おにぎり山ふもとの畑日記(5)

 

 毎年、冬に雪が積もると、裏山がおにぎりのように見える。今年もようやく、先日の雪で、ちょっとだけ、おにぎりになった。

 

 冬以外は、あまり気がつかないけれど、たっぷり雪が積もると、ホクホクのおにぎりに。葉の落ちた落葉樹がゴマのようで、塩味だ。

 おにぎり山はどこにでもある。だいたい民家の裏山であれば、冬に「おにぎり、おにぎり」と念じながら、見つづけていると、だんだんと、おにぎりに見えてくる。 

 

 子どもの頃、母がつくってくれたおにぎりは、力いっぱい握られた球形で、中には家でつくった、すごくしょっぱい梅干しが入っていた。

 

 表面には海苔が、ご飯が見えないほどに、しっかりと巻かれていて、すこしでも隙間があいて、白いご飯がみえると、海苔を小さく切って、ふさいでくれた。砲丸投げの玉のようであった。

 

 今でも、しっかりにぎってないと、おにぎりを食べたという気がしない。しっとりとした海苔を噛み切ると、ぎっしりと詰まったご飯がまるで肉のような食感。    

                                    AW        (2020/02/10)

 

 古ごたつ なかは真っ赤な 春日かな