破損したインプラントを除去する際は、被膜(カプセル)を丸ごと摘出することが、必ずしも有利とは限りません。
むしろ、状況によってはより不利になる場合があります。

その理由は以下のとおりです。

  1. 被膜の内部にのみ留まっている破損したジェル(ruptured gel)は、被膜の滑らかで丈夫な性質により、先にジェルを除去すれば十分きれいに取り除くことができます。被膜にジェルがほとんど残らない状態にすることが可能です。
  2. 一方、破損したインプラントを含めて、先に被膜ごと摘出してしまうと、被膜の下に隠れていた新鮮な組織(fresh tissue)が露出し、そこに破損したシリコンジェルが触れてしまうという問題が生じます。
  3. fresh tissueはcapsuleとは異なり、ジェルが付着すると、わずかではあってもその表面にジェルが残ってしまいます。
  4. 必ずしも被膜をすべて除去しなければならないわけではありません。
  5. 「正常組織が異物(あるいはジェル)にさらされることを最小限にすること」が、最も合理的な手術プロトコルだと考えます。
  6. 被膜を適切に処置せず、そのまま残してしまうと、そのスペースが自然に閉じず、継続的に体液や漿液腫(seroma)が発生することがあります。
  7. この場合、注射器で液体を抜いても、繰り返し再発してしまいます。
  8. 見た目の面でも、胸がそのまま垂れたような形で残ってしまいます。
  9. 被膜内部の内容物をきれいにすべて除去したうえで、被膜を適切に処置し、胸のポケットのスペースを閉じる手術まで行うことで、手術前の元のバストの形に戻すことができます。
    (下乳のラインまで元の状態に戻すことが可能です。)
 
 
 

破損したインプラントと破損していないインプラントの違い

 

 

 

 

右胸で、インプラントの破損とボトミングアウト(下垂・下方偏位による変形)が同時に生じていたケースです。

手術後に、胸のポケットの癒着処置(癒着術)も同時に行うことで、元のバストラインへきれいに修復しました。

もちろん、胸に新たな傷跡を残すことなく、睡眠麻酔(鎮静下)でも安全に行うことが可能です。

インプラントの除去といっても、すべてが同じではありません。

このように、本当に適切な方法で受けることが重要です。