①人生にはどうしても選ばなければならない選択がある。2つのうち片方しか選べないのだ。一つはいつもどおりの安全な道。もう一つは今までとは違う新たな道だ。俺はいつもどうりで十分なのに新たな道を選ぼうとしていた後悔するかもしれない。しかし俺は財布から100円を取り出し新発売の梨味を掴んだ

②そうだ、ガリガリ君だ。アイスが食べたいが新発売があって迷ったんだ。これさえ売ってなければ、迷わずにソーダ味を買っていたんだ。ソーダの方は何度も食べてるので味は解っている。失敗しないんだ。新発売の梨味、コレは全く未知の世界だ。ガリガリ君の知識と、梨の知識はあるのだが、合わさった物と言うのは想像しかできない

③そして失敗した。後味が甘すぎて凄くのどが渇く。梨と言うよりはりんご味だ。りんごが嫌いな訳ではないが、りんごを甘くしたような感じで凄く中途半端に感じた。味の濃さが無くて口当たりがあっさりなのに、後味が甘いのだ。むしろ味を濃くして後味さっぱりが理想なのになんという事だ。素直にソーダにしておけばよかった

④アイス位で大げさに人生の選択とか可笑しいんじゃないのか?って思うことだろう。だが、コレは縮図だ。仕事で例えてみよう。工場作業員としてずっと働いているコレがソーダ味だ。そして友人から販売の仕事をやらないかと誘われたコレが梨味だ。うわべの知識で販売の事は解るが実際の仕事は想像しかできないわけだ。

⑤そして失敗する。接客の嫌なところと、仕事面での充実感、給料面など様々な不満が出る訳だ。まぁガリガリ君なら次に買わなければいいだけで済む訳だが、転職した場合は後戻りは出来ないだろう。しかし成功する事だってある。想像以上に梨味が美味しい事だってあるんだ。そしてガリガリ君ならいつでも買えるが、仕事の場合、買えるチャンスは友人に誘われたその時だけなのだ。

⑥ではどうするか?現状を考える事だ。冷たい物が食べたくてさっぱりしたアイス食べたいなら、無理に梨味を選ぶ必要なんてないのだ。ソーダでさっぱりできる事を知っているのだから。もうソーダなんて食べ飽きたという時に、梨という選択肢が出るんだ。新しいから買う必要など何処にもない。

あぁ、何故僕は梨味なんて買ってしまったのだろうか…。後味悪いよ。
競争社会、立ち止まれば置いて行かれる社会だ。マニュアルどうりに進めたものが最速で進んでいく個性のない社会。俺は教わった事を頭に自分の言葉で入れてからでないとマニュアルどおりに進めない。それを教わるすべもない。俺は開き直る事にした。これからはアドリブで生きていく。目標だけは明確に

目標さえ意識してれば、アドリブでも生き抜けるしそのほうがストレスもたまらない。縛られるのはうんざりだ。やった事のない司会進行を突然その場で頼まれた。そんな知識など頭にない。ならば自己流で進めるのが一番だろう。マニュアルどうりにやろうとして滞れば、自分も相手もストレスが溜まる。

ココでこう言われたらこう返す。そんなマニュアルもってないから独自の切り返しをした。相手は驚くが、とりあえず先に進んだ。教える人間が居なかったのだからこうなるのだ。間違っても俺は悪くない。そう思えば案外進む物だ。俺はマイペースで進行を続けた。レールに乗らない自分のペースは思いのほか楽しい

司会進行もなんとか終了した。周りからは賛否両論だった。面白くてよかったと言う人も居れば、不自然でおかしい駄目だと言う人もいる。先に進まず滞っていれば良かったと言ってくれた人は居なかった。俺も自己流で進めたのでストレスはない。マニュアルで進めてたら後悔で押しつぶされた事だろう。

将来どんな仕事をしたい?昔そんな質問をされた。昔は年功序列の社会だったので特に目標がなくても平気だった。適当な仕事について歳が上がれば勝手に給料も上がったが今は競争社会だ。昔とは違う。目標設定が遅い人は置いていかれ、能力もなければ仕事にさえありつけないのだ。立ち止まってる時間はない

良い指導者に出会い、良いマニュアルを持っていれば人生は成功する。両方ないならアドリブで行くしかない。サッカー選手になりたいと思ったとしよう。よい指導者に良いマニュアルがあれば才能はそれなりでも、なれる可能性はある。両方ないなら独自に練習するしかない。目標さえしっかりしてれば何が必要で何が足りないかはある程度は解る物だ。

まぁ、才能もなくて良い指導者もなくて良いマニュアルもないのでは、不可能だ。子供の頃は無茶な職業になりたがる。テレビ、漫画、映画などで憧れる職業は大抵、アドリブではなれない職業だ。指導者もマニュアルもない場合はあきらめて別の目標を設定した方が良い。競争社会では早めに別の設定をするしかないのだ。

何になりたいと言う目標を作る。コレがはじめの一歩だろう。コレがないとマニュアルどころの騒ぎじゃない。地図も方位磁石もない状態で知らない土地に放り出された状態だ。とりあえず右に進む。行き止まりだ。じゃあ左に行ってみよう。道が分かれたドッチに行く?こんな状態では置いて行かれる。

目指す方向さえ決まっていて、その方向さえしっかり認識できていれば、適当でも進める。目標もなく適当に生きるのだけは辞めた方がいい。では質問しよう。お前は将来何になりたい?それになる為のよき指導者はいるか?それになるためのマニュアルは持ってるか?あらかじめ頭に入れておかないと、マニュアルどうりには進まないぞ。

まぁ、お前は、説明書を読まずにゲームを進めるタイプの人間だ。マニュアルは参考程度に、正しい役立つ情報をくれる仲間を見つけ、人生と言うゲームをクリアしてみせてくれ。難易度は高いぞ。
俺はこの職場に入ってから妙に配属替えをされた。2ヶ月に1回ペースで3回目だ。まぁ理由は解る。経営理念に反する事を許さないからだ。統括には期待されていたのだが、課長と部長が屑だ。まぁ利益を求めて、建前としか思っていない経営理念を邪魔としか思ってないのだからどうしようもない。自分に向いてない職種なのだろう。

自分は店次長という中途半端な役職だった。役職手当も付かないのにサービス残業当たり前の、まぁ俗に言うブラック企業に勤めていた。朝9時にタイムカードを押して、終わりは夜の9時が基本。普通の日の平均で大体12時間労働だ。これで月4日程度休みを貰っていた。給料は手取りで20万以下、ボーナスは10万以下。それでも肉体労働ではないので自分は余裕で働いていた。

まぁ、自動車工場の期間社員を期間満了まで働き契約更新もし、新聞配達員もやったことがあれば、並みのブラック企業で根を上げる事は無いと思う。自動車工場の厳しさは半端じゃない。新聞配達員もまじめに働くと並みの拘束時間じゃない。過去のつらい経験が、現在の辛さを感じさせなくする。

12時間の仕事が終わった後に、よくアルバイトを誘ってカラオケに行った。ストレス発散にもなり、バイト達にしか解らない情報も手に入り、バイトとの関係も良くなる。是非、他の社員にも勧めたかったが、この職種に付く人間は体力的に弱いらしい。社員達は帰りになると皆死にそうな顔をしていた。

そんな訳で、自分はバイトに好かれ上司に嫌われるタイプの人間だった。3店舗移動させられたが、全ての店舗の殆んど全てのアルバイトとメールでやり取りするほど打ち解けた社員と言うのは、自分をおかしな立場にしたのだろう。社員の黒い情報が山のように集まるんだ。まぁ、最終的には課長を相手に喧嘩をする羽目になったのだが。

仕事が終わった後に、商品の店舗間移動などがあり、その時も別店舗に行く度にバイトを誘ってカラオケに行ったものだ。カラオケに行くと酷い時は帰って風呂に入って2時間寝て出社と言った感じだったが、それでも率先してカラオケに誘った。最低でも毎週2回は行っていただろう。当時は前に働いていた自動車工場の慰労金もあり、金にも余裕があった。

殆んどの場合、自分がおごると言って行くのだが、皆、自分達も行きたいらしく割り勘になる事もよくあった。そんな訳でバイトには絶大な人気だったが、他の社員、特に店長には嫌われるのだ。自分よりバイトに信頼されてると言うのが扱いづらいらしい。シフトを組む際でも、この2人は一緒にすると効率が悪いとか、この子はこのシフトに入れたほうがいいとか、意見したし、実際効果もあった。

自分が居る店舗はバイトの能力がメキメキ上がっていった。しかし、バイトの給料は変わらず社員が手を抜き始める。オープンの立ち上げ作業とクローズ作業とルーティン作業しかしなくなるんだ。上が楽になる分にはいい事だと思う。しかし、下っ端レベルの社員が楽をしてるのが俺は許せなかった。

その事で店長と討論し、店長が俺を扱いきれないと部長課長に報告し、自分が他店舗に移動する羽目になると言う訳だ。おかげで店長レベルの仕事は余裕で出来るのに、いつまでたっても店次長だった。まぁ利益よりもモラル重視な自分は店長に向かないのだろうが。そんな時課長が、社員より仕事が出来る今居るアルバイトは全部切って、新しいバイトに変えたほうが扱いやすくていいと言い出した。

俺は頭にきて統括相手に直談判をした。「従業員とお客様が笑顔になる経営理念は飾りなのか?」と、「ボーっと出社してルーティンだけやってバイト任せな社員はバイトのせいなのか?」と。それで統括は自分の意見を聞き入れてくれた。そして課長と俺が気まずくなった。

俺は、新規店舗立ち上げに課長の指示でよく駆り出された。自分の店舗の仕事が終わった後にその店舗で立ち上げの準備を8時間ほど手当てなしでやらされるんだ。俺が居るとアルバイトも手伝ってくれると言う理由からだ。実際バイトは頑張ってくれた。給料も出ないのに。俺は自腹でジュースを配ったり、終了後にカラオケに誘ったりした。

自分の店舗で10時間働き(立ち上げ準備の際は2時間早く上がった)、移動で1時間、立ち上げ準備8時間。その後カラオケ2時間。家にシャワー浴びに帰ってそのまま仕事に向かう日が立ち上げまで1週間続いた。よくも体力が持った物だと今は思う。これで20万以下の給料ははっきり言って可笑し過ぎるが。仕事が楽しかったから続けられたとも思う。

課長の嫌がらせも乗り越え、そんな生活をしてたのだが、妬みか嫉妬か、出る杭は打たれる。ある日、「バイトをカラオケに誘うナンパヤロウ」って怪文が全店メールで晒された。まぁ実際アルバイトの子を好きになった事実もあり、店舗から近い居酒屋の通りで、泣いてるバイトの子と抱き合ってる姿を社員に目撃されてた事もあるので、俺は否定できなかったのだが。

その怪文メールの後、俺は課長の指示で売り上げの一番少ない最も小さい店舗に移動になった。そこは殆んど店長と2人だけで回す最果ての店舗だ。周りにカラオケもなく、アルバイトも1人が短時間入る形だ。忙しさなど何もない。自分に最も向いていない場所だろう。そこで俺は体調を崩した。胃潰瘍だ。ストレスは胃に来るというのは本当らしい。

その後、その店舗に強盗が入りドアを壊されたりなどの事件もあり、その店舗が閉鎖する事になった。その頃には、経営理念など飾りという事がよく解っていたので人員が余った事もあり、俺は退職願を出した。そして、名古屋へ行き再び自動車の工場で期間社員をする事になった。そこの面接で面接官に聞かれた。「趣味カラオケと書いてありますが良く行くんですか?」と・・・

俺は「週に2回はカラオケいがないと駄目なんです」と笑顔で答えていた。