彼女たちの夏(4)予選開始 | ベイビーオイルの誘惑 ~A sense of unity~ FC.NOMAD&RAMSのブログ

ベイビーオイルの誘惑 ~A sense of unity~ FC.NOMAD&RAMSのブログ

愛すべき男たちがベイビーオイルの誘惑を振り切ってピッチに集った。
FC・NOMAD激闘の記録がココにある。

FC.NOMAD&RAMSの日程や結果

4・予選開始


集合は、くずは駅に朝の6時30分だった。

大阪市内に住むトミを除いたメンバーのマリ、アッコ、アヤヤ、エツ、カエデ、サユリちゃん、ケッツンと監督の俺、そしてスタッフのアネゴとカナエ、ケガで出場できなかったアヅ、練習を手伝ってくれていたヤマショーとその息子のユースケ、応援のGDEX.FCオープン出場メンバーのユウ、ダイ、サッチン、総勢16名はシミズ社長が用意してくれた貸し切りバスで神戸ポートアイランドへ向かったのであった。

乗り物好きのユースケはバスに乗れて大喜びだったが、昨夜の決起集会の後で沖縄料理屋で友達と合流して午前2時ごろまで泡盛を飲んでいた俺は「気持ち悪い~」と言いながら目的地近くまで眠ってしまった。


到着するとトミは、もう来ていた。

日よけのテントを運ぶために車で来たナカタくんも到着していた。

テントを建てる場所を決めて場所とりをした。

メンバーたちは特に緊張している様子もなく、配られた新しいユニフォームに着替えていた。

鮮やかなピンクのユニフォームは彼女たちにとてもよく似合っていた。

ただ同じピンクのユニフォームを着たサユリちゃんだけが、みんなの笑いを誘っていた。

そしてGDEX.FCはどのチームより目立っていた。

しかしこの鮮やかなピンク軍団がこの大会で快進撃をすることを誰が想像しただろうか?


開会式までの間にテントを建てたり氷を買いに行ったり準備した。

そしてマリとアヤヤとケッツンにテーピングをした。

それぞれがどんな会話や行動をしていたのかは、よくおぼえていない。

もしかしたら落ち着いていたつもりでも俺が一番緊張していたのかもしれない。

「何とか勝たしてやりたい。」そればかり考えていた。

淡々とした時間が過ぎ開会式が終了し、いよいよGDEX.FCの第1試合が始まろうとしていた。


ウォーミングアップはユウが中心になってくれた。

パス交換やシュート練習をしているメンバーたちにダイは声を出し続けて彼女たちの緊張をほぐしてくれた「いいね~!」「今のいいよ~!」「お~、今のふがふが・・・」たまにかんだ。

何だかいい感じに盛り上がってきたのだった。

しかしコート上はかなり暑い。

厳しい一日になりそうだった。


予選第1試合

先発メンバーは、トミ、アヤヤ、エツ、アッコ、ケッツン。

円陣を組んで声を出しゲームが始まった。

相手チームは年配の男性も混じる男性チーム。

あまり強いチームではなさそうだった。

試合開始とともに攻め込んだ。

そして最初のゴールはチームリーダーのトミだった。

続けてアヤヤが決めて序盤で2点をリードした。

しかしその後は攻めあぐねて2-0で前半を終了した。

後半になってマリが入り、エツがゴールして3-0。

3点差のプレッシャーのない場面でカエデも交代で入りファーストタッチでいきなりシュートを放った。

これは惜しくも外れたものの、女子全員をコートに送り出すことができ、サユリちゃんを使わずして3-0で勝利した。

初戦の相手が強くなかったのはラッキーだった。


2試合目までは1時間以上待たなければならない。

16チームのリーグ戦を2つのコートで行うのでしかたのないことだ。

1試合目が終わってすぐにノマドのメンバーのマックが自分の車で応援に来てくれた。

彼はこのGDEX.FCの練習を観た事がなかったのだけど2試合目を観て感動することになる。


待ち時間にはそれぞれがまったりと過ごしていた。

本当に暑い日だった。

エツが「小さいタオルを持ってくるの忘れた」と言っていたので、俺が持って来たタオルを貸してやると「何か臭うような気がする」とアッコと二人で長い間「クンクン」していた。

カエデが「加齢臭?」と訊いていた。

「まだ使ってない。洗いたてや」「でも何か・・・。クンクン、臭うような・・・。クンクン」まったく・・・。


他の試合に目を移すとエンジョイの大会らしく個性あるチームが多数参加していた。

1人だけ白髪の男性がいるチームを見て「教授とゼミの生徒やな。」と勝手に決め付けて笑っていた。

中学生ぐらいの子供とお父さんのチームもあった。

そしてホットパンツで脚をほりだしたギャルを2.3人応援に連れた若い兄ちゃんのチームもあった。そのチームが予選最後に対戦するチームだった。


予選第2試合

先ほどのチームよりは若く強そうなチームだったが、練習を観ていて勝てそうな感じがした。

この試合に勝つと予選突破の可能性が高くなる。

「サユリちゃん、確実に勝ちに行くから後半行こか。」「そうっすね。勝っときたいっすね。」

先発メンバーたちは円陣を組んで声を出した。

いつのまに相談したのかトミの「ABCD―!」の声に続いて「ジーデックス!」と大きな声を出した。「ABCD-!ジーデックス!!」何かいい感じだ。スポンサー名をアピールできるし。

「EF」が抜けているが、まあいいのだ。緊張がほぐれいい雰囲気になっていった。

「あんなんいつ決めたんっすか?あはあはあは」とGDEXのサッカーゲーム担当のナカタくんはうれしそうだった。

実はこの円陣が試合を重ねるごとにどんどん大きな円陣になっていくのである。


ゲームは前半にトミ、エツのゴールで2点を先制するも1点を返される展開に後半サユリちゃんを投入し、マリがゴールして3-1で勝利した。

2試合目となると動きがスムーズになり数多くチャンスを作り出した。

ディフェンスもボールの出どころをしっかりと押さえてカウンター以外のチャンスを相手に与えなかった。

これはかなり上位を狙えそうに感じたゲームだった。

快勝ではあったが彼女たちは精一杯の力を出して必死でボールを追っていた。

フィジカルやスピードで勝る相手に全力で挑んでいた。

初めて彼女たちの試合を観たマックが「すごいっすね~。ファンになってしまいますわ!」と感心していた。

心の中で「当たり前や!俺のほうが先にファンやわ!」と変なファン心理が湧き出てしまった。

男性のチームに必死で食い下がる彼女たちは他のチームの人々や観客をも魅了しているようだった。視線も釘付けだ。

こうしてGDEX.FCは人々の心を奪いながら、予選2連勝を飾りAブロック4チーム中2チームが2敗したため予選通過を決定したのだった。


そして予選3試合目はブロック1位をかけてホットパンツで脚を掘り出したギャルたちが応援に来ているチームとの試合になるのだった。