「待てっ!どういう…」

「もうやめてよっ!!」

誠人を追いかけようとする圭介に虎太郎はすがりついた。

「離せっ!速川が麻琴のことをどう思ってるのか確かめなきゃ俺は納得できねぇんだよっ!」

「だめっ!行かせない!!」

頑に虎太郎は圭介にしがみつき行く手を阻んだ。

圭介は懸命に虎太郎を引き剥がそうとするが虎太郎は移動中の猿の赤ちゃんのごとく圭介をしっかりと握っていた。

2人のその攻防の間にも誠人の背中はどんどん遠くなっていく。

「「あっっ!!?」」

足がもつれあって2人の声が重なるのと同時に2人の体も重なって転んだ。

「痛ぇ…まったくお前何なんだよっ!お前には関係ないだろ!!」

とっさに圭介は転ぶ直前にその身体の軽さから身を翻し虎太郎をかばって下敷きになったことで生じた痛みと誠人が行ってしまった歯がゆさから圭介の胸に倒れ込んだ虎太郎を怒鳴った。

「…そんなの…わかってる…でも…だめなんだ…」

転んで圭介の胸にぶつかった鼻に手をやりながら身体を起こすと虎太郎は途切れ途切れに言った。

その瞳にはうっすらと涙が広がり圭介を見つめた。