「今日はお薄に代わって、お濃茶のお稽古に入ります」
と先生が告げられた。
「お薄とお濃茶のお道具で違うところは、お茶器がお”茶入れ”に代わって、お茶入れはお”仕服”と呼ばれる袋に入れられて使われます。
お茶器は木地、つまり木材や金物で作られていますが、お茶入れは焼き物ですね。
お仕服の口を開くには、紐の締められた輪の交差を上を右手、下を左手で持って、1、2と2回に分けてほどいて、右側の輪の上弧を右手でつまんで、左手でつがいの打ち留側の端を押さえて、右手を1,2と引いて、きれいにほどきます。
きれいに紐を伸ばしたら、お仕服の口の向こう側を真ん中から両端にそれぞれ優しく押してきれいに、次いで、手前をきれいに伸ばして、それから輪が自分の方を向くように両手で上から挟んで1,2と右回しに回して、、お仕服ごとお茶入れを上から掴んで、左手のひらに乗せて、右手を手刀の形にして、右、左と割り開いて、上からお茶入れを掴んでヒザ前に出します。
それから、緒をくぐるようにして、右手親指と人差し指のまたでお仕服を挟むようにして持ったら、右手のひらを上に向けて、左手で左側を持ってお仕服を整えて」
と一度、言葉を切られた。
「お仕服の各所の名称は、袋の”底”、縫い合わせを”マチ”、紐が通ったところを”つがい”、紐の端をくくったところを”打ち留”、反対の輪を”緒”と言います」
と言われた。
「お仕服の紐の括り方には、2通りあって、お茶がお茶入れに入っている場合と入っていない場合とで違ってきます。お茶が入っていない時を”緒休み”と言います。
皆さんによくして頂くのは、お茶が入っているときの緒の結び方ですね。今日は、お茶は点てずに順番に結び方を練習して頂こうと思います。多分それで時間が無くなると思うんですよ」
と先生が言われた。
お茶入り 緒休み (共に写真はお借りしました)


「それでは、まず、お茶入れにお茶が入っている場合です。
お仕服にお茶入れをまず入れて、って、これは水屋でしておくことですからね」
と忘れていましたと言うように、付け加えられた。
「打ち留の方が手前に向くようにして、つがいの一番手前に左手の指を当てて、、右手で紐を右、左、右、左と優しく引き寄せながら、お仕服の口を閉めていって下さい。
イッキに引っ張ると、お仕服の口の布を傷めますからね」
と言われた。
「しっかり引き寄せたら、輪の右側が上にくるように交差して”8”の字を作って、左側下のふくらみを上の輪に下から通して、上に上げて、縦に蝶々になるように締めます。上になった方を左から右へ折って、下になった方をすくい上げ、出来た輪に通して、しっかり引くと、中央に縦の2本が見える蝶々結び目が出来ます」
と言って、手を離された。
「ほどくときは、この2本を一組にして、右手でつまんで、その下に斜めに入っている2本を左でてつまんで開くんですよ」
として見せてくれた。
「注意するのは、打ち留めは、殿様のちょんまげみたいに立てること、両方の輪が下へ下がらないようにすることですよ」
と言われた。
「それから、次にお茶を入れていない、つまり片付けておくときの結び方”緒休み”を見てもらいましょう。
今度は、逆に、左側を上に交差します、下側右をくぐらせて”8”の字を作ります。
横”8”の字にして、左の輪を折って1/3だけ右の輪に通して、そうしたら右側にあった輪が下に下がりますからそれを持ち上げて、打ち留に引っ掛けたら出来上がりです。じゃあ、それぞれ、お茶入れが入ったお仕服を取って、ほどいたり、結んだりを繰り返し練習していきましょう」
と先生に言われ、始めたが、アレッ?アレっ?の繰り返しで、特に緒休みは迷い、その日は、なんとか出来るようになったかなと思った頃に御終いの時間が来てしまった。