雷句先生の最新作、どうぶつの国を読みました。
これは泣ける・・・
生まれてすぐ母親に捨てられ、親の愛というものを知らない赤ん坊。
両親を山猫に喰われ、一人ぼっちになってしまったタヌキの少女。
ある切欠から、弱肉強食な世界の理に疑問を抱き、群れを離れ、弱者を守る戦いに身を投じる黒山猫。
それぞれの孤独を抱えた3匹(2匹と一人)を中心に、異なる種の動物や仲間達との触れ合いが描かれたアニマルファンタジー。
今の世の中に失われかけている何かが、このどうぶつの国にはある・・・ような気がする。
お腹を空かせ、川で魚を獲っていたタヌキの少女モノコが、川上から流れて来た赤ちゃんを拾った所から、この数奇な物語の幕は切って落とされます。
食べ物では無かった事に消沈しつつも、その赤ちゃんの可愛い笑顔にモノコは一目でフォーリンラブ。
このままここに置いてはおけないと村に連れて帰ったものの、ただでさえ食べ物が少ない時期に余所者の赤ん坊を養う余裕は無いと、村の皆は猛反対。
それでも、モノコは自分が面倒を見ると言い張り、夜だと言うのに危険を承知で牛にミルクを貰いに行こうとするんですが、この時、ちょっぴり意地悪な幼馴染みらしい少年に言ったモノコの台詞にうるっと来ました・・・
「オラにも家族があっていいじゃねえか!!?何でオラばかり意地悪するだ!!?
あの子はオラが見付けた大事な子だ!!!オラの家族だ!!!」
うぅ・・・多分、このモノコちゃんは12~3歳くらいだよね・・・
まだまだ親の庇護が必要な年だろうに、両親を失って一人ぼっちになって・・・それでも自分より小さい、同じく一人ぼっちの赤ん坊を健気に守ろうとして(ノДT)
みるみるやつれていく赤ちゃんを助けようと、モノコは必死の思い、それこそ死にそうな目に遭いながらも何とかミルクを持ち帰り、赤ちゃんに飲ませようとするのだけれど、赤ちゃんはどうしてか飲むのを嫌がるのです。
実の母親(多分)に川へ捨てられる時、母親の台詞を聞いてしまったから・・・
『あなたは生まれるべき子では無かったの・・・あなたを背負っては・・・私も生きられない・・・』
言葉は理解出来なくても、赤ちゃんっていうのは母親の気持ちに敏感なものなんですよね。
無条件に親から愛を注がれるべき筈の赤ちゃんが、その所為で生きる事を拒むんです・・・
頑なにミルクを飲もうとしない赤ちゃんに、泣き叫びながら飲ませようとするモノコに号泣。
「オラもこんな世界生きるのが嫌じゃ!!いつも腹が減ってて・・・家族いなくて・・・さみしくて・・・
でも・・・でも、父ちゃん母ちゃんがいた頃は幸せだったっぺ!!寒い時は一緒に寝てくれてよ!!
だから・・・だからオラ、お前の母ちゃんになって、同じように幸せを与えるべ!!!
オラが喰われても、お前だけは守るだ!!生きるんじゃよ!!オラと一緒に生きておくれよ!!!」
始めは赤ちゃんを村に置く事に反対していた村のタヌキ達も、モノコの必死な姿に心を打たれ、赤ちゃんを冷やすまいと村中総出で温めようとしたりして・・・
自分をギューッと抱き締めるモノコの心音と温かさを体で感じた赤ちゃんが、ずっと堪えていたものを全て吐き出すように初めて「オギャアアアアアアァァァァァァ」と泣いたのにもやれれた。
こういう親子愛に弱いんです・・・
で、モノコの拾った赤ちゃんには不思議な力があるようで。
種族の違う動物は「鳴き声」が違うので意思の疎通は出来ないんですが、その赤ちゃんは、どうやら全ての動物の言葉を理解し、会話する事が出来るという天才児だった模様。
笑顔と泣き顔を巧みに使い分け、鳥や牛からエサを貰うという子悪魔っぷりを発揮しております(笑)
そして、そんなデコボコ親子(?)が運命的な出会いを果たす事になった1匹の巨大な黒い山猫クロカギ。
眼光鋭く、しなやかで強靭な体躯を持つ黒猫というビジュアルだけでときめきますが、同じ種である山猫に牙を剥いてまで、か弱い動物達を守ろうとする優しさに惚れた。
その理由というのが、また涙腺を刺激するんだこれが・・・・
オレは、このキバとツメで山程弱い者を喰って来た。弱い者を殺して喰うのは腹が満たされる。
だがよ・・・オレはある時、メスのキツネを喰うために殺したのよ・・・
そしたら、そのキツネは母親でな。キツネの体にまだ目も開いてねえガキがくっついてた。
そいつ・・・オレを母親と勘違いしたのか、擦り寄って来たんだ。オレはどうしていいか分からなくてよ・・・
放っておいたら、朝には冷たくなって死んでいた・・・
子ギツネの亡骸を見たクロカギがワナワナと振るえ、声にならない咆哮をあげるシーンはやばかった。
誰かを思い出すなぁ、と思ったら、ペルソナ3の荒垣先輩に何処か似てるんだなぁ・・・
惚れない訳が無かった!!
何というか、心に十字架を背負った手負いの獣・・・っていう所にも色気を感じますね![]()
「生」きる事、「命」の大切さ、という重めのテーマが根底にあるのですが、雷句ワールド特有の不思議・・・というか、ぶっちゃけヘンなキャラが多数登場するので、サラリと読めます。
笑いあり、涙あり、感動ありの素晴らしい作品ですよー!かなりオススメ!!
来月発売される2巻も買います絶対!!

