司法修習生71人が「卒業不合格」 | 福岡若手弁護士のblog

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福岡県弁護士会HP委員会所属の弁護士4名によるBLOG
(ただしうち1名が圧倒的に多いですが、だんだん若手じゃなくなってるし)

ひしもちです。ホントにお久しぶりです。

もうあれ から1年経とうとしているのですね…


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070903i415.htm


今年は71人だったそうな。

ですが昨年の107人とはまるで意味が違います。

昨年の107人は記事にもあるとおり

うち97人は「合否留保」ということで

再チャレンジ(追試)の機会を与えられましたが

(それでもダメだったのは6人)

今回は全員が「不合格」です。

「不合格」なのでもう1度司法修習生考試を受け直しになります。

救いはといえば

ちょうど今期からいわゆる新修習も始まっており

新修習における司法修習生考試を受けることも可能なので

(新修習の司法修習生考試は年内に予定されています)

ちょっと前までの不合格者みたいに

まる1年待たなくていいことくらいですかね。


もちろん厳しい現実もあります。

ちょっと前までの不合格者は

次の期の後期修習に編入してもらえました。

後期修習というのは模擬裁判などを除けばほとんどが即日起案です。

ちなみに即日起案というのは、その日の朝、記録1冊渡されて

民事裁判なら事実整理など

刑事裁判なら判決主文と事実認定の補足説明など

検察は起訴状ないし不起訴裁定書別紙とその結論に至った理由など

民事弁護なら最終準備書面

刑事弁護は弁論要旨

まあそんな文書を夕方まで1日かけて延々と作る作業をいいます。

そんで、司法修習生考試の内容というのが

まさしくこの即日起案プラスアルファなんですわ。

つまり、後期修習を受けている修習生たちは

毎日のように司法修習生考試の模擬試験を受けているようなものです。

ところが今期からは

不合格者は次の司法修習生考試を受けさせてもらえるだけで

次期の後期修習への編入はありません。

いわばいわゆる「鉄砲」の状態で

1度失敗した司法修習生考試に突っ込むことになります。

これはものすごいハンディです。

おそらくは不合格を繰り返す人が多く出るのではないかと思います。

しかも最高裁は、現段階でははっきりさせていませんが

この司法修習生考試について受験回数の制限を考えているらしいです。

受験回数に制限を設けるということは

数回不合格を繰り返すと

司法試験合格の実績すらチャラになるということなんでしょう。

そうなると

新旧関係なく司法修習生になるために多額の金を費やし

しかも司法修習生考試に合格できないまま終わってしまい

気がつけばただいたずらに年月を重ねていた

そういう人が結構な数出てくることになるのではないかという気がします。


昔からいわゆる「司法試験くずれ」の問題は指摘されていました。

要するに司法試験を長年受け続けた結果

妙に蓄えられた法律知識を悪用して

ヤミの話に手を出してしまう人々の存在のことです。

しかしそういう人たちの大半は単なる「法律オタク」ですんでましたから

まっとうな手続に乗せて正面玄関から叩けば

めんどくさいことは事実だけどそうそう大事にはならんという認識でした。

ところが今後は「司法修習くずれ」の問題が出てきそうです。

この存在はそもそも司法試験に合格したという

確固とした実績を持っている上

ヘタに実務を知っているだけに

最終的にはもちろん我々プロが勝利を収めるとは思うのですが

それはそれでヤミに潜られると非常にやっかいな存在になりそうです。


法曹界全体で司法修習生考試の不合格者に対する

セイフティネットを構築すべき時期に来ているのかも知れません。

ただ、実はいちばんの「司法修習くずれ」対策は

今回不幸な結果を目の当たりにしてしまった

不合格者ご自身にとにかくがんばっていただいて

同じ失敗を2度と繰り返さないようにしていただくことのように思います。


司法修習生考試に最終的に合格しさえすれば

多少の挫折はあっても法曹界はちゃんと迎え入れてくれるはずです。

実は今日のアタクシの投稿の趣旨は

今回不幸にも「不合格」という結果になってしまった71名の方々全員に

是非次の司法修習生考試で雪辱を果たしていただきたい

ただその1点にあります。


本当に、がんばっていただきたいです。


ひしもち