22日からFavorite Banana Indians番外公演vol.9「echo chamber〜もうひとつの事実、不都合な真実〜」の稽古が始まった。キャストは15人。顔合わせは、そのうち14人が集まった。今回は、純然たる小劇場という感じの顔触れである。といっても、元グラドルの方や元地下アイドルの方といった、ある意味FBIの公演に相応しい(?)人達も混じっている。また、最近のFBIではお馴染みになった顔触れも見られる。勿論、初参加の人も多い。年齢的にいうと、男は30代、女は20代に固まっている。男女の年齢差が比較的大きい座組といえる。
そして今回、多分「Day Dream Believer〜夢のまにまに〜」/「Retweet〜夢から出た言葉(まこと)〜」以来、初日に脚本が完成していなかった。まだ脚本に役が登場していない役者がいたという状態で、申し訳ない限りだった。今週、執筆の時間をいただいているので、週末までには目処を付けたい。



番外公演と本公演は何が違うのかとよく聞かれる。番外公演の1回目は、ギャラリーで上演した「Noisy Gallery〜絵は口ほどに〜」(初演)だった。僕としては、劇場以外のスペースを使った公演を「番外公演」と呼ぶようにしたのである。ところが、9月はシアターシャインである。小さいけれど、あそこはれっきとした劇場である。では、何故番外なのか。それは、内容の問題である。
このところのFBIは、松原夏海さんにご出演いただくなど、ややメジャー路線にシフトしていた。5月の第10回本公演「【劇場版】Fairy Melody〜私はピアノ〜」は、本当に分かりやすく、テーマも比較的シンプルで、多くのお客様に受け容れていただいた。昨年12月の第9回本公演「Singularity Crash〜〈わたし〉に続く果てしない物語(ストーリー)〜」も、やや分かりにくかったといわれながらも、手に汗握りながら(?)楽しめるものだった。
しかし、こういう比較的甘口の作品が続くと、他のテイストのものもやってみたくなる。昔からのFBIのお客様はお分かりかと思うが、かつてのFBIはかなりダークな作品を上演していたものだ。自分の旦那を殺してバラバラにしたり、恋人と騎乗位でセックスした直後に上から恋人を刺したり、登場人物が次々に射殺されていくとか、それはもう凄い世界だったのである。だが、FBIの基本路線を変更しつつある今、もうこういう芝居は本公演ではできない(と思う)。



そこで、番外公演なのである。お客様を無視するわけではないが、本公演よりは僕自身の趣味を強めに出す作品を上演する。そういう公演があってもいいだろうと思った。小規模で、お金もできるだけかけないで、いつもとは違った意味で面白いものを。そう考えて、今回の作品に辿り着いた。なので、「【劇場版】Fairy Melody」のイメージで見に来ると、あまりの作風の違いにひっくり返るかも知れない。かつて、蜷川さんは「ニナガワ・スタジオ」で、商業演劇ではできないような、若手俳優との作業をしていたものだ。(因みに、松重豊さんや勝村政信さんは、このニナガワ・スタジオの出身者である。)
とはいえ、同じ作者が書くものであるから、共通する何かはある。それが何なのか確かめるという目的で見に来ていただくものいいだろう。一番分かりやすい共通点といえば、生歌が入ることだろうか。今回は全曲オリジナルになる予定だ。
お客様を必要以上に不快にすることはしない。ゴキブリコンビナートのような過激なことは僕にはできないし、やろうとも思わない。しかし、事象の描き方が本公演とは少しだけ違う。そんな感じで捉えていただければいいだろう。僕自身、久々にこういうテイストのものを作るので、ちょっとワクワクしている。あとは、実際に演じてくれる役者が、これをどう捉え、どう消化/昇華して表現してくれるかだろう。スタッフさんの想像力と技術力もそこに絡んでくる。



今回も魅力的で個性的な役者が揃った。番外公演だからといって力を抜くことなく、本公演と変わらないクオリティのものにするべく取り組んでいく。
チケットのご予約は、25日0時から開始である。今回は4日間6ステある。是非お時間を作って見に来ていただきたい。息吹にはこんな一面もあるのだということがお分かりいただけるだろう。FBIの常連になっている役者の、これまでとはひと味違った演技が見られる舞台になるし、初参加の役者達がどんな色を出してくれるのかも楽しみだ。
本番まであと2ヶ月。長いようで短い稽古期間である。1日1日を大切に、この仲間で駆け抜けていきたい。



なお、この公演では、長紀榮君が演出助手を兼ねてくれることになった。役者と両方で大変だとは思うが、いてくれて大変助かっている。彼も大きな戦力になってくれるだろう。また、顔合わせとその後の決起会(飲み会)に参加した新メンバーの白星さんも、陰ながら支えてくれる。僕としてはとても心強い。
いい舞台を作らなくてはと、あらためて気合いが入るのである。



Favorite Banana Indians番外公演vol.9

「echo chamber~もうひとつの事実、不都合な真実~」
作・演出/息吹肇

2017年9月21(木)~24日(日)
シアターシャイン

○あらすじ
地下アイドルグループ「姫色ヴィーナス」のリーダー・香坂えりかに「偽者」疑惑が持ち上がる。「本人」と名指しされた二宮美夢には、全く心当たりがない。えりかの恋人・来栖雅人やグループのメンバー・涼宮あやの達が真相を探ると、謎は2人の複雑な生い立ちに関係があるようなのだが、情報は錯綜する。
そして浮かび上がる新興宗教団体の教祖とえりかの血の繋がらない姉の存在。
果たして本当の「事実」はどこにあるのか。そして、明らかになる「不都合な真実」とは?

○CAST
椎名恭子 (アミティープロモーション)
柳真琴(DiamondRush)
鈴木七絵

松坂南(ジェミーロード)
町田毅
加藤美帆
谷内田楓(大和プロ)
長谷川栞
坂元瑛美 
大久保龍(旋風計画)
瀧航大
堺谷典之

長紀榮
山田貴之
西村守正

○日程
21日19:00
22日☆14:00/19:00
23日14:00/19:00
24日13:00
※開場は開演の30分前

○料金
前売 3500円(高校生以下2500円)
当日 3800円(高校生以下2800円)
☆22日14:00
 前売3200円(高校生以下2200円)
 当日3500円(高校生以下2500円)
※高校生以下要学生証提示

○チケットのご予約

息吹肇扱い予約フォーム
https://www.quartet-online.net/ticket/echochamber?m=0dfaahf



演劇コンサル・脚本・演出提供サービス「Hajime Planning」サイト

http://hajimeplanning.com


Favorite Banana Indiansサイト

http://fbi-act.com


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息吹肇Twitter

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(写真 宮本よしひさ)