谷中おじさんは悩んでいた。
「けむりさん(けむり工房仙清さん)から新しくロースハム引き受けたけど、どんなに売り出そうかなぁ。おいしいのはわかってるんやけど、ハムは森の燻製屋ってイメージと違う気がするんよなぁ。まぁシフォンケーキは前から作ってくれてるけど」
(マルシェにて)
「このベーコンは脂(あぶら)がうまいから焼いたらもったいない。スープやシチューに入れるのがおススメ!」
お客さんにはベーコンをいつもの売り文句で説明していたが、ロースハムに対してその熱量を向けられずにいた。
「これではアカン!浜ちゃん、明日けむりさんところ行こう!」
心のモヤモヤを晴らすため、おじさんはけむりさんを訪ねて有田川町の清水地区へ登ることにした。
会社のある有田市から川沿いに山道を1時間ほど登り、けむりさんこと中峯さん宅にたどり着いてすぐにおじさんはあの質問をぶつけると、意外な答えが返ってきた。
「ハムもベーコンと同じ燻製。ハムは燻した後にボイルする」
「そうなんや!どっちも燻製なら気にしなくていいのか」
「おじさんは燻製とはこうあるべき、とかいうのが強すぎる。僕は作るのが好きでやってるだけなんよ」
おじさんの悩み相談もそこそこに、中峯さんは燻製屋さんになった経緯を話してくれました。
学校の先生(だから仙清(せんせい))だった中峯さんは50代半ばで退職。第二の人生は何かものづくりをしたいと思案しているとき、雑誌に載っていた燻製に興味を持ちます。思い立った中峯さんは群馬県にある食肉学校で1年間学んだ後、清水の地で燻製屋さんを始めました。
ちなみに、けむりさんの燻製は、食肉学校のときみっちり実習させたもらった武蔵野市の「マイスタームラカミ」さんで伝授されたものがベースだそうです。
少々お値段も張りますが、それでも採算がとれてないレベルだそうで、とにかくおいしいものを作りたいという思いが第一な方なのです。
この日は工房にも入れていただき、燻製の作り方を聞かせてもらいました。食材によって燻製の温度が変わること、味を染み込ませるのに2、3週間はかかること、たくさんの種類を作るため段取りが大変で、朝から晩までの一番多い作業は洗い物(なんと!)。
けむりさんの燻製、ほんといい香りなんですよね。僕(ハマダ)は「鼻を近づけて香りを吸い込んで楽しむ、そして少し食べる」をひたすら繰り返しながらいただいてます。
皆さんも是非、この香りと味を楽しんでみてください。オンラインショップではけむりさんの「山椒の村の燻製5点セット」をお買い求めいただけます。
公式オンライン通販ショップ|ファーマーズライナー紀の国 – Farmers Liner Kinokuni (fl-kinokuni.jp)