「な、なんで…」

驚きにかすれた声で麻琴は呟いた。


―目の前にアメリカにいるはずの誠人がいる―


あんなに会いたくて会いたくて堪らなくて不安でいっぱいになっていたのに突然の再会に麻琴は息を詰まらせて次の言葉が出てこなかった。

「だからさっき説明しただろうが…。あ、教科書は新しいのになってるからちゃんと川本が見せてやれよ。まぁいい、早く席につけ。」

呆気に取られて溢れ落としそうなくらい丸い目を開けて口をパクパクさせる麻琴に高橋は面倒くさそうに手をヒラヒラさせて促した。

「あ……はい。」

麻琴は顔を赤らめながら腰を下ろし誠人も隣の席についた。

あの時と同じだ―

しかし確実に違うところが1つあった。
麻琴は隣に座る誠人に目を向けると誠人はクスっと小さく笑い優しく微笑み返した。
そして2人の無言の会話は視線に乗ってしばらく絡み合い溶けていった。


その日2人は授業中机を付ける度に同じ教科書を見ながらも、人目につかないところでどちらからともなく手を固く繋ぎあうとお互いの体温を確かめあった。