ディシプリンを終えて | バーチャルコンソールクエスト

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ゆるゆるゲームブログ

終わりました。
発売前、問題作だのクソゲーだのと言われ、こっちもそのつもりで望んだところ
思いのほかゲームとしての作りがきちんとしてたもので
発売前からの印象を上方修正してファーストインプレッションを書いた後
その後の展開にきたいを膨らませ臨んだディシプリン後半戦でしたが
なんとか収容から42日でクリア。

つーことで、ディシプリンクリアした感想を。

ディシプリンは、大変人を選ぶゲームです。
この人を選ぶのは、表現が際どいので人を選ぶという意味もありますが
それよりも、元ネタを知ってないとツッコミどころが分からない。
という意味で非常に人を選ぶなと思います。
ちょっとゲームではなくアニメを引き合いに出しますが、
最近放送された銀魂でドラクエⅣのクリフトが使えないから永遠に馬車組な件として
ボス相手にザラキ連発と空気読めないヤツとか、
折衷案で命を大事にと命令して使えばとか
クリフト肴に延々とネタやってて僕なんか大爆笑でしたが
これもドラクエⅣをプレイしてこその面白さ。
ドラクエⅣを知らない人にとっては何が面白いのかさっぱりであります。
ディシプリンにクリフトネタはありませんがwww
あんな作品やこんな作品のネタがそこかしこに転がっていて
あー、あれはあの作品からかな?
これはちょっとそのまんますぎるよ!危ないよ!
と新八のようにガンガン突っ込んで遊ぶ作品だったりしましたw
本筋はきちんとありますがそれ以外に突っ込みどころ満載な作品。
まあとにかく楽しむにはいろいろ基礎知識が必要であります。

突っ込みはまあ楽しみの一つとしての要素ですからね。
ゲームとしてはどうだったか。
ゲームとしての作りはちゃんとしてるものの
出きることはリモコン振ってシューティングと罰ゲームのようなリモコンのマッサージのみw
この単調さ、ふつうのプレイヤーだと単調すぎて耐えられんかも知れませんな。
しかしながら、本作は贖罪バンドシネという名のアドベンチャーゲームでありますが
収監シミュレーションとも言えるゲームであります。
忍さんのところのインタビューで花輪和一の『刑務所の中』に影響されて作ったと
飯田監督もおっしゃってましたし。
(本編に監督としてクレジットされてたので監督と呼ぶことにします)
『刑務所の中』は銃刀法違反で実際に収監された花輪氏の実体験を元にしたマンガで
メモをとったり取材したりなんかが許されるはずもない花輪氏が
囚人として見聞きしたことをその記憶力のみでか描きあげたすごい作品で
絵がガロ風なんで人を選びますが刑務所ぐらしの悲哀を描いた傑作であります。
ディシプリンの基礎知識として是非。

収監される=生活の自由を奪われる、ということなので出きることが単調なのは当たり前。
ゲーム中、いつ終わるともしれない単調な作業の繰り返しとその作業から受ける苦痛こそ
制作者の意図するもの、本作の仕様とみるほうがいいんじゃないかと思います。
このゲームをクリアしたとき
『嗚呼、もうyouコンともおひとりさまともおさらば出来る、自由になれる!!!』
と、変な感動を味わいましたしwww
この前の記事にクリアした方のコメントがありまして同様の内容でしたので
この制作者の意図は成功と言えるんじゃないでしょうか。
それにしても、多くのゲームが如何に作業感を取り払うかに腐心してるというのに
本作は作業感を強いて不快感与えるためのゲームデザインするなんて。
徐々に強まる監視の眼、せわしなく上がり続ける同居人の不快指数、
合間に挟まる囚人達への食事作りにおひとりさまでのマッサージ地獄と
なかなか思い切った仕様かつ徹底した仕事っぷりw
僕らお客さんが付き合ってくれなかったらどうするつもりだったんだろうwww
この部分も相当に人を選ぶゲームであります。
だめな人はだめでしょう。
だってプレイヤーに自由を奪われる辛さを体験させるゲームなんだから。
クソゲー判定大いにアリです。
ディシプリンを評価する人は基本お人好しかもしれませんw
ドSな方はおひとりさま繰り返すうちにWiiリモコン画面にぶん投げるんじゃないかと。
画面に突き刺さるWiiリモコン。
まあ、アートと言えなくもないなwwwww


さて、そんな理不尽な体験を強いるゲームですが
先ほども述べましたがテキストにちりばめられた
映画好きな方なんかニヤリとしそうなネタの数々。
それからゲームプレイ自体はこそこそとやる必要があり面倒くさい単純作業ながら
その作業に対する報酬である心の壁を壊していく作業は
人目を忍んで他人の心を覗き込むというなんともいえない背徳の味というか、
看守の目を盗んでチャージするコソコソ感がけっこう効果的に働いてたりします。
そして本筋、プレイヤーの分身であるyouと、youがこの施設に入るきっかけを作った妹
ディシプリンの所長である風光を徐々につなげていくストーリー。
ここに魅力を感じることが出来れば、苦痛ばかりで退屈極まりない収監生活にも
話を読み進めたい、という希望が見出されまして
このゲームへの評価も好転すると思います。
あとは、ディシプリンでの生活を終えたとき、各々がどう感じるかによって
作品の評価が問われることになるでしょう。


ここまではネタの引用はなるべく控えて
ゲームとしてどうなの?と思ってる人に上手く伝わるといいな。
という目線で書き進めてみましたがこの作品を分かりやすく伝えるなんてのが
土台無理な話かもしれませんwww
こっからは俺おひとりさまの総括として
ドドーンと書きなぐろうかと思います。
長文上等ネタバレ上等で逝っちゃうよ。
いや、やっぱりネタバレはなるべく避けよう。
意味不明の引用でぼやかす方向でwww


さあて、どうしよっかw
グラフィックから逝くか。
グラはですね、最初の記事でも書きましたがラブデリック臭のする絵ですね。
特に合間合間に挟まるイラストなんかは非常にラブデリっぽい。
全体のトーンというか画作りへのこだわりは
デヴィッド・フィンチャーっぽいかもしれんし、デヴィッド・リンチっぽいかもしれん。
つーかフィンチャーといえば素晴らしく分かりやすいファイトクラブネタあったなwww
人の動きに関しては東南アジアの影絵かなとも思いましたが
ユーリ・ノルシュテインのアニメの動きの方がしっくりくるかな。
陰湿さはチェコのパペットアニメにも通ずるものも感じる。
アート系のアニメも大好きな僕にとっては非常に満足度の高いグラフィックでした。
特に看守のお嬢様方のダンス風景はディシプリン最大の見所ではないかと思います。
あれだけ何度も観ていたいくらいw
是非あの部分だけスピンオフとして再構成して動画配信してくださいwww


お次は、登場人物、そしてストーリーに対する感想とかいろいろ。

ディシプリンの同居人の背景は、実際に合った犯罪をモデルにしてると言われてまして
で、実際やってみるとまあ、いろいろ居ましたね、あぶなそうなやつが。
まだ分かんないのもあるけど。
これをどう感じるかはこれまたひとそれぞれでしょうな。
僕は「あー、あれねー、あったねー」な感じでいろいろ連想しながら遊んでましたが
某オタクの聖地で起きた事件の犯人がモデルじゃないかと思われる同居人が語りだした
犯行までのテキスト中継はフィクションなのに妙に生々しく
なんとも言えない気分になりましたな。
これは普段からブログ書いたり読んだりしてネットが生活の一部になってる影響だと思いますが
ああいう、犯罪実況中継、みたいなことはいつでも起こりうるだろうなあ、
今だったらツイッターとか、ネットラジオに映像配信とほんと
なんでもありだなと思うと背筋が凍る思いでありました。

こんな感じで、これ大丈夫かよ!?おいっ!、と思われそうな人が続々登場。
フィクションとはいえ連想させる事例が世間を賑わせた問題児ばかりなもので
これ大丈夫か?と思うこともしばしばですが
そこはそれ、始まる前にもフィクションだと言ってるし
そう慌てずこれはこれとして付き合ってみようやないかという広い心で。
ゲームやアニメ・マンガといったオタクカルチャーは
一方的なバッシングをうけることもしばしばなもんで
それらを愛するファンとしてはどうしても被害者意識を持ってしまうことも多く
それが影響してか際どい表現に出くわすと自己防衛的に過剰反応してしまうこともありますが
こういうときこそ、ことを作品を冷静に観察しきちんと見つめることですね。
興味本位の底の浅いものなのかなのか。
それとも一本筋の通った作品なのか。
そこまで考えもせずにこれ危ないわー、と言うのはそれこそ危ないわー。
と思ったり思わなかったりです。
この辺りは真剣に考えるとレーティングとかメディアリテラシーとか
別方向になりそうなんでこの辺で。


ということでここらでほんとに総括。
ディシプリンを終えてみて、ゲームとしては収容生活ともおさらばだ。
というなんともいえない今までにない開放感を味わったわけですが
作品としては、正直、序盤で盛り上がった心が
真っ白に燃え尽きることはありませんでした。
うん、面白かったけど、思ってたほどに狂ってなかったのがなんとも。
同居人一人ひとりは狂気に満ち満ちた面々でしたし
プレイヤーの分身である、youを紐解く際に必要なファクターだったのかもしれないけど
ちょっと関連付けが薄い、というか、実在のモデルの印象が強くて
物語の要素のひとつとしてではなく
どうしてもネタのひとつとして見えてしまってですね。
なんで全体的にはあれ必要だったのか?と
軽かったり薄かったりといった印象です。
事前の飯田監督の言動やプロモーションの様子を見てて
もっと過激なものを期待してしまった、というのもありますが。
個人的にはデヴィッド・フィンチャー監督のセブンのエンディングのような
救いのない後味の悪さを期待したり
尊敬して止まないチェコの映像作家ヤン・シュヴァンクマイエルの悦楽共犯者のような
マジックを期待してたせいもあります。
悦楽共犯者はちょっと期待しすぎかw
悦楽共犯者のような始まりから延々繰り返される意味不明の拷問のような映像を
ラスト五分で傑作に仕立てるマジックはそうそう見られるもんじゃないからなあ。
すんません、僕ディシプリンに期待しすぎですwww


もっといろんなものがつまった悪趣味なものを期待してたら
実はディシプリンは愛について問いたい純文学なのでは?
なんてこと思ってみたりw
遊んでるときの風景は時計仕掛けのオレンジっぽい
そうそう、時計仕掛けのオレンジ風味刑務所の中、かもなw、とか
凶行に至る過程は、なんだかタクシードライバーのデニーロ見るようだな、とか
うさぎ少年はガンモのバニーボーイもろパクリか、とかとか…
まあこれだけいろいろ考えてる時点で、結末云々の前に
十分楽しんでると言っていいんだろうな、僕の場合は。


ディシプリンの結末は伏せるとして、最後はこちらに問いかけるような形で
スタッフロールを迎えます。
どう受け止めるかを、飯田監督は知りたいと言うことか。
エンディングロールをゼイリブに出てくる特殊なサングラスで見ると
『感想を述べよ!』と書いてあるかも知れんなあwww

それはさておき、最後まで遊んでみても、ディシプリンは最後まで普通に遊べるゲームでした。
人はめちゃくちゃ選ぶけど普通のゲームだった。
終始淡々としたゲームだったかも知れません。
とんがった振りして、意外に周りの目を気にして作られたゲームかもしれません。
とんがったと言えば、Killer7やNMHを手掛ける須田51を思い浮かべますが
あそこまで監督のエゴが詰め込まれてる感じではなかったです。
これは作家性の違いかもしれません。
飯田監督久々のゲーム作品、ということもありますし
そのブランクからくるものかもしれんなあ。
ほんとはもちょっと濃くしたいところを薄くしたとか。
ゲーム作りの勘が戻っていない、もしくはゲームの監督としての覚悟が足りてない。
そんな感じかもしれません。
これに関しては事前のプロモーションの仕方がわりと痛々しかったりしたせいで
感じてるところもありますね。
マーベラスですし、51ゲーのようにいいセンスと悪趣味が紙一重の
作家性を前面に押し出した超B級大作かと思ったら
もちょっとこじんまりした、日々一生懸命生きる人間の悲哀を描いた
ガロ的な作品だったのでそのギャップからくるものだろうな。
とはいえ、そのギャップは監督自身も感じてるだろうに
悪ノリしていっしょに騒いでた監督はやっぱり覚悟が足りないかもwww
もっと作品に自信をもって堂々とプロモーションしてたら
これはこれでアリです、いい作品でした。
と素直な感想持ったかもしれません。
宣伝は大事だ。
そしてマーベラスは宣伝が下手だw
朧村正もNMHも、レベル5の広報&営業だったら実績の3倍ぐらい
売ってきたかも知れんぞwww
王様も10万は堅かったかも知れんぞ。
最近はほんとにいい駒揃うようになってきたので
マーベラスの今後の課題はブランドイメージアップと効果的な広報活動だけですな。

ちょっと話が逸れましたな。
いよいよ総括最終章www

まだまだゲームにはいろんな可能性があるぞ。
という部分では大いに楽しませてもらいました。
見せ方次第でどんなことでもゲームデザインできるんだ。
という部分では非常に楽しかった。
ストーリーも、最初こそ物足りなさを感じたものの結末についてあれこれ考えてるうちに
1度やれば満足することの多い僕がちょこちょこと2周目に突入中。
チュートリアルなおっさんなんか、2周目は最初の飯迎える前に昇天させてやりましたよw
そんだけ気になる、変な魅力のあるストーリーだったとも言えます。
最近のゲームでは周回プレイはそう珍しいもんじゃないですけど
マルチエンディングだったり、真ボスがいたり、レアアイテムのためだったりと
射幸心を煽るというか、えさに釣られて周回させられてるという印象を持ってたりしますが
ディシプリンの場合は、もう一度読み直したい、と純粋に作品に対する好奇心からくるもので
最近のものではなかなか味わうことのなかった感覚であります。
つーかマルチエンディングじゃないよね、これwww

ディシプリンはいろいろ考えるところの多い作品でありました。
たしかにプレイはおひとりさま仕様ですけど
クリアしたもの同士が集まって、パブリックな場で
もう一度プレイし直すのが一番楽しい瞬間かもしれませんね。
最速クリアを目指しつつ、ストーリーについてあれこれ議論を交わす。
発売前に実況動画公開する試みをやってみましたけど
ディシプリンは発売してクリアした人が増えた頃を見計らって
公開したほうがよかったかも。
そしたらもちょっと深く実況動画読み解いてもらえただろうに。

とまあなんだかんだ書いてきましたが僕はかなり楽しんでプレイしましたよ。
今までにない切り口のゲームは不安もありますがワクワクもあって楽しい。
飯田監督、スタッフのみなさんありがとう。
壮大そうで、意外にこぢんまりした感じがとてもよかったですwww
次は違った方向で、できればさらにとち狂った作品でお願いしますwww


最後に。
ディシプリン起動時、海亀文庫というロゴが出まして
こいつは海亀文庫第一弾、ということになるでしょう。
久々のゲーム制作というところでいろいろ戸惑いもあった、かもしれない飯田監督ですが
ディシプリンを世に出したことでちょっとエンジン暖まってきたかもしれないんで
もうそのまま調子に乗って、海亀文庫第二弾、第三弾とシリーズ化してくれるとうれしいです。
飯田監督作品じゃなくてもいいですよ。
マーベラスが送る、作家性の強いブランドとして育てるのもいいかもしれません。
だったら第二弾はイタチョコのラショウ氏なんかいいなあ。
しかしラショウ氏は本気で破綻したもの作ってきそうなので
第二弾で終わる可能性もありますがwww
でもパッケージと違い、DLコンテンツならそんな悪ふざけに乗ってやるよ。
と思う人は意外に多いはず。
Wiiウェア人気順検索の結果がそれを物語ってるでしょう。
なんだか似たようなゲームが溢れる昨今、
ディシプリンのように独特の雰囲気を持った作品が登場するのを
心待ちにしているゲームファンは必ずいると思うんで
是非、シリーズ展開して欲しいところであります。
僕は待ってますからw
いつまでも待ってますからw


以上、ディシプリンを終えてでした。
いつになく長文乱文にお付き合い頂きありがとうございます。
ではでは(・ω・)/