余りにも寒い日 | 空想の隠し場所

余りにも寒い日

い一日であった。

どれ位寒かったかと言えば、道行く人の多くが凍結している程であった。


凍結といってもその様態は人それぞれで、

完全に生命活動を停止し、体中に氷柱を引っ付けた若者も居れば、緩慢な動きで自転車を漕ぐおば様なども居た。


停止した街の中で私の目を引いたのは、公園で凍結したお姉さまであった。


虚空を見つめ、まるで観葉植物が如き凍結を見せる噴水に腰掛ける姿は神々しさすら漂わせていた。

お姉さまこと女神の周囲には、スロウモウな人々が群がっていた。乞い、すがり、まとわり付く様は妙に滑稽であった。



私はといえば、生来高血圧で、血液が元気一杯なので案外平気であった。

恐らく近々この町は高血圧自治区になるだろうな、などと考えた。


暫く歩くと、風が吹いた。


氷像が一つ倒れ、崩壊した。


また、風が吹いた。


氷像だったものは塵芥となり、霧散した。

愉快で悲しくなった。


ふと。


件の公園の方で、「ああ」とも「おお」とも取れる低いざわめきが上がった。

上がったが、見に行こうとは思わなかった。