介をお願いいたします!
細野「1997年1月31日生まれの25歳。出身は神奈川県伊勢原市です。ゼルビアでお世話になってから今年で6年目になります。普段は幼稚園生から大人の方を対象としたサッカースクールのコーチをしています。」
--日本が初めてW杯出場を決めた年に産まれたのですね(苦笑)。
細野「両親に最初に買ってもらったボールが2002年日韓W杯で使用されたモデルでした。ちなみにフランスW杯のことは記憶にありません(笑)。」
--スクール生には何と呼ばれていますか?
細野「細野コーチとか、小さいスクール生には「ホソホソコーチ」と呼ばれています。」
--そのニックネームの語源は?
細野「他のコーチの呼ばれ方も同じ言葉を繰り返し使われることが多く、その流れからホソホソコーチと呼ばれることが多いです。最近は伝統的な呼び方になっていますね(笑)。」
--スクールのコーチは、実際にどんなことをされているのでしょうか。
細野「午前中は町田市内の幼稚園、保育園、小学校に出向き、出前サッカーという活動をしています。午後は町田市内の会場でサッカースクールを開催しているので、スクール生を指導しています。」
--もう少し出前サッカーを補足していただけますか。
細野「町田市内の幼稚園、保育園、小学校に出向き、体育の授業時間にゼルビアのスクールコーチがサッカーを指導するというものです。普段のスクールとは違って、クラス全体に向けての活動であるため、全然サッカーに触れたことがない生徒もいれば、全員男子ということではなく、クラスの半数が女子です。そういった生徒たちに向けて、全身を使ってボールで遊ぶことから入って、「運動って楽しいよね」とか、どんな生徒でも楽しく「サッカーはこういうものだよね」と実感できるような指導をしています。例えば町田市内の小学校の授業は1コマが45分です。その中でドリブルやシュート、最後はゲームも行い、バタバタしながら、楽しくサッカーを指導しています。」
--素朴な疑問として、ゲームの時に、GKをやる人がいない、といったケースはどうされているのですか。
細野「これが意外と面白いもので、GKは人気のポジションですね。女子がやるケースもあります。またこちらが何か働き掛けたわけではないのに、GKではないけど、ずっとゴールの前で守っていたり、自然とサッカーでいうポジションを取る形になります。」
--例えばFWのポジションはクラスの力関係が上の生徒がやって、あまり主張できない生徒がディフェンスをやる、といったケースは、もはや昔の話ですか。
細野「学校のクラスの中での活動であるため、圧倒的にサッカーをプレーしていない生徒たちで占められています。逆に普段からサッカーをプレーしている生徒が優しく教えたり、リーダーシップを取って「自分がパスを出すから、ゴール前で待っていて良いよ」とか、ゴールを決める楽しさを教えるようなこともしています。いつもサッカーをプレーしている生徒が、やっていない生徒たちに気遣うことも多いですよ。」
--点を取る喜びを知ってもらって、サッカー人口を増やしたい想いがあるのかもしれませんね。そうすることでサッカーをプレーする喜びを感じてもらえますね。
細野「できるだけサッカーを楽しめる空気を作ることは心掛けています。またどんな生徒にも分かりやすく教えることは意識しています。普段のサッカースクールとは違って、サッカー用語1つをとっても、理解されているケースは少ないですし、例えばドリブルとはどういうものか。出前サッカーでは、ドリブルはこういうものだよと、コーチがドリブルのデモンストレーションを見せる段階から始まります。やり方が分からず、できないことがストレスになると思うので、分かりやすく、サッカーを楽しめるように工夫しています。」
--出前サッカーは年に何回ほど開催されているのですか?
細野「年間100回前後です。ただ例えば小学校の場合、ボールを使った授業は2学期の終わりか、3学期になることが多いため、10月過ぎぐらいから2月末が繁忙期です。100回のうち80回ぐらいはその時期に実行します。ちょうど4月の時期は学校が新しい学年にクラスが変わったばかりのタイミングであるため、他にやることがたくさんあるでしょうから、この時期は控えています。」
--細野さんなりに考える出前サッカーの魅力とは?
細野「それぞれのレベルに合わせてプレーできることで、できたことへの喜びや、最初はできなかったけど、挑戦することでできるようになった成功体験を得られることが魅力です。またFC町田ゼルビアを身近に感じてもらえることも魅力だと思います。」
--出前サッカーだからこそ、体験できることもありそうですね。
細野「サッカーは楽しいですし、ゼルビアを知ってもらうことも大事にしている一方で、私自身がプレーヤーというよりは見る側だったこともあるので、サッカーには見る楽しさがあることも伝えていきたいです。例えばゲームでピッチに立っていない選手がピッチに立っている選手を応援して楽しむ、見て楽しむ。そういったことも伝えていきたいです。」
--出前サッカーを通じてうれしかった出来事はありますか。
細野「出前サッカーを経験したことで、のちにゼルビアのスクールに参加してくれるケースもあります。「実は保育園や小学校にホソホソコーチが来てくれたので、サッカーが気になって、スクールに連れてきました」といったこともありました。出前サッカーの時間が楽しかったと実感していただけたこともうれしいですが、出前サッカーを1つのきっかけとして、その後にサッカーに携わるきっかけに繋がった時はとてもうれしいです。また出前サッカーの時にはゼルビアのホームゲームの案内もしますし、先週末に試合が開催されて、ゼルビアが勝ったといった報告もするようにしているため、ゼルビアのホームゲームに来るきっかけに繋がることもうれしい出来事です。」
--そもそも、なぜ指導者の道を目指したのでしょうか。
細野「もともとサッカーを見るのが好きだったので、サッカーに携わる仕事がしたいなと思っていたところ、いろいろなご縁が重なり、こうしてゼルビアでスクールコーチをさせていただいています。」
--サッカーを見ている中で、ひいきにしているチームなどはあったのでしょうか。
細野「ずっとイングランドのプレミアリーグが好きです。好きな選手は自分と同じ左利きであるガレス・ベイル選手。足は速くないですが(笑)。」
--ゼルビアでスクールのコーチをやるようになったきっかけは?
細野「スポーツインストラクター系の専門学校に通っている時に、インターンという形でゼルビアのスクールのアシスタントコーチとしてお世話になっていました。そして専門学校を卒業するにあたって、就職を決める時に、ゼルビアのスクールコーチをやりたいと話している中で、ご縁があって今に至ります。今年でインターンを含めて7年目なので、16年からゼルビアに携わっています。」
--指導者としてのポリシーは?
細野「出前サッカーの話と重複しますが、子どもたちが全力で楽しめる環境作りが自分たちの仕事なので、ルール説明1つをとっても分かりやすく伝えることは意識しています。またサッカーに集中できるように、コーンの色を変えたり、高学年の生徒には簡潔なワードを使うような工夫をしています。」
--教え方は独学で勉強しているのですか。
細野「他のコーチたちの様子を観察しながら、盗めるものは盗むようにしています。「今の言葉の伝え方は分かりやすかったな」とか、その言葉を受けて実際にプレーしている場面を見て、「こういう言葉が分かりやすいのか」と、見てマネをしていました。また諸先輩方からの助言でいろいろと学んでいます。」
--ここからは少し細野コーチご自身の人となりをお伺いします。実際にサッカーはプレーしていたのでしょうか。
細野「チームの中でうまいほうではなかったですし、どちらかと言うと、サッカーに対しては自分自身がやるものというよりは、見るものという視点が強いです。競技としてガッツリやっていたのは、中学校の部活まで。高校からは見る方が多くなりました。ボールを蹴るという意味では、高校生の時に社会人のフットサルチームに混ぜていただき、週3回ほど活動していました。」
--サッカーではどのポジションですか。
細野「サイドバックからウイングバック、サイドハーフ、ウイングまで、左サイドが主戦場でした。左足でボールを保持して、クロスを蹴り込むようなプレーヤーでした。」
--お休みの日はどんなことをされていますか。
細野「プレミアリーグとか、サッカーを見ていることが多いです。中学の時に、プレミアリーグを見ている友人が多く、週明けに週末の試合の話をすることがとても楽しみでした。中学生の時はまだ部活をやっていたので、夏のナイターはなじみがありましたが、チームの活動とどうしてもJリーグの試合が重なることが多く、見る機会は決して多くなかったです。部活が終わってからのタイミングだと、海外リーグの方が見やすかったことも影響していると思います。」
--サッカーを見る以外のリラックスタイムは?
細野「洋画などの海外映画を見ています。ザ・男の子が好きそうなアメコミヒーローとか、車が走っているアクション系とか、恐竜が出てくるような映画が好きです(笑)。」
--話は戻りますが、ゼルビアのスクールの全体的な魅力はいかがでしょうか。
細野「町田市内でいろいろなクラスを作って、スクールを開催しています。サッカーをやっていれば、「アドヴァンスクラス」という、少年団等に所属をしている子ども向けの競技志向に寄せたクラスがあります。また他にはセレクションがある「スペシャルクラス」や、サッカーを始めたばかりの人たち向けの「キックオフクラス」など、多岐に渡っています。ゼルビアのスクールに通いやすい状況を作っていることが魅力だと思います。」
--今後出前サッカーやゼルビアスクールをどのようにしていきたいといった将来像はありますか。
細野「先ほど、出前サッカーでサッカーをプレーした生徒たちがスクールに入ってくるケースを紹介しましたが、まだまだその数は少ないのが現状です。やはりそういったサイクルをもっと作っていきたいです。また出前サッカーに関われていない幼稚園、保育園、小学校はたくさんあるので、そういったところにどんどん出向いていける回数も増やしたいです。一度出前サッカーで行った学校にも、「また来年も来てほしい」と思っていただけるような活動もしていきたいです。」
--改めてこの仕事の魅力を聞かせて下さい。
細野「子どもたちの成長を間近に感じられることが魅力です。リフティングが10回から15回に増えたとか、できることが増えていく瞬間に立ち会えることも素晴らしいと思います。」
--まさに親になったような気分ですね。ちなみにホームゲームの会場で細野さんとお会いするにはどうしたら良いですか。
細野「まずはふれあいサッカーの手伝いをしているので、ぜひご参加下さい。また試合前は子どもたち向けのキックのスピードを測るスピードガンや、スクールコーチとサッカー対決ができるブースにいるので、ぜひお立ち寄り下さい。お待ちしております。」
--それでは、細野コーチにとって、FC町田ゼルビアとは?
細野「全然右も左も分からない時から、温かく迎えて下さり、ゼルビアはいろいろな経験や学びがある場です。まだまだ足りない部分はたくさんありますが、もっともっと成長していきたいです。」
--最後に言い足りないことはありますか。告知などがあれば、お願いいたします。
細野「今年度の出前サッカーも受付中なのでぜひご興味がある学校・保育園・幼稚園関係者の方はお気軽に細野までお問合せいただければと思います。」
●編集後記・・・
いつも明るく元気よく挨拶をしてくださる細野コーチが、真剣な眼差しで、自身の活動を語る姿はとても頼もしく、時に熱を帯びた口調からは、FC町田ゼルビアへの想いも強く感じました。
また、一つ一つの言葉選びも丁寧にしていただいているところなどは普段の活動からくるものであり、聞いている私達も非常にわかりやすい言葉にしたのは、「誰でもわかる言葉に訳してくれた」のではないかと思います。
その気遣いに心が温かくもなりました。
普段はなかなか、表に出てこない細野コーチには、ホームゲームのふれあいサッカーや普及部ブースにいますので、ぜひ「ホソホソコーチ~!」と声を掛けてみてください。
明るい笑顔と元気な声で答えてくれると思います。
出前サッカーについてはこちら
(MACHIDiary 編集長より)