おにぎり山ふもとの畑日記(32)

 

 夏から秋にかけて、畑の夜はにぎやかだ。セミの鳴き声が小さくなる頃、カエルが鳴き声が大きくなる。さながら、ドラマーのように、正確なリズムを刻みつづける。鈴をならす托鉢僧のようなスズムシの音もここちよい。時折、姿を見たことはないけれど小さな獣の、「キーキー」という鳴き声がする。そこに蚊が飛ぶ音が混ざると、蚊取り線香に火を灯す。

 

 明け方は鳥さんの鳴き声で目を醒ます。「TPP、TPP」と、毎朝、熱心な議論を重ねている。時事問題に関心があるようだが、やや情報が古いようだ。

 

 ここ数年、9月以降長雨が続くことが多いので、早めに秋野菜を植える。冬越え野菜のニンニクと玉ねぎの準備もはじめる。収穫は来年。あと何回、夏を経験することができるだろう・・・AW(2020/09/17)

 

日暮れて夏の名残の虫の声