東宝映画「日本のいちばん長い日」を祖母らと観たのは中学生時代。世間は東京オリンピックで景気向きが良かった時代。いまのアベノミクスで浮かれている雰囲気は当時のそれに実に良く似ている気がする。

その映画の演技のなかでも山村聰演じる米内光政がいかがわしいと映画観たあとの友人たちの談笑でよく話題になった。小学生時代の源田実についての妙な雰囲気と宣伝過多があやしさをむしろ抱かせた気がする。

戦中派というものは、案外に戦争体験が狭い。しかも図書で学ぶという姿勢は地方都市の住民にはなかなか少なくて本当に大東亜戦争(太平洋戦争という言葉自体が大嘘だったと思う)をしっかりと検証した世代はついに戦後登場しなかったのではないか、とそう思う。


とくにインターネットでめだつ40代以前の戦争像が虚偽宣伝どころか、歴史事実をどこまで改善されて粉飾されているのかを疑うための手がかりも足がかりも与えられていないのを強く感じる。自分たちにはまだ廃墟や爆撃の残骸が公共の空間からも見えていたのである。
たとえば旧国鉄の環状線からも砲兵工廠の爆撃の惨事なまなましい跡地は通勤通学の車窓から見えていた時代があった。体感上でもさきの戦争は地つづきの過去だったのである。

そんな戦争の指導者たちが、組織的にしかも戦後くりかえし秘密会合を重ねてまでの歴史事実の改竄と、戦争責任の隠蔽のために派手に書籍や映画、演劇、ラジオなどに影響行使して自分たちに累が及ばないように画策し続けていたことは当時の出版関係者や編集者たちがそれぞれ証言しているところである。いまから始まる情けない大東亜戦争の総括。すでにその力量があるような人たちは払底しているかもしれないというのにである。

動画配信先

サイダーラジオ第15回
予習編:山本五十六と米内光政が広島長崎原爆の責任者?

- Dailymotion動画 

http://bit.ly/1x9ArRd



安部首相と祖父の岸信介氏とのトラウマに似たほどの強い絆のよってきたるところが今回の岸信介の語りから少し伺える箇所がみだせるのではないでしょうか。

インターネット世代の利用者でみかける視野狭窄な傾向には困ったもので、史実を思い込みとヒステリーで実のところ「見たい自身の見たい絵」のうえに
自己像を投射してそのまま憑依して固着するというおなじみの妄想屋さんの性癖は(いつの時代にもありがちな傾向ではありますでしょうが)戦後世代の一部にみかける著しく顕著な傾向です。

昭和の妖怪とまで言われた岸信介にはそういう抜けるような透徹した国粋の論が自身の半生の積み上げからおのずと滲みでるというかたちで押しても引いても動じないものとして据えられていて、これは左右の立場を越えている迫力になっているなと思えます。言ってみれば、敵ながらあっぱれと政治的反対陣営からさえも思わせるところがあったわけですね。

だから、所詮は「アメリカのポチ」だと言われてもいわゆるポチ癖のある凡百の俗物らの性癖からでたようなものとはとても思えない強い迫力が岸信介の身上です。

そういう岸信介の断固として行くという気概は、なかなか血統とはいえ隔世遺伝するものではなさそうですね。このご一家の場合はその典型の事例ということなのでしょうか。



動画配信先:

サイダーラジオ第13回 妖怪岸信介のプロファイル その4
- Dailymotion動画 
http://bit.ly/18yjeFL




大亜細亜主義に向かう時代の日本にあって、岸は独自視点で大川周明や北一輝を考えぬいていた事が伝わってくる。性格形成から、国際政治に向かう心のありかたをしっかり語っておきたいという思いが伺える。
国家社会主義の学びを北一輝から引き出していた自信からでしょう。マルクス、エンゲルス、レーニンの主要著作はすべて読み通したというあたり。東大法学部の頂上に位する人物だと言われるだけの事はあって、凡百の政治家の域からは遥に抜きん出ている気がします。


動画配信先:

サイダーラジオ8.3妖怪岸信介のプロファイル その3
- Dailymotion動画