📘何処で思う?/ふぁんそんテクニックを深める用語・2
(一)
〔没頭〕と同じように、〔意識〕と〔感覚〕の違いを理解する上でヒントになった漢字がありました。
それは〔思〕という漢字です。
この〔思〕という漢字の解字を調べてみますと、〔田〕と〔心〕からできています。
下の〔心〕は心臓に宿された〔神(精神)〕のことで、ハートとか感情を表している訳ですが、問題は〔田〕の意味です。
丹田という場合の田は、丹を育てる田んぼ、即ち、目が育ってくるところという意味で、正に〔田んぼ〕や〔田畑〕を表しているんですが、〔思〕に用いられている〔田〕は、そんな意味ではありませんでした。
〔田〕は、○の中に+を書いた字で、頭蓋骨を上から見た時の象形文字だったんですね。
つまり、〔思〕の〔田〕は、頭、即ち、頭脳(脳)を表していたんです。
つまり、〔思〕という字は〔脳〕と〔心〕から出来た漢字だったという訳です。
(二)
そう言えば、私たちが〔思う〕という言葉を使う場合、〔脳からの思い〕と〔心からの思い〕の二つ共に「私は……と思います」というように使っているんですね。
僕が時々用いる言葉ですが、
「気功は禅の一種だと思います」
という場合、それは〔脳からの思い〕であって、
「僕は、気功は禅の一種だと考えます(考えています)」
という意味で、感情ではないんですよね。
それに対し、
「あの人の病気や痛みは辛いだろうなぁと思います」
という場合、それは心や感情の言葉ですから、
「辛いだろうなぁと感じます」
と言い換えられますよね。
「美しいと思いました」とか「易しそうな人だなぁと思いました」などという場合も同じで、「感じました」とは言い換えられても、「考えました」とはなりませんよね。
このように「思う(思います)」という時、それは「考えます(考えています)」と「感じます」というように〔脳からの思い〕と〔心からの思い〕の二つのうちのどちらかを意味しているんですね。
〔思〕のうちの〔田〕か〔心〕のどちらかの働きを意味している訳なんですね。
(三)
さて、〔意識〕と〔意念〕の違いが、〔意識の集中〕か〔体感への没頭〕かという違いに現れていたように、この〔思〕も、〔脳の働き〕と〔心の働き〕の二つの働きに分けることが出来るんですね。
そして、私たち〔ふぁんそんテクニック〕に取り組む者は、脳の働きである〔田〕、即ち、意識を取り外した〔心〕での思い、即ち、気持ち、感覚、体感に没頭していくという脳の使い方を身につけていくことが必要なんですよね。
それが、脳、即ち、意識の働きである〔雑念〕を無くした坐禅、瞑想の境地を会得する技なんですね。
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