「っ!…は……わっ!…はや…っ…!」

誠人を呼ぶ麻琴は冷たい風に晒されてのどをガラガラと乾燥させうまく声が出せなかった。

それでも麻琴は誠人の名前を呼び続け声にならない声は暗闇に虚しく吸い込まれて言った。

「ゴホッ…ゴホッ……はやか……速川っ!…はや………わっ!!!?」

途端にふわっとした感触からギュッと何かに後ろから包まれた。

「えっ!?…えっ?」

急な出来事に涙は引っ込みクリアになった視界にはカタンっと床に転がった松葉杖が映ったが見覚えがなくて麻琴は戸惑った。

「……麻琴っ!!!」




麻琴を包んでいたのは誠人だった。




ずっと会いたかったけど会えなかった誠人の声。

「……な…ん………で?」

息を詰まらせながら麻琴は問いかけた。

腕をほどいて振り返ると目の前に夢にまで見た誠人がいる。

「おばさんが麻琴は屋上から見る景色が好きだからって言ってたから俺もその景色を見たくなって。そしたら麻琴が…」

眉根を寄せて誠人はそう言いながらそっと麻琴の頬に触れた。

自分の名前を呼び続けていてくれた麻琴の頬を愛しそうに撫でた。

「俺も………」