バイオリンレッスンからの帰り道のこと。

ウサ子小6に聞かれました。

「なぜ1拍目をアウフタクトよりも強く弾かないのに、ガボットをアウフタクトにする必要があるの?」だそうです。


はい、ここだけ切り取ると質問の意味がわからないですね真顔

順番に紐解いていきましょう凝視



まず、ガヴォット(ガボット)とは、フランスの舞曲と位置付けされています。

2分の2拍子(または4分の4拍子)の踊りの曲で、アウフタクト(1小節目より前にある弱起の音)で始まるのが基本です。


ウサ子の質問の意図に繋がる基礎知識として、もう一つ大切な音学の基礎ルールが、強拍と弱拍です。


1小節の中で、『1拍目が強拍でその後は弱拍』が基本。


シンコペーションのリズムは裏拍が強拍になる、など例外もたくさんありますが、基本に沿うと4拍子の場合は、1拍目=強拍, 2拍目=弱拍, 3拍目=中強拍, 4拍目=弱拍、とソルフェージュなどで勉強するわけです。


ただ、これはリズムの強弱であって、必ずしも演奏する時にこの強弱のまま弾けばよい、というわけでもなかったりしますショボーン

ああ、これまた文章で書くとややこしい情報だよねガーン


だってそんな規則性の曲ばっかりだったら、単純に個性もないし、楽しくないじゃない凝視

メロディーが変わっても、最終的に全部同じような曲に聞こえるのでは?

と、いろいろ話が逸れるので、ウサ子の質問に辿り着く音楽ルールの説明に戻ると…


上のガボットの説明で出てきたアウフタクト(1小節目の前の弱起の音のこと)は、強拍弱拍のルールと組み合わせて、「アウフタクトは弱拍で演奏が始まり、次の1小節目の1拍目が強拍になる」と確かにどこかしらで習う基礎的ルールの1つだと思います。


もちろん例外の如く、アウフタクトを弱拍として、続く1小節目の1拍目は強拍ではないという曲もあるわけなのですが。


そこで、現在バロック時代の演奏方法を勉強中のウサ子の疑問が、「同じ踊りのワルツは3拍子だけど、1拍目が強拍、2,3拍目が弱拍でしょ?なぜガボットは(1小節目の)1拍目に強拍がこないの?1拍目が『弱拍に』となるなら、なぜガボットはわざわざアウフタクトなの?それならアウフタクトを無くして1小節目から始めてもよかったんじゃないの?」というところに行きついたらしいです。


「きっとフランス語とかフランス文化とか、何か理由があってのアウフタクトなのだろう。」くらいにしか私コジカは思わないタイプの子どもだったので、ある意味目から鱗ですびっくり

音楽の読み解き方をお勉強中のウサ子は、ウサ子なりに持ってる自分の知識を使って読解しようとした結果、他に必要な要素を一切無視して上記で説明した音楽ルールをバロック音楽に当てはめると、アウフタクトの必要性が見えてこなくなってしまったらしい!?アセアセ 


だから、ウサ子は「なんでこういう解釈はダメなの?」ってなってたのかびっくりマークびっくり

と、母はやっとウサ子の導き出した間違えの理由を理解したよ驚き

母にとっても初めての気づきですよ笑い泣き


母としては単純に「メロディーを読めよ(読解せよ)それからのルールだよびっくりマークはてなマークプンプン」と言いたいんだけどネガティブ

それが正しい『順番』だからねはてなマーク



多分説明するより、感じた方が早いだろう!?

というわけで、昔使ってた楽譜を何冊か引っ張り出してきて、順番にガボットだけ2段から4段くらいずつ歌わせてみましたてへぺろ


ちなみにガボットと題名についていませんが、フランス民謡の『アマリリス』もガボットですね。


ウサ子も幼い頃に弾いたリュリやトマ、マルティーニなどなど、いろんなガボットを順番に歌わせました。

10曲近くは歌わせたかしら?

そして、それぞれのガボットのどこに強拍がくるかを考えさせます。


で、そこで見えてくるのが、1小節目と3小節目の1拍目に強拍がくる曲と、2小節目と4小節目の1拍目に強拍がくる曲があるということ。

そう、まずは同じガボットでも強拍のくる小節は全部同じではないんだよビックリマークでも、大抵1拍目には強拍はくるようになってると思います。(少なくともウサ子に歌わせた曲は全てそうでした。)

だから、ガボット自体はアウフタクトで始まる理由もおかしくない、ということは理解できたかなはてなマーク


そして、最後にバッハのガボットを数曲歌わせてみたところ、今までのガボットと違い強拍がわからない!?と嘆くウサ子小6です。


「えっ?どういうこと?バッハは意味がわからない」となっているウサ子。


今、ウサ子はバロック時代の弾き方を勉強しているわけだけれど、レッスンで先生にも言われた通り、「チェンバロの時代に作曲された曲の弾き方とは?」というところに戻ってくるわけですよニヤリ

ピアノのような強弱がつけられる楽器ではなかったからね。


それを理解するためにも「母なら、今歌った他の作曲家の事を調べるかな。」

いつも先生にこの作曲家はいつの時代のどこの人?どんな人?って聞かれてるでしょう?


ウサ子に歌わせたガボットはオペラの曲だったり、バッハの宮廷音楽のそれとは、同じガボットでも違うものがいっぱいだったのよね。もちろん時代が違うものもあったと思うし。

ひとくくりにクラシックと言っても、曲一つ一つの時代は様々で弾き方が違うからそれを勉強しているウサ子。ガボットという括りで、曲の成り立ちや形式を見せたけれど、それらの曲の背景もいろいろってわけですねてへぺろ



ウサ子にもう一つ伝えたこと。


音楽理論を理解することはとっても大事。

だけどそれは、「音」や「モチーフ」「フレーズ」「メロディ」「曲」があってこそのルール。


音楽のルールは、語学の中の文法みたいなものだから、それを振りかざすのではなくて、自然に身についている状態にするのが理想で、先にルールを持ち出してきてしまうのは、とっても不自然な状態だということ。


英語の文章を読む時に、文章そのものを無視して文法を当てはめて理解しようとしているのと同じかな、と思うのです。

だって、母国語を理解する時にそんなことはしないはずだもの。


言葉があって、文章があって、そこに抑揚やイントネーションがついていくわけだけれど、文法って母国語では二の次になるものじゃないかしら?


自然に言葉が操れるようになったあとに文法に当てはまると「こういうことね!」と説明ができる感覚が自然な状態だと思うのです。


音楽もそんなふうに身につけられれば良いな、といってもソルフェージュはソルフェージュでやっぱり大切な知識なのだけれど。



今回、昔弾いた曲を読み返してウサ子が気づけたことの1つに「楽譜にアクセント記号がついていても、メロディー全体で考えると強拍になるとは限らない」ということがありました音譜


そう、それが大切ビックリマーク

アクセントはアクセントとして弾く必要はある。

だけど、それだけを楽譜通りに弾いて、書いていないことを読み取れないと抑揚がない演奏になってしまうのです!!


譜読みをする、楽譜を読解するとは、こういう音符や記号では書かれていない部分を読み解く、ということです。


文章の音読だって、平坦に読んだらつまらない、抑揚があるとわかりやすいし、上手に聞こえるでしょう?


音楽も全く一緒。それが言語なのか「音程の連なり」なのかの違いだけ。


そうやって音楽を言語と考えてみたら、もしかしてバロックって古典や漢文の授業を受けてるようなものなのかもしれないですね!?笑い泣き


そう思えば、確かに現代文より慣れるまでに時間が必要だわって思えてきます爆笑

でも、古文もバロックも必要な知識を入れた上で、最終的に慣れだよ、慣れびっくりマーク


なんて言いながら、実は自身もロマン派が好きな母コジカでございましたてへぺろ



この内容は文章にするのも大変だけれどウサ子もまだ全部は理解できてなさそうだなぁえー

まあ、少しずつね。理解していけるように頑張りましょうチュー音譜