「そうなんだ~っ!」

駅に着いても他愛のない話に麻琴はきゃっきゃっと喜んで誠人の話に相づちを打っていた。



父親が亡くなってから看護師の母親が女手1つで育ててくれた以外は麻琴は普通のどこにでもいる高校生だった。

それに比べ誠人の父親は外交官で誠人が幼稚園に上がる前にアメリカへ転勤になった。

母親は誠人が小学2年の時に亡くなったが小学5年で父親が12歳年下の女性と再婚した。

そして誠人は高校入学を機に1人で日本に戻ってきたようだった。

その時いろいろもめたらしいが麻琴は深く聞かなかった。

今は祖父の家に住んでいるそうだ。

その祖父の家は麻琴の家から比較的近くて駅2つ分ほどだった。


誠人と虎太郎はアメリカで幼稚園の時に知り合い、ついこないだまで2人はずっと一緒だったという。



誠人は虎太郎を追い掛けて日本にやってきたのか?



そんな疑問に行き当たり、胸がチクリとした麻琴はその痛みを不思議に思いながらも話を続けた。


「どうした?」

誠人はさっきとは様子が違う麻琴に問い掛けた。

「な、なんでもないよっ!ちょっとトイレに行ってくる!」

そう言うと麻琴は一目散に駆け出して行った。