事件は卦の中で起きている | 星詠みの庭

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東洋占術を中心にしたブログです

さて、また「五行易師弟問答」の占例ですが、

ちょっと珍しいケースを。

 

占例275  「家を出て一週間になる夫を占う」

 

午月 戊辰日 空亡:戌亥

風雷益 不変

 

最初見た時、「おや・・・?」と思いました。

 

世爻の下に夫をあらわす用神と思われる

官鬼が伏している。

 

しかも世爻の辰土と合。

 

一週間、行方不明の夫の事を占っているのに

なんで世爻の下に伏してるんだろう・・・?

 

最初、ただならぬ結末をちょっと思ったのですが、

辰酉の「生合」なのでおかしな所はないかな、と。

 

この用神官鬼酉金には「桃花殺」が付いているので

もしかしたらこの依頼の妻に、何か浮気に関しての

隠し事があり、原因はそれなのかな、と

思ったりしました。

辰酉は生合だけども、別名「暗合」で男女の秘密も

あらわす場合があります。

 

しかし、他に夫を示す要素は何か、という事になります。

応爻?

だとしても休囚で、何か動いている気配はなし。

 

うーん・・・。

 

という事で決定打の無いまま、占例の解答へ。

 

すると、

・用神酉金官鬼は世爻の下に伏しており、

 月建から剋を受けるが、日辰から生合され、

 同じく日辰と同じ妻財を持つ世爻飛神辰土からも

 生合される。

 

・酉の日か戌の日には帰って来るであろう、と断じた。

 

ふむふむ・・・。

伏していても生合の良さをシンプルに考えている、と。

 

しかし、まだまだ文章は続きます。

1時間モノの刑事ドラマで言うなら30分くらいで

犯人が捕まって一件落着、めでたしめでたし・・・?

といった所(笑)

 

(どういう事だろう・・・?)

 

読み進めますと、その占断は外れてしまったようです。

 

事件は解決していなかった・・・!

 

行方不明の夫は、

近所の井戸の底で死んでいた、というのです。

 

まさに事件・・・。

 

 

その後、諸口氏らと検討会が行われたのでしょう。

 

・世爻の下に伏しているので、月建からの剋は

 それほど大きい影響はない。

 

・世爻妻財と生合し、伏しているので

 「家の中に居れば安全」

 

・しかし、「応爻」の卯木と冲の形で、その生合は

 「冲開」され、「応爻」のある外卦からの影響、

 つまり外に出て行く。

 

・すると月建の剋がたちまち凶意を取り戻し、

 この夫を剋し来る。

 

・恐らく、卯の日に亡くなったのであろう。

 

・土の日に占うと、過去の事が出やすく、

 生死の占ならばすでに死んでいる可能性が高い。

 

・果たして、この人は酒を飲んで自宅に近い

 井戸に落ちて死んでしまったのであるが、

 後でわかったが、株でかなり損を出していたので

 自殺のおそれもある、という。

 

・世爻の下に伏す、という事は現在や未来の情報ではなく、

 過去の情報である。

 

 

む、難しい・・・。そして事実はドラマより奇なり・・・。

 

このように占断を誤った例は、

「五行易師弟問答」にはたまに収録されています。

 

うーん、外卦応爻からの冲開で

家の中から外に引っ張り出されて

月建の剋を受ける、とは・・・。

思いもよらない(笑)

 

 

しかし、良く考えてみたら

「伏神」というのは、基本的に本卦に出て来なかった

六親を、便宜的に割り当てるものです。

 

一週間行方不明の夫の事を占って

夫を示す用神が本卦に出て来ない、という状態は

何を示しているのか、

なんとなく想像が付きそうです。

一応、白虎も付いてましたね。

この官鬼は夫の事だけではなく、従来の

トラブル、という意味も示していたのかも知れません。

(官鬼と白虎で死を意味する場合も)

 

 

易神はちゃんと示しているんだなぁ、と思います。

 

 

事件は卦の中で起きている!