ようやく少し報われた気がした。
本当は合併症なんてないのがいい。
膿瘍の中心に管が入った。恐怖心はそれだけで落ち着いた。肝臓の貫通を免れた、、

また臓器を失うかもしれない怖さから、少し解放された。

ドレナージバッグに溜まる排出液は赤黒くどろっとしているが、体内の膿がしっかりと溜まっている。
何度も確認する。
創感染した傷口も見るが、段々と肉が埋まっていっている。

その日の夜は安心感からいつもより長く寝ることが出来た。より毎日が回復していきますように、より膿が体内から出ていきますように。

再手術から20日目

熱は36.9度、血圧、血糖値問題なし。
37度を下回った。嬉しい。
鎮痛解熱剤のカロナールを入れている影響もあるだろうけど、昨日の透視検査が上手くいったためだろうか。

今までの経過を考えると、あまり期待はしすぎない。期待しすぎて落とされてきたから、自制する。

朝から採血をする。まだすぐに炎症反応が落ち着くわけじゃないだろうけど、上手く膿を排出出来れば値も改善されるはずだ。

思えばずっとこの炎症反応に苦しめられている。最初の手術で膵液漏が分かった時も、再手術で合併症が続いてる今も。

いつからこんなに血液細胞の値にびくびくとしているのか。
以前の生活では聞いたこともなかった値だ。いかに幸せだったか分かる。

今日は朝から母が子供を連れてきてくれた。
近くの動物園に子供を連れていってくれるようだ。久々に良い報告が出来た。

自然と笑みが出た。
子供の頭を撫でながら、その雰囲気を察してか子供も嬉しそうにする。
我慢させてるんだろう。嫁さんが私の看護に行く時に泣いているらしい。
まだまだ親にべったりだ。


昼からは先生がドレナージバッグに溜まっている膿を見に来た。
透視検査で管を入れ替えた後は、1日くらい赤黒く血が混じった排出液が続く。
その排液を見ながら
「昨日は良い位置に管が入りました。まだ炎症値は高いですが、排出されていくにつれて値は健常な値に戻りますよ。なんとか入れた管がまだ細いので、少しずつ太くしていきましょう」
と話して帰った。

あと透視検査の回数を増やすようだ。
1週間に2回から3回と膿瘍に入った管の位置を変えていくとのこと。

翌日、その話の通り透視検査に呼ばれた。
管の入れ替えが行い、10ミリの管を12ミリの管に交換することになった。

入れ替えるときの圧迫感は慣れない。
何度しても嫌なもんだ。十二指腸まで25cmほど、脇腹から入れる。
細い管を太い管に変える。入っていく感覚は常に分かる。

無事に2ミリ太い管に変えることが出来た。
これでより膿が排出されるだろう。
透視検査室から出ていく時が一番気持ちが楽だ。

まだそれでも管が細いらしく、より太い管に変えたいらしい。
とりあえずは太い管に変えれて良かった。
これでもっと膿が排出されるだろう。




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