--今回はチームバスのドライバーである酒井さんにお話を伺います。いつからチームバスのドライバーをされているのですか?

酒井「最初に始めたのは 2010 年と 11 年の頃です。当時は深津康太選手、三鬼海選手、田代真一選手も乗っている頃でした。専属ではなかったので、数試合スポットで乗らせて頂いた後でした。」

 

--チームバスドライバーとは具体的にはどのような業務なのでしょうか。

酒井「トップチームの送迎です。ホームでは町田GIONスタジアム、アウェイでは、遠征での空港までの送迎、そして首都圏や関東圏の試合はもちろんのこと、松本、甲府、磐田あたりまでは送迎しています。」

--その業務の中で特に気をつけていることは?

酒井「なによりも安全運転です。試合前は乗車していて選手が疲れてしまうようでは申し訳ないので、より気をつけるようにはしています。」

--どのようなきっかけでチームバスのドライバーになられたのですか?

酒井「2010 年と 2011 年にスポット的にやらせて頂いた後、復帰するまでの最後の試合が 2018 年の鹿島アントラーズとの天皇杯の送迎でした。そして本格的にチームバスのドライバーに復帰したのが昨年の浦和レッズとのトレーニングマッチからです。コロナ禍でほかの仕事が厳しくなる中、ドライバーも休業のような形となっていました。その中で浦和とのトレーニングマッチを皮切りにクラブから依頼がありまして、自分は自宅も近いので、『自分がやりますよ』と手を上げて始めたことがきっかけになりました。」

 

--それまでゼルビアとの接点はありましたか?

酒井「パートナー企業でもありますし、サポーターの皆様が行かれるアウェイのバスツアーを出す機会もありましたから、馴染みはありました。」

--ちなみにやりがいや楽しさとは?

酒井「チームの勝利がうれしいですし、移動日も伴う近場の遠征であれば、選手たちとコミュニケーションを取る機会もあります。チームの力になれることがうれしいです。」

 

--試合前の緊張感と試合後の勝敗によっても雰囲気は違いますよね…。

酒井「試合前は選手の皆さんが集中力を高めるためにいつも通りです。試合後も割と疲労を取るためにゆっくりはしていますね。ただバスに乗り込む時には、試合結果によってはテンションに違いはあります。」

--勝利の後だとグータッチがあったり?

酒井「名前を覚えてもらっているので、声も掛けていただきます。深津選手はポケットからお菓子を渡してくれたりしますし、アーリア(長谷川アーリアジャスール)選手は勝つと『イエーイ!』という声とともに、グータッチを求めてきます(笑)。」

 

--この業務の難しいことなどはありますか?

酒井「スケジュールが決まっているので、遅れるのはもってのほかですし、早過ぎても良くないです。時間調整の難しさはあります。とはいえ、マネージャーの渡辺さんにはゆとりを持って時間設定をしていただいているので、そのあたりはとても助かっています。」

--今だから話せるトラブルはありますか?

酒井「トラブルというのはないですが、今季(2021 シーズン)のフクアリでの千葉戦からの帰りが渋滞しまして…。結果的に松本から帰ってくるよりも、時間が掛かってしまいました。」

--これまでに印象に残っている試合などはありますか?

酒井「昨年であればアウェイでの群馬戦です。その試合がハマるきっかけになりました。自分が本格的にチームバスドライバーになってから初めて勝った試合だったことも印象に残っています。今年であれば、アウェイでの大宮戦。3連勝だったこともあってか、選手たちもハイテンションでした。」

 

--やっぱりチームの勝利が最高の喜びだと。

酒井「ただの送迎役ではありますが、選手たちの名前も覚えて、顔も分かるようになると、思い入れが変わってきます。」

 

--ちなみに試合中はどうされているのですか?

酒井「スタンドで見ることもありますが、相手チームに点を決められた時の気分がよろしくないので、ピッチレベルで見ることもあります。もちろん、ゼルビアが点を取った時は力が入ってしまいます(笑)。」

 

--ここからは酒井さんご自身のことを聞かせて下さい。スポーツをされていたことは?

酒井「年代の影響もあって、野球少年でした。ポジションは内野手でサード。ピッチャーやキャッチャーをやることもありましたよ。打順は…。それなりに打てたので、真ん中の3、4、5番を(笑)。サッカーはお遊び程度でしたが今はサッカーに夢中です(笑)。」

 

--休みの日は何をされていますか?

酒井「今はコロナ禍でもあるので、家で大人しくしていることが多いです。コロナ禍前は、仕事で観光地へ行くので、バスで行けないような観光地に行くこともありました。」

 

--コロナ禍が落ち着いた後に、サポーターに行ってほしいオススメのスポットはありますか?

酒井「温泉が好きですね。オススメは白濁の湯である岩手の松川温泉。温泉地なのでほかに楽しめるスポットはあまりないですが、温泉に入って過ごすには良い場所ですよ。私も好きで何回か行っています。」

--プリンシプル自動車さんとして大切にされている企業ポリシーは?

酒井「地元に根付くバス会社であることが第一です。地域の交通安全活動に参加することもありますし、地元の町田を大切にしていくことが1つのポリシーです。」

 

--入社からどれくらい経つのですか?

酒井「2007 年に会社が立ち上がり、入社は翌年の年明け 08 年です。気がついたら一番の古株になりました。」

--普段はどのような業務をされているのでしょうか?

酒井「企業の従業員さんの送迎から小学生の遠足、一般観光客のバスツアーもあります。ローテーションでそのバスに乗車する形です。9月、10月は秋の行楽シーズンでもあるため、この時期はトップシーズンなのですが、コロナ禍でもあることで、今は難しい状況です。春は桜、冬はスキーと、1年中何かしら忙しくはしていました。」

 

--プリンシプル自動車に入社する前にこのようなプロスポーツチームのバスドライバーになることを考えていましたか?

酒井「全く想像していなかったです。本格的にチームバスのドライバーになった浦和とのトレーニングマッチはトータルで 2-1 で勝利して、結果も良かったですし、それによって心を掴まれてしまいました。」

 

--プリンシプル自動車さんにとっても、FC 町田ゼルビアの存在は近いものになっていますか?

酒井「JFLの頃からのお付き合いですし、J2に上がり、J3を戦い、今はJ1の近いところまで来ています。戦うカテゴリーが変わる中でも、年々近い存在になっています。コロナ禍前はマッチデーもやらせていただいていました。マイクロバスを並べたり、体験乗車のコーナーがあったりしたことを覚えているサポーターの方もいると思います。落ち着けばまた再開できればなとは思います。」

 

--この機会にプリンシプル自動車さんのアピールをどうぞ!

酒井「アウェイ席が開放される状況になればアウェイのツアーバスを出しますので、ぜひ一度ご利用下さい!呼んでいただければ行きますので、アウェイまで一緒に戦いに行きましょう!」

--FC 町田ゼルビアには今後、どうなっていってほしいですか?

酒井「選手たちも話しているように、J1に昇格してほしいです。まずはJ1に昇格して定着してほしいですし、そうなれば次は、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)を戦ってほしいです。バックスタンドもできましたし、クラブハウスも完成します。チームバスもフルラッピングのJ1仕様に変貌し、近隣のアウェイのJ1のスタジアムを回れるようになるとうれしいです。」

 

--J1に昇格した時の感情を想像することはありますか?

酒井「チームトラックドライバー(荷物車ドライバー)の宮田さんとも見たことがないスタジアムに行ってみたい、連れて行ってほしいよね!と、いう話はよくしています。J1昇格が決まった日の送迎は、帰ってくるまでは安全に帰らなければならないので、終わった後にその喜びを噛み締めたいと思います。」

--酒井さんが男泣きをする日が1日でも早く来ることを願っています。では最後に酒井さんにとって FC町田ゼルビアとは?

酒井「本来仕事としてやっている中で、こうして趣味にも発展しました。もう楽しみでしかないですね。これから先、もっと上に行っていただければ、もっと楽しい夢を見ることができます。そうなることが楽しみで仕方がないですし、ゼルビアはもはや私にとって、生活の一部となっています。」

 

●編集後記・・・

アウェイゲームに全試合帯同している私は、近場のアウェイゲームの時に酒井さん・宮田さん(荷物車ドライバー)と一緒にピッチレベルで試合を観ることがあります。

町田が失点をすれば、悔しがり。

町田が得点をすれば3人でグータッチ!

 

普段は冷静な表情で運転をする酒井さんの表情が大きく崩れる瞬間を見ると、『生活の一部』と言っていただけることが、まさにそうなんだろうな。

と、感じます。

 

冷静な表情でハンドルを握り、安全運転でチームを試合会場と集合場所の行き来をしていただける酒井さん。

 

J1昇格の帰り道。

選手を乗せたチームバスの運転席に座る酒井さんの表情に注目してみてください。

メガネのその下の表情は。

きっと誰よりも崩れているはずです。

(MACHIDiary 編集長より)