
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/80ebfec36c692d85a30da05fd672cf67/
伝統的法解釈に照らせば、
これは家主の自力救済であり、
たとえ借家人の書面同意が
あるとしても自力救済を許容
する同意は民法90条や
消費者契約法に違反しており
無効であるという論陣を
はることになるだろう
そうはいっても、ゼロゼロ物件の
貸し出しで、普通の法的手続を
経ていると家主にとっては家賃
滞納をリカバーするのがかなり
大変である。管理会社もせいぜい
5%の管理手数料で毎日毎日
家賃の督促に赴くなんてとても
割があわないであろう。
そもそも、ゼロゼロ物件というのは
借家人が普通の敷金礼金付き
物件に比べて家賃滞納する
リスクが低いという信頼が守られて
初めて家主にとって経済的に損
しない物件である。しかし、実際には
敷金や礼金を用意できるだけの
余裕がないからゼロゼロ物件に
入居しているのだし、滞納の
リスクは敷金礼金付きの物件に
入る人に比べて高いと考える
のが合理的なのである。だから
家主が持つべき信頼というのは
一般に比べより信頼しがたい
タイプの人に寄せている信頼と
皮肉に見ればいえなくもない。
>14回も鍵の交換をされた
>原告の土田政彦さん(29)
家主から言わせれば「ゼロゼロ
物件で担保も積んでいないのに、
敷金を積んでいる人と同じ感覚で
滞納を繰り返さないでほしい。
滞納さえなければ鍵交換をする
必要もない。いわば家主の緊急
避難と同価値だ」と反論したい
ところであろう。
だから、宇都宮弁護士のいう
ように、家主側が経済的弱者を
狙って悪質ビジネスをしているとは
必ずしもいえないと思う。せいぜい
民法90条に違反する可能性の高い
同意をとった上でのビジネスを
しているにとどまる。民法90条に
違反するといっても、滞納さえ
なければ正常な賃貸と同じなのだ。
経済的弱者を相手としながら、担保
すらとらないで家主側が、可能な
限り賃料滞納による損失を抑える
ために予め自力救済の同意を得て
おこうとした契約類型なのである。
家主にこの場で伝えておきたい
ゼロゼロ物件というのは経済的
弱者を吸引しやすい方法である。
ただいったん損失が発生して
しまうと法令順守してその損失を
リカバーするには通常の物件に
比べてより多額の損失を蒙る
ことになる物件であることを
自由主義経済の論理で、経済的
弱者に対する賃貸借を、現行の
法律と合致する形で家主の損失
抑制を講じることは難しいと思う。
消費者保護が重視されつつある
現在の傾向ではなお更である。
紹介した記事にあったが、住宅
政策の貧弱が解消されない限り、
経済的弱者も家主も、仮に賃料
滞納の際にトラブルになることが
予期されながらも、ゆがんだ
契約で物件を借りたり貸したり
することになっていまっている。
本当に悪いのは家主でも滞納
した人でもなく、そういう経済的
弱者に保護の厚い住宅を提供
できない政府なのではないか
ろぼっと軽ジK