2024年2月のMVP | 銀玉戦士のアトリエ

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☆2024年2月 月間MVP☆

 

👑🇪🇸イリア・トプリア🇬🇪(UFCフェザー級王者)

 

【UFC298 VSアレクサンダー・ヴォルカノフスキー戦 dif2RKO勝利】

 

 

プロMMA戦績無敗、UFCでもデビューから6連勝でフェザー級タイトルマッチの切符を掴んだ、ドイツ生まれ、スペイン国籍のイリア・トプリア。

UFCフェザー級で4年以上に渡りベルトを保持している絶対王者、アレクサンダー・ヴォルカノフスキーに挑む。

 

 

1R、両者オーソドックスに構える。

王者ヴォルカノフスキーは左にサークリングして距離を取り、左ジャブ、クイック左ミドル、左インローを放つ。

前足に重心を置いたクラウチングスタイルの挑戦者トプリア。踏み込んでワンツーを放つも、ヴォルカノフスキーはバックステップで回避する。

トプリアが前に出ようとしたところで、左ミドルをヒットさせるヴォルカノフスキー。トプリアも重い右ローキックをヒットさせ、ヴォルカノフスキーの身体が一瞬流れる。

前手のジャブと前足のクイックの蹴りを放つ事で、距離のストロークを長く取っているヴォルカノフスキー。

インファイトボクシングが得意なトプリアとしては懐に入りたいところだが、踏み込んでコンビネーションを打つとヴォルカノフスキーにバックステップでスカされてしまう。

逆にトプリアが踏み込んできたところへ、左フックのカウンターを合わせたヴォルカノフスキー。組んでは膝蹴りをヒットさせて再びスタンドへ。

1Rは王者ヴォルカノフスキーが取ったラウンドだ。

 

2Rも同様に、左ジャブと左ミドル、左右のローキックで中間距離をキープしていくヴォルカノフスキー。

トプリアは踏み込みのフェイントを入れつつプレッシャーを掛け、ヴォルカノフスキーが下がったところへ左ボディジャブを入れる。

右ストレートから左を放ち、距離を詰めてコンビネーションを放ってゆくトプリア。

ヴォルカノフスキーはクリンチで組み、膝を入れて再び離れる。

鋭い右カーフキックをヒットさせるトプリア。ヴォルカノフスキーも左ジャブを入れていくが、トプリアがじわじわとプレッシャーを掛けつつ、踏み込みのフェイントを入れると距離を取るために少し下がるシーンが見受けられる。

ラウンド終盤、右クロスをヒットさせたトプリア。ケージに近い位置に背負わされたヴォルカノフスキーは左ジャブを放つが、トプリアはヘッドスリップで避けつつも鋭く踏み込んで距離を詰め、左ボディのフェイントから右ボディ、ヴォルカノフスキーがスウェーバックで顔を仰け反ったところへ重心移動からのワンツーを的確にヒットさせると、ヴォルカノフスキーが反射的に前手を伸ばして組もうとしたところへ、側面から右フックを顎に叩き込み、トドメの左フックでダウンを奪ってレフェリーストップ。

まさに、電光石火のカウンターコンビネーションで絶対王者ヴォルカノフスキーをKOしたイリア・トプリアが、MMAキャリア無敗の戦績でUFCフェザー級新王者となった。

 

 

 

ドイツでジョージア人との両親の間に生まれたトプリアは、幼少期からグレコローマンレスリングを習い、15歳の時にスペインへ移住。そこでMMAのトレーニングを積み、18歳でプロデビューを果たす。

ブラジリアン柔術黒帯の腕前を生かし、BRAVE CFやCage Warriors等のネイションMMA団体で数々の一本勝ちを納めたトプリア。

その実績を買われ2020年10月にUFCデビューし、UFC初勝利を上げる。

同年12月に行われたデーモン・ジャクソン戦で、トプリアは初回からボディ打ちのコンビネーション、下がりながらのアッパーや左右のフックといった、グラップラーらしからぬ巧みなボクシングテクニックで相手を圧倒すると、最後は威力の衝撃が画面越しから伝わってくるような強烈な左ボディブローを効かせ、右クロスでジャクソンをKOした。

2021年7月には、元柔術世界王者のライアン・ホールに対し、バックスピンキックの空振りからホールが引き込みのボトムポジションになったところへ、冷静に上からパウンドを打ち下ろし、ホールをKOで仕留めた。

まさに、トプリアの拳の破壊力と、相手が柔術世界王者でも臆する事なくパウンドが打てるグラウンド技術の自信の高さが窺い知れた試合だったと言えるだろう。

そして今回のタイトルマッチで絶対王者ヴォルカノフスキーを自慢のコンビネーションでもってKOで仕留め、UFCフェザー級新王者に戴冠した。

 

レスリング仕込みの体幹の強さと、高いボクシングテクニックを誇り、立ち技選手顔負けのウェイトの乗ったハードパンチを武器に、鋭いカウンターと素早く的確なコンビネーションで、あらゆる対戦相手をKOする。

UFCでは4つのKO勝ちを納めており、いかにもインファイトのボクシングを得意としているストライカーといった風に見えるのだが、キャリア15戦で8つの一本勝ちがある事を示している通り、彼の本質はあくまでもブラジリアン柔術だ。

レスリング仕込みの素早いタックルで自らテイクダウンを奪い、そこから一本勝ちを納めるのは勿論の事、トプリアとの打撃戦を嫌がってタックルを仕掛けてきた相手に対してカウンターギロチンをセットし、一本勝ちを決めた試合も何度か見られている。

高いグラップリング能力を盾にして相手にプレッシャーを掛け、ノックアウトパンチとブラジリアン柔術の両輪で、立っても寝てもフィニッシュで試合を終わらせるという、まさに理に叶った超攻撃型MMAスタイルだ。

その反面、以前は危ない被弾も見受けられる場面もあったが、近年は左リードジャブを有効に使って試合を組み立てていく事で、攻め所に緩急が付けられるようになり、落ち着いた試合運びもこなせるようになっていった。

まさにスペインの闘牛の如き攻撃力と、マタドールのような洗練された試合運びを兼ね備えた新王者は、KOと一本の山を築いて絶対政権を目指すべく突き進む。