皮下に少量の脂肪を注入する程度であれば、特に問題はありません。
もともと脂肪がある皮下脂肪層に、少し脂肪を追加する程度だからです。
胸の谷間をより自然に寄せるため、
あるいは胸の上の部分の皮下脂肪が薄く、インプラントの輪郭や境界が透けて見えてしまう場合には、
皮下層に少量の脂肪注入を行うことで、仕上がりをより自然で柔らかく見せることができます。
これがハイブリッド豊胸です。
インプラントを使用した豊胸手術
+
皮下脂肪層に限定した少量の脂肪注入
= ハイブリッド豊胸
しかし、ハイブリッドではなく、
インプラントを使用せずに、乳房全体に大量の脂肪を注入する場合には、
脂肪が皮下脂肪層だけに入るのではなく、
さらに深い乳腺層、ひどい場合には筋肉層にまで入ってしまうことがあります。
脂肪注入は、一か所に脂肪を集中して注入して水たまりのように溜めてしまうと絶対にいけないため、全体的に分散させて注入する必要があり、このような方法を取らざるを得ません。
脂肪注入をすると、注入した脂肪細胞(通常、お腹や太ももなどから採取した脂肪細胞)が100%生きて、注入した場所に定着するわけではなく、半分程度は死んでしまうと考えたほうがよいです。
これを「生着率」といいます。
生着率を高めるためにさまざまな努力をすることはできますが、
それでも100%の生着率を基準に考えると、
明確な限界があります。
生着できなかった脂肪細胞は死んで、
乳腺組織の中で
石灰化(calcification)したり、油のように溶けて、小さな球状になって溜まったりします(oil cyst)。
これが後になって乳がん検診を受ける際に、
乳がんの初期状態と区別できない場合があります。
(乳がんは乳腺から発生します。)
結局、後から区別できるとしても、
経過をさらに見ながら、疑わしい病変が徐々に大きくなっているのかを確認する期間が必要になったり、
すぐに発見される場合よりも、確定診断が遅れる要因になる可能性があります。
これは健康という面では、致命的な問題点になる可能性があります。
個人的には、ハイブリッド豊胸もあまり好みません。
ほとんどの場合、インプラントだけでも十分に自然な仕上がりにすることができます。
特に、インプラントを使用すると同時にハイブリッド豊胸を行うことはおすすめしません。
インプラントによる胸の変化がまだ完全に安定して定着していない状態で、特定の部分だけに脂肪注入をする形になるため、
腫れが引いて胸が定着した後には、手術直後とハイブリッド脂肪注入を行った部分のラインが少し違って見える可能性があります。
もし行うとしても、手術後に十分な期間を待って、
輪郭があまりにも目立っている場合や、何か物足りなさが残る場合に行うのがよいと個人的には考えています。