「僕が言ってるのはこの『誠人』であってお前の『麻琴』じゃない。」

僕の誠人は1人だけなんだから。なのに麻琴とかいうやつは僕の誠人をずーっとその大きな瞳を見開きアホ面で見つめている。どうやらお互い名前が同じだって今知ったみたいだった。

「僕がお前みたいなやつの名前呼ぶわけないだろ。ねっ、誠人♪」

僕はそのアホ面に冷たく言い放つと誠人に視線を戻した。そして僕が立ち上がると誠人もそれに倣って立ち上がった。それで僕は改めて誠人を見回すと親愛を込めて誠人にキスをした―

「わっ!」

その声は僕らの側頭部にゴンッとぶつかった。その声の主はやはりアイツで、僕はうんざりと吐き捨てた。

「ばっかじゃないの!?こんなの挨拶じゃん。悪いけど僕達お前達と違ってアメリカ生まれアメリカ育ちだから。食堂行こ、誠人。」

僕は誠人をぐいぐい押しやるとあいつに背を向けた。その時、丁度あいつの後ろであいつを見守るように佇む長身の男が目に入ってけれど僕はそのまま誠人の元へと駆けて行った。

『こいつのご主人様か……』

僕はそう思ったきり気にも留めなかった。