鉢野在流はライトノベルがお好き!? -14ページ目

鉢野在流はライトノベルがお好き!?

ライトノベルを中心に創作、批評、文章研究などを書いていこうと思ってます。物書きからの目線で物事を見定めるようシンプルに分析できれば、と。

さくら荘のペットな彼女 (電撃文庫)/鴨志田 一
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 ――俺の住む寮『さくら荘』は、学園の変人たちの集まり。そんな寮に転校早々入ってきた椎名ましろは、可愛くて清楚で、しかも世界的に有名な天才画家だとい う。天才美少女を寮の変人たちから守らねば!と意気込む俺だったが、入寮翌日恐るべき事実が発覚する。ましろは、外に出れば必ず道に迷い、部屋はめちゃく ちゃ、ぱんつすら自分で選べないし、穿けない、生活破綻少女だったのだ!そんなましろの“飼い主”に任命された俺。って、服とか俺が着替えさせるの!?こ れでも俺、健全な男子高校生なんですけど……

 この作品の見所は、青春劇。目標を見失いがちなティーンエイジャー達の繊細な心模様が丁寧な文体で綴られている本作。天才的な才能を持つ女性陣に男性陣が日々悶々とする内容は、思わずイ㌔と言ってあげたくなってしまいます。ただ、高校生というより大学生な考え方にみえますので、中高生の共感を得られるかは難しいかも。

 お気に入りのシーンは、ヒロイン椎名ましろがとある目標の結果が不発に終わってしまった時のシーンですかね。ましろの姿を見て、主人公は自分の中に生まれたとある感情に気づきます。その時の主人公の心理状況が実に共感できました。人間誰しも、たとえ意中のカワイイ女ノ子に対しても、才能をうらやんだりしてしまうものですね。

 学べたところは、心理描写の巧さですかね。三人称なのに心理描写を書く技術が高いためか、心のヒダまで見えるかのように若人の甘酸っぱい青春を感じることができました。負の感情を書く時はどうしても文体が硬く尖りがちなのですが、本作では柔らかさと温かみが出せていて作者さまの色を感じることができます。自分が考えていることをそのまま作品に投影しては、ただの私小説か日記です。本作は、エンターテイメント作品として共感しやすく楽しめる心理描写を書くことに成功していて、とてもためになる作品ですね。

 天才は99%の努力と1%の才能度 ☆☆☆☆☆

 ――いいんじゃないか。どっちもほんとの自分でさ。単純じゃないだろ……そういうの――