3月某日。

金曜の夜に友達がやってきた。

うすうす感じていた。

認めたくなかった。

でも確実にその時は近づいていて。

足跡がこの日、僕の目の前で止まった。

「ラストラン」

そう、シーズン最期のボードの日である。

車に乗って栂池へ。

夜中に出発し、極楽湯なる大衆浴場にて時間を潰し。

高速道路で糸魚川ICを目指す。

途中の電光掲示板には1℃とか0℃とかの表記が。

つか雪降ってたし。

寒いねー道凍るよねーなんていいながら運転した。

いや僕は隣でうだうだしてただけだけど。

ICを降り、しばらく進んでコンビニによる。

夜食を購入して腹を満たす。

友達のおでんがかなりうらやましかった。

大根を分けてもらった。

そんなこんなでゲレンデ下の駐車場についたのは午前3時か4時だった。

さすがに誰もいないだろうと勝手に予想していたが、結構な数の車があった。

みんな考えることは一緒か。

車内で仮眠を取る。

布団が引いてあった。

友達が後ろに来るように言う。

すまない…。

悪いが僕にはその気はないんだけど…。

なんか最近そんなネタが増えてきた気がする。

結局後ろに行って、ありがたく布団を借りた。

そして朝起きたら裸にされていた。

嘘だ。

7時半に起床。

準備してゴンドラに乗り込む。

チケット売り場と勘違いしてゴンドラ待ちの列についていた友達。

ははっ、おっちょこちょいだなぁ。

まぁ僕が並びだしたんですけど。

天気は快晴。

気温はそこそこ高かったような。

おそらく8~10ってとこではないだろうか。

いやもっとあったかも。

雪質はまぁまぁ固め。

キレイに圧雪されていた。

エッジがよく噛んで滑りやすい。

試しに360回してみる。

案外いける…いやべちゃ雪よりかやりやすいのは当たり前だけど。

スピード出しても斜面がしっかりしてるからか楽しかった。

昼はケンタッキーを食べようということでお店を探す。

一番下まで下って、店を手当たり次第にチェック。

…ない。

確かにゴンドラ内で僕は見たんだ。

ケンタッキーのメニューを。

ホントにあるのかよ、でたらめ言ってんじゃねーぞハゲ…って視線を送られながら僕は必死で探した。

しかし無情にも僕の前にカーネルサンダースは現れなかった。

歩き疲れた僕たちは、上にあがってもしケンタッキーなかったらしょげるしであきらめて豚汁定職を食した。

結局ケンタッキーは中腹のレストハウス内にひっそりとあった。

危うく大嘘つきのレッテルを貼られるところだった。

おのれカーネル、次にあったときは貴様をもう一度道頓堀に沈めてくれるわ。

とか思ったり思わなかったり。

午後は太陽も出ていたこともあって、ゲレンデは荒れた。

上級者以外立ち入り禁止のコースも行った。

制覇してやった。

これで僕らも上級者だぜ★

そんなこんなで3時半とかに上がった。

次の日はセイモアに。

栂池がラストじゃなかったのか?というご指摘を受けそうだが。

ロスタイムみたいなものだ。

人生にロスタイムは付き物だ。

そういえば一昔前にロスタイムライフとかってドラマがあったな。

まぁいいや。

第三リフトで働いている友達と、栂池に一緒に行った友達は同期だったらしい。

今まで知らなかった。

彼らは再会を喜び合い、汚い言葉で罵り合っていた。

うーん青春だ。

セイモアもSeason Offです。

ホームが閉じ、今度こそ僕もSeason Offとなりました。

来年は今年以上に充実させたい。

シーズン券買って、週2ペースで行ったろと目論んでいます。

明日はトレーニング行って、キャンプ道具でも見に行きますかね。
とある日。

私は当てもなく街をぶらついていた。

ふと目に留まった居酒屋に入る。

特に用事があるわけではない。

酒を煽りたかったわけでも。

ただなんとなくだ。

暖簾をくぐり、横開きの扉を開けて中へ。

出口に近いカウンターの席に座る。

視線を隣に向ける。

席にはくたびれた背広を着た男が中ジョッキ片手に枝豆を口に運んでいた。

店主に熱燗を頼む。

しばらくの間店内を見回していると。

声を掛けられた。

隣の男だった。

なぁあんた。

私は思わず怪訝な視線を男に送った。

男はそんな私の視線など気にする様子もなく、言葉を続けた。

あんたにとって「美」とはなんだ?

美…?

この男は一体何を言っているのだろう。

私は視線をそらして正面向いた。

いつの間にかカウンターの上には熱燗が置かれていた。

手にとって一口飲む。

喉が灼けるようだ。

あまり酒は得意ではない。

再び男が話しかけてきた。

美とは、なんだ。

男を見る。

視線を私に送るわけでもなく、かといって正面を見つめているわけではない。

ただぼんやりと空間を見つめているといったところか。

美か。

特に考えたこともなかった。

男は続ける。

美と一口に言ってもさまざまな美があるだろう。

例えば春には桜だ。

風に吹かれて花びらが舞い散る様は、誰もが心に美を感じるだろう。

夏には満点の星空。

秋は燃えるような紅葉や月もいい。

冬はまぁ、雪といったところだ。

つまり、美は自然であると…?

私は思わず男の言葉に口を挟んだ。

それだけじゃない。

男はそういうと、ジョッキの中のビールを一気に飲み干した。

人工物にだって美は存在する。

建築物、教会や寺院、城、塔。

オーバーテクノロジーなんかも美のひとつの形だ。

あるいは絵画、詩、歌、音楽。

人の作り出した物、文化にも美は存在する。

さらには人や、動物の営み、生まれてから死ぬまでの一生。

愛情、友情、絆。

子供を守るために必死に天敵に立ち向かう動物達の姿。

雨に打たれ、風に吹かれ、泥水の中を這いずり回り、それでも前に進もうとする人間の姿。

それらは時に残酷かもしれないが、それ以上に美しい姿だと思わないか?

なるほど…。

そうかもしれないな。

私は酒を一口飲む。

男は店主に新しいビールを頼んでいた。

美とはなんだろうな。

男はため息とともに私にそう言った。

今貴方が挙げた、全てが美ではないのか?

そう私が聞くと、男はそうだ、と言った。

何が言いたいんだ…?

わけがわからない。

美の真髄だ。

男は初めて私を見た。

私はそれを探して、今日まで生きてきた。

店主から中ジョッキを受け取ると、男は喉を鳴らしてビールを飲んだ。

ジョッキをテーブルに置きため息をひとつ吐く。

俺はね、今日たどり着いたんだ。

美の真髄に…?

そう、美の真髄だ。

私はあまり興味はなかったが、男が話したそうにこちらを見ている。

教えてくれないか、貴方がたどり着いた美の真髄を。

男は私の言葉を聞くなり、私の目を見てこういった。

それは、

アンダージョーク。


意訳すると、下ネタ。


こんな言い方もあるんだな。

これなら嫌いな人でも「? どういう意味??」ってなる。

で、「ないしょー」って返す。

そしたら「えー教えてよぉ!」とか言われる。

で、「教えなーい」とかニヤニヤして返す。

「やだ!教えて!嫌いになるよ…?」と言われ。

「大した事じゃないよ」と返す。

「嫌いになってもいいの…?」と。

「それは…困る」と。

「じゃあ教えて?」

「…ねた」

「え?なに?」

「下ネタ」

「…」

「下ネタだよ…アンダージョーク」

「…あたし、下ネタは嫌いだな」

「知ってるよ!お前が聞いたんだろうが!だから嫌だったんだよ!」

「ごめん…」

「ごめんじゃないんだよ…もう空気最悪だよ…」

「…アンタがね」

「え…?」

「最悪なのは空気じゃなくてアンタだっつってんの」

「あ…はい、そうですよね」

「アンタってホント最悪。人間のクズ。ゴミ、いやカス以下ね。カスに謝れ」

「はい…すみませんでした」

「すみませんでしたじゃないのよ本当に…帰れ」

「え?」

「帰れっつってんの、ハゲ」

「えでもここ僕の家…」

「ゴタクはいいからさっさと帰れっつってんの!何回も言わせないでよハゲ」

「はい帰ります!すぐ帰ります!今すぐ帰ります!」

「わかったから出てって」

「あざっす、失礼します!」

っていう展開になるよね。

たまらんっすわ。

それにしても加藤夏希かわいいのう。