「わかってる。」

誠人は見つめてそう言うと麻琴に唇を重ねた。

その優しい視線に麻琴は魔法がかかったように大人しくなり目を閉じた。

何度も何度も角度を変えてキスを繰り返しその小鳥のようなキスに麻琴はくすぐったくて「ふふっ」っと笑みを洩らした。

「何笑ってる?」

そう言って唇を離した誠人も笑っていた。

しかしそのまなざしは真剣で小さな熱が灯っているように思えた。

その熱に吸い寄せられるように麻琴は誠人を見つめた。

「そんな目で見つめられたら我慢できなくなる…。」

麻琴は「えっ」っと言葉を返したがその言葉ごと誠人の唇に奪われた。

「んっ……ふぁっ!…ぁんっ……」

先程までとは違う腔内に深く入ってくる舌の動きに麻琴は翻弄された。

そんな2人を屋上の扉の隙間から涙に濡れた蒼眼が見ていたが2人は知る由もなかった。

「身体が冷えきってる…暖かいところに行こうか。」

唇を離すと誠人は熱っぽく麻琴に言った。

麻琴は誠人が触れる顔を赤くしながら手を誠人の手に重ねた。

誠人の手が熱い―

「うん…。」

麻琴は松葉杖を拾うと誠人に寄り添い歩き出した。