其の十三 『意地悪だけどいい子?』
ヤツは三人兄弟の次男。
下には妹がいた。
義妹は某有名お嬢様大学を卒業後、某研究家のお宅で一年ほど住み込み修行をし、料理やマナーを学んだそうだ。
ヤツからは、こう聞かされていた。
「妹はすごく我儘なんだよ。だから意地悪されるかもしれない。でも、いい子なんだよ。先生のことが大好きなんだ」
意地悪だけど、いい子?
まぁ、会ってみなければ分からない。
初対面は義母の家だった。
義母の後ろから、ワンピースを着た小柄な女性が現れた。
その顔を見て、私はまたしてもギョッとした。
ワナワナしている。
肩を少し上げて力を入れ、唇は何かに耐えるように歪んでいた。
義母に紹介され、挨拶をした。
義妹は目を合わせずに応えた。
後に義母から聞いた話では、兄の結婚相手である看護師に挨拶しなければならないことが、耐え難かったのだそうだ。
プライドが許さなかったらしい。
この日も義母は一人で喋り続けた。
どれほど結婚に反対しているか。
そして、自分たちがどれほど素晴らしいか。
義妹はほとんど口を開かなかった。
アレ? 意地悪は?
そのときは、そう思った。
しかし、その後の付き合いで少しずつ分かってきた。
意地悪というより、誰よりもプライドが高く、感情を抑えられない人なのかもしれない。
それからというもの、連日のように電話や手紙が届くようになった。
姑&小姑である。
「あなたのせいで、こんなに不幸になっているのに!」
「あなたが現れなければ、みんな幸せだったのに!」
「あなたのせいで辛いのよ!」
「玉の輿に乗れたと思って、いい気にならないで!」
「〇〇をお習いなさい」
「△△は常識よ」
「言われないと分からないなんて!」
まだまだある。
最初は、こんなものだった。
これでも、まだ良かったのである。
結納を終えた頃から、義母と義妹の小言と干渉は、さらにエスカレートしていく。
