能古島の夢秋である。 センチメンタルな秋である。 街中でも観光スポットでも、 幸せが続くものだと信じて疑わない、 若い恋人達を横目で眺めるにつけ、 おじさんは諦めきれずに夢想するのである。 末期症状である。 秋の残像 空と海の蒼はまだ 記憶の奥に沈んでいる 三色のコスモスは 風を確かに憶えている 夢の中で 僕はまだ その島を歩いている