ウッディに会いたい!





たくさんの女の子たちと一緒に、ドキドキしながら待っていた。



一目でいいから会いたい!握手したい!サインが欲しい!・・・・・



次々といろんな想いが沸き上がり、一人だったけど不安な気持ちも興奮で吹き飛んで行った。



落ち着いてきて周りを見回すと、数人のグループが多い中、一人でポツンと立ってる子もいる。



なんとなくお互いチラチラ目が合ったりして、しばらくしてその中の一人に声をかけられた。



「誰のファン?一人で来てるん?」



関西弁だったことに緊張がとけて思わず「ウッディやねん!一人で来た!」と、早口で答えた。



それからお互いの情報交換が始まり、あっという間に仲良くなった。



声をかけてきたA子は大阪の子でレスリーのファンだった。



物おじしない子で、次々に周りの子に声をかけて、いつしか私たちは10人ほどのグループになっていた。



全員、関西在住で同年代だったし、初めて会ったとは思われないほどの打ち解けようだった!



皆でそれぞれの知ってる情報を話し合った結果、BCRをタクシーで追いかけようということになり、お金も泊まる用意もしてきてないから一旦家に帰ってから夕方に改めて集合することになった。





急いで帰宅して母に懇願した。



「どうしてもBCRを追いかけたいねん!一生のお願いやからお金を貸してほしい。何でもするからお願いします!!」



必死だった!ただ、がむしゃらに追っかけたかった!



他に何も考えられなかった!私の中の小宇宙で今この時、存在するのはBCRと私、それだけだったのだ。




母はさすがに驚いたようで、しばらく黙って何かを考えていた。



それまで優等生で、親に逆らったこともない私が突然ワケのわからないことを言い出したのだから、母もさぞかし面喰ったことだろう。



母は何も言わずに自分の部屋に行き、何かを持って戻ってきた。



「わかった!これを持って行きなさい、最初で最後やで、こんなこと!そのかわり、必ずアンタの好きなメンバーと結婚するんやで!!エエか?!ただのファンでエエっていうくらいの根性しかないんやったら、行ったらアカン!」



母は一気にまくしたてて封筒を差し出した。



あっけにとられた私は封筒の中身を見て驚いた!!



10万円!!!!!



まだ高校生の私にはありえない大金だ!



今から30年以上前の10万円は今以上の価値だった!!



震えながら母の言葉を噛みしめていた。



そうだ!結婚するんだ!!私!!




そして、ここからとんでもない大冒険が始まるのだった☆





私は期待と寒さに震えながら、伊丹空港にいた。






その年の夏、通っていた高校の英語の教師から、イギリスで流行っているロックバンドのアイドルの話を聞いた。



ベイシティローラーズ、それが彼らの名前だった。



タータンチェックに身を包み、若くてカッコイイ彼等はヨーロッパで大人気だと。



それからほどなくして、日本でも深夜に彼らの情報を流すラジオ番組が始まった。



私はなぜだか激しく惹きつけられた!



彼らの奏でる音楽に、魂を揺すぶられたような感動さえ覚えた。



必ず会える!絶対に会いに行く!!神の啓示のように閃いた・・・・・




そして数日後、本当に1976年12月、来日公演が決まったのだ!!



嬉しくてワクワクして毎日を過ごした。



関西の地方都市に住む女子高生の私は、まだほんの子供だった。



でも、情熱だけは誰にも負けなかった!



そして、その日はやってきた!





それまで真面目な生徒だった私が、2学期の期末テスト最終日に休んだ時も、周りの誰もがまったく疑わなかった。



風邪をひいたから休むと学校に電話をして、伊丹空港に一人で向かった。



何時に着く飛行機で彼らがやって来るのかさえ知らなかったが、その日に来日することだけはラジオの情報で知っていた。



「朝から待ってれば大丈夫!」おまじないのように呟きながら、たった一人で空港へと急いだ。





空港ロビーはすでに100人ほどの女の子であふれかえっていた!!



2,3人のグループで来ている子、一人で来ている子、お揃いのタータンチェックの洋服で来ているグループetc.



祭りのような高揚感で包まれた不思議な空間だった・・・・・



私は制服のまま、ポツンと一人で立っていた。



まるで夢の中にいるようだと思いながら・・・・・・・









普段あまりテレビを見ない私だが、その日は違った。




「ベイシティローラーズが今日のスマスマに出るよ!!」




興奮した文面のメールが友達から届いたから。




私が昔BCRの追っかけをしてたことを知っている友達からのメールだった。




登場する時間は一番最後の歌のコーナーで、SMAPと一緒に歌うのだと聞いた。








メンバーのその後なんて知らない、



生きてるのか死んでるのか、それすら知らない、



まったく封印してしまって、思い出すこともなく日々の生活に追われてきた。



青春時代のほんの数日間に凝縮された、そう祭りみたいなものだったと自分を納得させていた。





なのに・・・・・・・



心がときめいた!



あの頃の日々が原色で浮かんできた!



まだ10代の世間知らずな、ミーハーでおバカで、でも熱いハートのローラーマニア☆







スマスマの放送時間まで落ち着かなかった。







ドキドキした、



心臓の鼓動が速い。



どんなに外見が変わってることだろう、



彼は、どんな年の重ね方をしているのだろう?



楽しみでもあり、怖くもあり、今の自分がどう反応するのか興味深かった。







いつもより急いで用事をすませて、テレビの前に座る。





あれっ!?パット・マッグリン??一人だけ???





アハハハハ、一気に脱力した。



な~んだ!BCRっていうから他のメンバー、いないの~?



この緊張感は何だったのよ~(苦笑)







でも、最初に昔の来日時のVTRが流れた時、一瞬、時が止まった!



確かに私は、あの場に存在してたのだから・・・・・・・



そう、タイムマシーンに乗ったかのように、ワープして1976年12月に私は遡っていった!!







そして、この物語を書いてみようと思ったんだ。



スマスマのおかげかな?ありがとう、SMAP(笑)そして私がBCRファンだったことを覚えててくれた友人、









ゆっくりと物語を綴っていきますので、ベイシティローラーズを知ってる方も知らない方も、どうぞおつきあい下さいませ☆