逆転裁判4 プレイ日記⑥ | Trashy Discovery

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「スーーーーーッ・・・・・・ハーーーーーーッ・・・」


オレは、一度だけ大きく深呼吸をした。


大丈夫だ!オレは牙琉先生を信じている!

牙琉法律事務所に入ってから、ずっと傍で見てきたんだ!

先生が、殺人なんてする筈がないのは、分かりきっている事だ!


「大丈夫です!牙琉先生!オレ、必ず矛盾を見つけてみせます!」

決意を込めて、牙琉先生を見つめた。



牙琉先生は、一瞬だけ驚いた様に目を見張ると、

すぐに微笑んでくれた。





尋問開始。


成歩堂さんの証言で気になるところ・・・。


「彼が帰って5分ほどしてから、浦伏が現れた」


5分・・・微妙な時間だな。


「5分ですか、じゃぁ・・・2人は、店内でスレ違ったかもしれませんね」

オレは、慎重に言葉を探す。


「確かに。“運命の出会い”だったのかもしれないね」


「異議あり!」

亜内検事が異議を唱えた。


「ふっふっふっふっふ・・・

成歩堂君・・・君は先程、こう言いましたね。

『牙琉霧人は、浦伏影郎と会っている可能性がある』・・」


「確かに、言いましたね」


「どんな“可能性”が出てくるのかとドキドキしてたら・・・

スレ違っただけですかッ!」

亜内検事が、成歩堂さんを指さす。


「ふむぅ・・確かに、少々無理がある様ですね」

裁判長も肯く。


「・・・確かに、それだけだったら、ね」

意味深な事を言う成歩堂さん。


何かを隠している・・・・・・。

でも、今は証言の矛盾を探す事が先決だ。




もう一つ気になるのは、逆居の『失敗した罠』。


「失敗した罠というのは・・・先程、イカサマサカイさんが証言した

アレですよね?」



『罠はシンプルなものだったね。予めポケットに・・・

囮のカードを1枚、コッソリ仕込んでおけばいい。

そして、《5枚目のA》のシナリオ通りのカードを配って・・・

「イカサマだ!!」とケチを付けて、身体検査。

その囮のカードを取り出せば、罠の口は・・・閉じる!』



オレの質問に、成歩堂さんは、俯くと・・・少し笑った・・・?


「・・・そう。可愛いイタズラだね。

見破ったのは、ささやかなキッカケだったよ。」


キッカケ・・・・?


「たまたまポケットに手を入れたら・・・カードが入っていたんだよ。

コッソリ見てみたら、『ハートの5』だった。

嫌な予感がしたんで、始末したよ。最後の勝負が始まる前にね」


「始末・・・いったい何処に!」


「傍らに、僕が飲んでいたジュースのボトルがあった。

その中に捨てておいたよ。」

成歩堂さんは、意味ありげな視線を、オレに向けている。


現場にあった、ジュースのボトル・・・・・。


「それって・・・・・凶器の事ですかッ!!」

オレは机を叩いた。



ざわめきだす法廷内。



「コイツは、中が見えないからね。

手の中で、丸めて押し込んでおいたよ」



・・・・凶器のボトルの中にカード・・・?

そんなもの警察が見落とすだろうか・・・

おかしい・・・・・!


オレは法廷記録をチェックした。

凶器のボトルのデータは・・・「中身は空っぽ」だと記されている。


矛盾を一つ見つけた!!


「異議あり!!!」

オレは、いつもより更に大きな声で、異議を唱えた。


ダメだ・・・冷静にならないと・・・

一呼吸置いて、気を落ち着かせる。


「成歩堂さん。ちょっといいですか」


「なんだろう」


「法廷記録によると、『凶器のボトルの中は、空っぽであった』

とされているのですが・・・」


「あれ、そうかい」

成歩堂さんは、興味無さそうに答える。


「何ですか、被告人!そのつれないそぶりはッ!」


裁判長・・・それ、ちょっとおかしくないか?

言葉が・・・


「さぁ、僕に聞かれても、困りますね。

カードは確かにボトルの中に捨てましたよ」


「え・・・・・・」

オレは絶句した。


「また『第三者が持ち出した』・・・とでも主張するつもりですか?」

牙琉先生が、静かに口を開いた。



どういう事だ・・・・。


亜内検事によると、

『警察側は間違いなく凶器のボトルの中身も確認済み』であり、

その上で、カラであったと発表している。



成歩堂さんが、嘘をついているのか・・・

それとも・・・カードが『消えた』のか・・・?





裁判長が木槌を打つ。


「・・・とにかく、尋問を続けていただきましょう。

決定的な矛盾と呼ぶには、決定的なパンチにかけています」


くっ・・・


「さぁ、オドロキ君。もっと攻めていきましょう。

弁護士の仕事は、証人をノックアウトする事です」

牙琉先生が、オレの方を向く。



・・・・え?

何か趣旨変わってきてないですか・・・?

(趣旨というか・・・先生のキャラというか・・・)




成歩堂さんの証言に対する尋問が続く。


成歩堂さんは警察に通報する時、

「現場」ではなく店の1階から携帯電話を使っている。


「その1階ですけど、他に人はいなかったのですか?」

オレは、頭に浮かんだ疑問をぶつけてみた。


「既に深夜だったからね。店内には誰もいなかった。

照明の消えた暗い店内で、警察に電話をかけたのさ。

電話のあとは、すぐに《ナラズモの間》に戻ったよ。

殴られた子をほっとくのもどうかと思ったものでね」



戻った時には、既に被害者は死んでいた・・・という訳か。

額から一筋血を流して・・・・・。


そして、成歩堂さんが次に取った行動は・・・

牙琉先生に、電話をかけた・・・というものだ。



矛盾があるのか・・・・?

オレは法廷記録を確認する。


ん?この写真・・・。

オレは、2枚の「現場写真」を凝視した。


一枚は、警察が来て直ぐに撮影されたもの。

被害者は帽子を被っている!!


もう一枚の現場写真・・・

確かに被害者が額から血を流している様子が写っている。

だが、これは鑑識が来てから、

“調査の為に”帽子を取って撮影されたもの!!


成歩堂さんの証言は、矛盾している!!



「異議あり!!」


落ち着け・・・オレ・・・あくまで冷静に・・・


「あの、成歩堂さん、ちょっといいですか」


「なんだろう」


「現場写真を見てもらえますか。
その・・・被害者ですけど、帽子を被っていますよね。

額の血は・・見えないのではないでしょうか」


オレは、成歩堂さんの目を見て尋ねた。


「・・・・・・そうみたいだね」

成歩堂さんは、オレから視線を逸らさない。





ざわめきだす法廷内。



「・・・オドロキ君」

牙琉先生が、オレの方を向いた。


「は・・はい!」


「矛盾を暴く時は、もう少し元気にやった方がいいですね」

そう言って、ニッコリ笑った。



え!オレ・・・冷静にやらなきゃって思ってたのに・・・

(いつも声が大きすぎるって注意されてるし・・)




裁判長が木槌を打った。


「被告人。いったいこれは、どういう事なのですか?」


裁判長の質問に、成歩堂さんは少し顔を伏せ、


「そう・・・一つ。言い忘れてました。

その帽子を被せたのは・・・・僕だった」

言い終わると、顔を上げた。



え・・・・


皆、言葉を失う。


「ポーカーの間、彼は帽子を取りませんでした。

警察へ通報して、現場へ戻った時、ミゴトな頭と対面した訳さ。

・・・そう、この写真の通り、曇りもなく、ツルリと光っていたよ」


「それで・・・?」

裁判長が、声を搾り出すように尋ねる。


「・・・床に落ちていた帽子を拾って、そっと頭に乗せておきました」


「ななななな、何故!こんな事を!!!」

亜内検事は、興奮のあまり(横の)髪を逆立てている。


「申し訳ない・・・としか言えませんね。

僕が現場で手を触れたのは、それだけですよ」


成歩堂さんの顔には、少しの動揺も見られない。




「じゃぁ・・・逆居雅香さんも、見てないんですか?

・・・その、被害者の頭を」


オレは、思いもよらない成歩堂さんの証言に、

その場しのぎの質問をするしか出来ないでいた。


「どうだろう。彼女は気絶していたからね。

彼の頭を目撃したのは、僕だけ、だと思うよ」


成歩堂さんの表情は、変わらない。




「やれやれ。また、ですか・・・」

牙琉先生が、小さくため息をついた。


「牙琉先生・・・?」

オレは、牙琉先生の方を向いた。


どうしたんだろう・・・?


「・・・いや、失礼。

依頼人の嘘は、これが初めてではない様ですからねぇ」


先生・・・・それって・・・・・どういう・・


「・・・もう、いいでしょう」

牙琉先生は、そう言って、中指で眼鏡を押し上げた。


「牙琉先生・・・?」


鼓動が何故か速くなった。


「どうも、この被告人の証言には、偽りが多すぎる様です。

7年前・・・弁護士バッジを失ったのも無理はありませんね」


牙琉先生は、そう言うと無表情に成歩堂さんを見つめた。


「フッ・・・。依頼人に向ける言葉としては、随分キツイな、牙琉」

成歩堂さんは、口端を上げて牙琉先生を見る。


「最初に攻撃してきたのは、確か、君でしたね・・・?」



そうだ・・・成歩堂さんは、嘘・・とまではいかなくても、

隠している事が、多すぎる・・・・

それに・・・牙琉先生を、犯人扱いするのは、オレも・・・許せない。



オレはバンッと机を叩いた。


「成歩堂さん!本当の事を言うなら・・・今しかありません!!」


「僕は、嘘は言ってないよ」


「え・・・・」


「罠に気付いた僕は・・・あのカードを、ボトルの中に捨てた。

そして、被害者の頭に帽子を被せたのにも・・・ある理由があった」


理由・・・・だって・・・


「・・・コイツですよ」

成歩堂さんは、携帯電話を取り出した。


「携帯電話・・・ですか?」

オレは、しばし呆然と携帯電話を見つめた。


帽子と携帯電話・・・何の接点も見あたらない。


「・・・あの夜。警察に通報したあとの、牙琉弁護士との通話・・・

念のために、録音しておいたのですよ」


「なんですって・・・・?」

牙琉先生が、僅かに眉をひそめる。


「せっかくだ、牙琉。皆さんに聞いてもらおうじゃないか」

成歩堂さんは不敵に微笑むと、言葉通り再生させた。








『牙琉。・・・すまないが、面倒に巻き込まれた様だ』


『何ですか?ゲームのトラブル、かな?』


『うん、そんなところだ』


『今夜君に勝負を挑んでいた、あの紳士・・・ですか』


『ああ・・・死んじまったよ。思い切り、殴られたみたいだ』


『まさか・・・君ではないのでしょうね。

傷一つ無いボーンチャイナにヒビを入れたのは』


『よしてくれ。とにかく、これから警察が来る。

頼むよ。・・・もしもの時は、な』








「ボーンチャイナ・・・・・」

その言葉に、妙な胸騒ぎを覚えた。


「陶磁器の事だね。極めて、ツルッとしている。

人の頭に例えるなら・・・丁度、写真の被害者の様な、ね」



鼓動が激しくなる・・・

矛盾・・・・・・・・・・・・・


牙琉先生は・・・・被害者の頭を・・見ていたのか・・・?



成歩堂さんの視線は、オレを捉えている。


オレは・・・・・・・




「・・・牙琉先生は、成歩堂さんと、夕食のあと・・・

直ぐに《ボルハチ》を立ち去ったんですよね・・・?」


「間違いないね」

成歩堂さんは、待ちかねた様に即答する。


「それならば・・・何故。先生は知っていたんですか?

被害者の“ボーンチャイナ”・・・極めてツルッとした頭を・・・」


声がカスれる・・・上手く発音出来てるのか・・・・


「そう・・・その時から、なんだよ。

僕の友人の顔が、違ってみえだしたのは・・・」


成歩堂さんの視線は、牙琉先生に向けられている。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

牙琉先生は、無言だ。



・・・・何でもいい・・・言って欲しい・・・・これには、理由があるのだと。

そうすれば・・・オレ・・・信じるから・・・・・




「心に、何か引っかかったまま、僕は現場に戻った。

そして、被害者の頭を見た時・・・違和感の正体に気付いた」


成歩堂さんの、目に力がこもる。


「さぁ、牙琉先生。舞台は整った様だ。

よかったら・・・聞かせてもらえるかな?

被害者の頭の秘密を、何故、君が知っていたのか・・・?」