2次試験筆記 再現答案 事例1
口述試験は、筆記試験の問題から出題されるらしい。そのため、まずは再現答案を作成するのが、有効とのこと。
せっかくなので、将来の中小企業診断士受験生に向けて、僕のショボ答案と思考過程を公開する。
事例1
~第1問~
なぜ、産学連携による独創的な技術を武器にした企業が増えたのか?という問題。
「独創的な技術戦略」と「産学連携」を分けて考えてみる。
まず「独創的な技術戦略」については、「原料も労働力も高価な日本では、海外の低コスト商品に対抗できず、大量生産方式が立ち行かなくなった~」みたいな、一般論を思いつくが、根拠となるデータや記述がないので解答に使えない(レベルの低い人間との会話では、フワッとした一般論で押し通せるが…)。
そこで問題文を見ると、「技術革新のスピードが速く、製品ライフサイクルが短い」という外部環境がヒントになると予想できる。
しかし、この外部環境から直接には、「独創的な技術戦略」には繋がらない。なぜなら、製品ライフサイクルが短くても、新製品をバンバン開発していくという形で環境に対応する方法などもあり、必ずしも「独創的な技術戦略」が絶対の方法というわけではないからだ。そうすると、「製品ライフサイクルの短命化」と「独創的な技術戦略」との間を繋ぐ理由が必要になる。
恐らく、この理由こそが出題の意図である。
では、その理由は何か?「独創的な技術」は、①模倣困難性があり、②持続的な競争優位性があるため、③資金の乏しい中小企業にとっては弱みをカバーしてくれる強みになるから、というものである。ちなみに、VRIO分析を想起させるように「模倣困難性」「持続的な競争優位性」という記述が望ましいと判断した。
よって、「製品ライフサイクルの短命化」→①②③→「独創的な技術戦略」、というのを解答の軸とした。
次に、「産学連携」については、一般的な知識として「投資費用を分散し、技術協力によるシナジー効果がある」というのがあるが、なぜ最近増えたのか、の理由にはならない。
なぜ産学連携が最近増えたのか、については思いつかなかったので、上記の解答と関連させ「独創的な技術戦略が重要となったため、技術革新の中心となる大学研究機関等との連携が注目され、国も助成金の投入など後押しをしたから、産学連携が増えた」と、即興のSF小説を執筆した。
解答としては「製品ライフサイクルの短命化という環境から脱するため、持続的な競争優位性を築ける模倣困難な独創的技術が求められるようになったから。また、これに対応し、国も研究機関等に助成金などで支援したから。」みたいなことを書いたと思う。
~第2問~
主力製品が育たなかった理由のうち、「製品ライフサイクルが短かったこと以外のもの」を問う問題。
不合格の友人は、「技術革新や代替品の登場によって2~3年で注文がなくなり、なかなか主力製品に育たなかった」という記述を抜き出したみたいだが…。「技術革新や代替品の登場」って、要するに「製品ライフサイクルの短命化」でしょ。「技術革新や代替品の登場」があるから「製品ライフサイクルが短い」んでしょ。国語の問題だよ…。
主力製品に育てるには、顧客の注文が必要である。では、なぜ、顧客の注文が減ったのか?問題文には、「製品ライフサイクルの短命化」以外の理由はない。そこで、じっくり考えた。
顧客の注文が減るのは…、顧客満足度が低いからだ。
じゃあ、顧客満足が低下する原因がA社にあったか、問題文を見てみる。すると、①「顧客の要望を超えるアイデアを提案することで成長を実現してきた」、②分析用試験管については当初、良品率が低かったこと、③「営業担当者は1名で、取引先との窓口業務も行っている」との記述がある。
まず、①は、逆説的に、顧客の要望を超えるアイデアを提案できなかったから、顧客満足が低下した、といえそうである。
しかし、②は分析用試験管に限った話であり、③は現在の話であり過去がどうだったかは不明であるから、解答に使えないと思ったが、①だけでは、字数が余るので、何とか説得的に論じて誤魔化し②も③も書くことにした。
以上より、解答は「①顧客の要望を超えるアイデアを提案できず、②製造プロセスが未熟で、完成品の品質も低く、③A社の営業担当は人材不足で、顧客のクレーム処理も甘かったため、顧客満足が低下したから。」というような感じ。
~第3問~
安定的成長を確保したA社の、現在の「組織管理上の」新たな課題は何かを問う問題。
組織管理上…といったら、「採用」「配置」「評価」「教育」のいずれかの問題だろう。
そして、社長の望みが「研究開発力の強化」にあるのであるから、「研究開発力を強化できる」ような「採用・配置・評価・教育」を答える必要があるだろう。
もっとも、「採用」については中途採用や博士号取得者などを雇用し、「配置」についても課長人事を一新したりと、積極的に「研究開発力の強化」の為の施策を行っている。したがって、「評価」「教育」を解答の軸とした。
具体的には、社長のみが研究開発力の強化の重要性に気付いたため、これを部下とも共有する必要があるから、「安定的な成長に満足せず(ゆでガエル)、絶えず技術革新をするよう、社長主導で、従業員の意識改革を行う」のは重要であろう。また、問題文では、外部人材である研究者との交流について触れられているので、これを利用し、組織を活性化し、「技術革新を第一とする企業風土を根付かせる」こともできるだろう。
以上より、解答は、「成功に安住することなく、絶えず研究開発に挑む姿勢が必要となった。これに対応するため、社長主導で組織文化を変革し、外部人材との交流で組織を活性化し、また評価や報酬制度を変更することが課題である。」というような感じ。
~第4問~
近年、良品率が大幅改善した理由は何かを問う問題。
まぁ、まずは、経験曲線効果は想起できる。やればやるだけ、習熟度が高まるのは明らかであり、これにより、良品率が上がったと考えられる。
しかし、これだけでは、「近年、大幅改善した理由」にはならない。近年、他に大きな変化があったから、このような大幅改善が生じたと考えられる。
では、近年、何が起きたか。まずは、課長人事の刷新が挙げられる。
もっとも、「課長人事の刷新があったから、良品率が改善した」というのは、明らかに論理の飛躍がある。そこで、この論理の飛躍を埋める必要があるだろう。恐らく、これが本問の出題趣旨である。
しかし、問題文にはそれらしい記述がないので、自分で考えるしかない。突然だが、赤字の事業場に新しい責任者を配置するとき、経営トップは何を期待するか。それは当然、従業員のダメなやり方やダメな考えを変革することだろう。それにより黒字化を期待できる。
そうすると、本問でも、課長の刷新は、その課の従業員のやり方や考えを変革したというのが、正しい解答の筋道ではなかろうか。
すなわち「新課長が、前職の経験を生かし、QC活動を推奨し、また、そのような現場での工夫をするという組織文化を根付かせた」から、良品率が改善したのだ。
不合格の友人は書かなかったようだが、さらに「博士号取得者の採用」も根拠として挙げられるだろう。これにより、製造設備の「技術的な改善」も可能となり、良品率が高まったと考えられる。
以上より解答は「①経験曲線効果が生じたこと、②中途採用された新課長が、QC活動等や改善文化を従業員に根付かせたこと、③新たに採用した博士号取得者が、製造設備の技術的な改善を可能にしたことである。」みたいな。
~第5問~
博士号取得者を長期的に勤務させていくにはどうすべきかを問う問題。
これは、どのような待遇をすれば研究者は、モチベーションを維持できるか、という問題であると解釈。しかし、ハーズバーグやマズローなどのモチベーション理論では、うまく書けそうにない。これは、モチベーション理論ではなく、制度設計の提案力を見るのが出題の意図とみた。
まずは、試験直前に法改正があった職務発明には多少触れておこうと感じた。これが加点されたかは分からない。
次に、研究者であるから、自由奔放にやらせるべき、なんて方向性で解答を考えたが、こんな何の根拠もない小学生みたいな感想では解答にならないと悩む。そこで、一応1次試験の出題範囲である労働法の「裁量労働制」を根拠に解答していこうと判断。
以上より、解答は「①できるだけ職務充実・拡大し、研究対象や方法を自由に選択させ、②勤務時間や場所についても、原則自由とする雇用契約を締結し、③職務発明など、報酬についても事前に明確化し、④外部人材との交流を活発に行えるような支援体制を構築する。」みたいな。
今にして思えば、最後に「支援体制を構築して、モチベーションを維持・向上する」と一言付け加えれば、「①~④」→「高いモチベーション」→「長期雇用」という、隙のない論理を展開でき、より高得点が狙えたかもしれない。
よし、事例1は終わり!
あ~疲れた~。今日はここまで!
僕の思考をまとめると、
①論理が飛躍するポイントこそが、出題の趣旨である(と勝手に決めつけている)。
②いわゆる一般常識は絶対に書かない。なぜ?と聞かれて必ず「具体的」根拠を答えられるものしか書かない。
③まずは、経営知識を問うているのではないか、を最優先に考えている。
こんなものか。