--今回はパートナー事業部の伊東さんにお話を伺います。社内ではどのような業務をしているのですか?

伊東「業務内容はパートナー企業さんを1つでも増やすことが主な仕事の1つです。新規はもちろんのこと、継続していただいているパートナー企業さんに対して、より有効にゼルビアを活用いただける関係性を築くことや、新たなアクティベーションや取り組みを提案し、実行まで移していく業務をしています.。」

 

--『天空の城 野津田』プロジェクトメンバーの1人でもありますよね?

伊東「そうですね。先日の秋田戦での『コスプレフェス』のサポートもしましたし、その都度、必要なことに応じて関わっています。パートナー企業さんが関わってくる場合は、その橋渡し役のようなこともしています。もしくは当日の対応が多いですね。」

 

--最近、新規の契約を勝ち取ったパートナー企業さんとの取り組みで手ごたえを感じている具体的な事例はありますか。

伊東「3つあります。1つは国立市の学習塾、株式会社ACフォルテさんとオフィシャルクラブパートナー契約を締結させていただいたことです。サッカークラブへの協賛で思いつくことと言えば、ユニフォームへの広告掲出やスタジアム内の看板設置があると思いますが、そういったこととはまた違った形での協賛になっています。昨年から取り組んでいる『ゼル塾』をフックにして、ACフォルテさんには教材を提供していただいています。我々の取り組みが商品になったケースとして、良かったなと思える事例です。」

 

--2つ目は?

伊東「人材派遣系である株式会社エントリーさんとのオフィシャルクラブパートナー契約です。エントリーさんには4月21日のFC琉球戦を団体観戦していただき、30名以上の社員の方々が仕事終わりに野津田までお越しいただきました。社内の熱量を上げるために、ゼルビアを活用していただきました。」

--3つ目は?

伊東「町田市にある株式会社アジラさんというパートナー企業さんとの事例です。昨年からご協賛いただき、今年も継続していただいているのですが、ピッチ内に看板を置くことや、ゼルビーのユニフォームにロゴを掲示させていただくなど、昨年よりも大きくステップアップした形で今年はご協賛いただいています。また、スタジアム内外でのロゴ掲出だけではなく、スタジアム内に『違和感検知アノラ』と呼ばれる同社のシステムを導入しています。今後もプラスαに繋がる、さまざまな取り組みをしていく予定です。アジラさんのように、ゼルビアを活用していただけるパートナー企業さんがあることも大変ありがたいですね。」

 

--伊東さんがパートナー企業の方々と向き合う上で大切にしているポリシーは?

伊東「皆がハッピーになることです。僕は自分勝手なので、自分自身が楽しめるように、ということが一番上にあるかもしれませんが(苦笑)、それと同じぐらいにパートナー企業さんに喜んでいただき、何らかの効果が見て取れるようにしていきたいと思っています。また必要に応じて、社内の別の部署も巻き込み、ファン・サポーターの皆さんにも喜んでいただけるような取り組みができるようにすることも念頭に置いています。」

 

--パートナー事業部でやりがいを感じているのはどんなことですか?

伊東「私が一番良いなと思っていることは、売る商品が決まっていないということです。ゼロから作り上げたものを提案したり、もともとゼルビアが持っていたコンテンツをカスタマイズしてパートナー企業さんにご提案し、説明次第ではご賛同いただける。それがサッカークラブの営業の面白さだと思います。」

--アイディアも必要とされる世界だと思いますが、アイディアの源泉とは?

伊東「ゼロからイチを作り出すことの難しさがあるため、まずはゼルビアとしてすでにあるコンテンツを活かしてアピールすることが1つ。例えばゼル塾は地域振興課での取り組みですが、これは賛同していただける企業さんがあるんじゃないかと思っていました。もともとあるものに別の価値を付け加えていく。そこに価値を見いだしていただくという方向性で考えています。」

 

--ここからは伊東さん個人にフォーカスします。入社前はゼルビアに対して、何か印象はお持ちでしたか?

伊東「静岡県富士市出身なので、清水エスパルスに触れることはありました。申し訳ないですが、ゼルビアに関しては、監督が相馬直樹さんだったという程度の知識しかありませんでした(苦笑)」

--聞いた話によると、学生時代はバックパッカーをされていたとか。

伊東「大学3年生の時に、40日間程度ですが、いろいろな国を回ってきました。」

 

--きっかけは何でしたか?

伊東「私は外国語大学出身で、学生生活の半分以上は留学をするような環境でした。大学の先輩が留学先から帰ってくる際にバックパックをしてきた話を聞いて、めちゃめちゃ面白そうと思ったことがきっかけでした。世界中のいろいろな国へ行きたいという漠然とした目標があったので、バックパックで行ってしまった方が良いなと決めました。」

 

--先輩の話で背中を押されたようなエピソードはありますか?

伊東「泊まるホテルがなくて公園で寝たとか、空港の蛇口で体を洗ったとか…。最後の一押しとなったのは、ロシアのモスクワから中国まで、シベリア鉄道で移動したという話を聞いたことです。」

 

--実際の旅路はどうだったのですか。

伊東「過酷でした。どこでどう間違ったのか。真冬に行ってしまったので、外はマイナス20℃とかの世界だったため、寒過ぎてなかなか外には出られませんでした。また1週間シベリア鉄道に乗ると分かっていたのに、食料を十分に用意せずに、飢餓に苦しみました(笑)。カップ麺を買い込んだつもりが、すぐになくなり、両方の肩幅ぐらいあるサイズのカチカチのパンをかじっていました。あとは買った紅茶のティーバッグをもう出ないだろうというぐらいまで使い切るようにしていました。もう常に空腹と戦っていましたよ(笑)」

--バックパッカーを経験して、自分自身の中での変化は?

伊東「ギリシアのアテネで置き引きに遭いました。15日程度まだ日程が残っている中で、バックパック丸ごと盗まれたのですが、パスポートと財布は持っていたので、旅は続けられました。その日の夜は落ち込みましたが、寝て起きたら、気分が晴れました。私は一度寝たら、嫌なことは全て忘れてしまうタイプです(笑)。あらためて思ったことは、日本の治安の素晴らしさ、料理がおいしいことなど、日本という国の素晴らしさです。また飢えをしのいだことで、自分は丈夫でどこでも生きていけると思えるようになりました。タフになったと思います。いろいろなバックグラウンドがある人との出会いもありましたし、それによって考え方がすごく寛容になりました」。

 

--ゼルビアに入社したきっかけは?

伊東「入社は2018年。ラッキーなことに、トップチームが一番良いシーズンを過ごした年です。転職を考えていた時、星大輔さんがゼルビアを抜けるタイミングで営業担当に1人欠員が出るため、上司の大室旭さんが人を探していると、友人を介して、そんな話を聞きました。それまではサッカークラブで働くことは考えていなかったですが、選択肢の一つになるなと思い、話を聞かせていただきました。話を聞いた結果、めちゃくちゃ面白そうと思いました。仕事の内容ももちろんそうですが、ゼルビアはJ2クラブでまだ規模も大きくなく、これからクラブが成長していく過程に携われることや、クラブが大きくなっていくための一員でいられることに面白みを感じました。」

 

--入社しても十分にやれる自信はあったのですか?

伊東「前職で培った営業経験を活かせると思いました。ただ難しいなと感じたのは、ステークホルダーの方がたくさんいるということです。社内はもちろん、パートナー企業さん、またファン・サポーターの皆さんにも喜んでいただける企画を考えなければなりませんし、町田市などの行政の方々とも連携を取らなければならないという点は、前職とは大きく違うことでした。」

--今一番力を入れている業務は?

伊東「8月29日のヴァンフォーレ甲府戦で、青城祭(せいじょうさい)というイベントを企画しています。青城祭は私が陣頭指揮を取らせていただいています。このコロナ禍で街のイベントができておらず、子どもたちの余りあるパワーを発散できる場所がないんじゃないか。こうして試合を開催できているのも、様々な方々のご尽力あってのことですから、ご尽力いただている方々にも楽しんでいただける、息抜きになるようなイベントをゼルビアとしてできればと考えたことが出発点です。ゼロからお祭りを開催するとなる大変なことですし、ゼルビアとしては月2回のホームゲームを開催しているため、その延長線上でお祭り的なイベントをやろうと考えました。」

 

--ゼルビアのホームゲームで夏祭りを開催する感覚ですね。現状、おぼろげながら浮かんでいる構想は?

伊東「過去にゼルビーランドで、やぐらを設置したことがありますし、BGMはお囃子の団体さんに演奏を依頼する予定です。ブースもお祭りの出店感覚のような形にします。またこれは各方面と調整中ですが、ハーフタイムに花火を上げようと考えています。そして来場者にはTシャツを無料配布する予定です。」

 

--青城祭というネーミングの由来は?

伊東「ネーミングに関しては、せっかくならばクラブカラーを入れようと、青城祭というネーミングにしました。また青城祭が目指すところとしては、ゼルビアのイベントという括りではなく、町田市のさくらまつりや、時代祭りと同じポジションに持っていきたいと思っています。」

 

--その他、青城祭に関して伝えたいことはありますか?

伊東「青城祭だけでもご協賛いただける企業さんを絶賛募集中です!またゼルビアのホームゲームだと行きづらいなと思っている方でも、夏祭りの雰囲気を楽しみたい方は、ぜひ8月29日に『天空の城 野津田』へお越しいただき、青城祭にご参加下さい!」

 

--伊東さん個人として、今後はゼルビアにどのように関わっていきたいですか。

伊東「2つあります。1つ目は現状の取り組みを継続しつつも、将来的には、企業さんからゼルビアに協賛したいと言っていただけるような仕掛け作りを少しずつやっていきたいです。ゼルビアに協賛をすることや、ゼルビアのユニフォームに社名が載ること、スタジアムに企業の名前を出すことは、めちゃくちゃカッコ良く、ステータスがあるものだという雰囲気を作っていきたいです。」

 

--もう1つは?

伊東「これは町田市に対して、という意味になりますが、町田には縁のなかった自分が、今では一生住んでも良いかなと思っています。この町田市がもっと良い街になっていくためにも、シリコンバレーのようになってほしいです。良質な企業や優秀な人材が町田市に集まり、その企業が町田市内の企業に投資することで、スタートアップや新進気鋭な企業がまた集まり、町田が潤うという仕組みです。そういった循環を作ることできて、地域としてのブランディングが構築されれば、ゼルビアがACL(AFCチャンピオンズリーグ)に出たり、世界の中でクラブ名が知られていくようになると、お互いの相乗効果で『ゼルビアが町田にあって良かった』と町田市民の方々に思ってもらえるんじゃないかなと思います。」

 

--ゼルビアに入社するまで、馴染みがなかった町田市に、一生住んでも良いと思えるほど、惚れ込んだ理由は?

伊東「ちょうど良い、ですよね。駅前に行ったら、飲み屋もたくさんありますし、都心や横浜方面に行きやすいです。実家の静岡にも帰れる距離ですし、また車で町田市内を走っていると、道を譲ってくれる方が多いことも地味に好きなところです(笑)」

--最後に、伊東さんにとって、ゼルビアとは?

伊東「親でもあり、子でもある存在でしょうか。ゼルビアは親のように自分を成長させてくれる存在ですし、また親心として、子どもを見るように、クラブが成長してほしいと願っています。自分自身の力で成長させたいという想いもありますし、ゼルビアは親でもあり、子でもあるような存在です。」

 

●編集後記・・・

「皆がハッピーになること」

明るく、周りを笑顔にできる伊東さんのもとには人が集まります。

 

そんな人望もある伊東さんのゼルビアや町田市への秘めた『想い』はとても熱く、そして深いものでした。

縁もゆかりもなかった、町田に降り立ち。

そして、今では「町田に一生住みたい!」と口にする伊東さん。

それは自身が常に日々の業務や生活を楽しみ、どうしたらゼルビアにとって。

そしてステークホルダーが笑顔になるのか、考えを巡らせてること自体を楽しんでいるからではないでしょうか。

 

8月の『青城祭』・そして今後の『天空の城 野津田』計画。

楽しみにしていてください!

(MACHIDiary 編集長より)