RIZIN45 感想 | 銀玉戦士のアトリエ

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一応UFC、MMA、海外キックを語るブログ。ゆるーく家庭菜園や食べ物エントリーもあります。

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大晦日RIZINの試合動画がYouTubeで無料アップロードされていたので、RIZINにはお金を1円でも出したくないRIZINぼんやり層で、PPVなんぞ買っていないワタクシが、重い腰を上げながらも主要な試合をとりあえず観ておきました。

文句はタダ見で違法視聴している系の「RIZINファン」の方々に言って下さい。

せめて自分の好きな団体と好きな選手が出ている大会に関しては、サブスク視聴でも構わないので、お金を落としましょう。

 

今回は当ブログとしては初となるRIZINの真面目な試合感想記事です。メインとセミ、それとヒラモトVSヤーマンの3試合の感想です。

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

 

⚪️🇯🇵平本蓮VS YA-MAN🇯🇵⚫️(3R判定)※フェザー級

 

 

 

この試合を観ていたRIZINファンの間では、両者の勝負に賭ける気持ちが伝わってきて素晴らしい試合だった、と称賛する声が多かったですが、個人的な感想としましてはヒラモトの問題点がかなり浮き彫りになっていて、今後のMMAキャリアを形成する上での不安を大きく感じた試合でした。

特に指摘すべき所が、クリンチの展開になった時にヤーマンにロープ際に押し込まれて背中を付く時間が長かった点。本来であるならばMMA歴では先輩格にあたる平本が逆に相手をロープに押し付けて試合の主導権を握っていくべきなのですが、体位を入れ替える事ができず逆にヤーマンに体位を入れ替えられてしまったり、クリンチ際に肘やフックを入れられる場面がありました。

またナチュラルなスタンドでの打撃戦にしても、ヤーマンのクリンチ押し付けによる「組」への意識が強かったせいか、頭を振ったりといったディフェンスもままならず、危ない被弾も何度かありました。

これがキックボクシングの試合だったら平本はここまでディフェンスがザルにはなっていなかったでしょうし、MMAルールだからこその勝手の違いもあったとは思いますが、もしクリンチの展開においても平本が優位性を発揮していたら、終始下がらされてヤーマンのパンチを多く被弾する事も恐らく無かったでしょう。

とはいえ、平本はグラウンドの展開になると優位に立ち、スタンドでも下がりながらもストレート系の有効なパンチをヤーマン以上にヒットさせていたので勝ったようなものですが、もし相手がMMA2戦目のヤーマンではなく、ボクシング+レスリング型で、相手をロープ(ケージ)際へと追い詰めて蜂の巣にするプレッシャーが強い本格派の北米MMAスタイル型のファイターが相手だったらどうなっていたか。

ヤーマン並に接近戦で打ち合えて危険な打撃を持っている上に、TDも決めてグラウンド&パウンドで削る事も出来るわけですから、今のMMAファイター平本にとって、打撃+タックルの2択でスタンドのディフェンスの意識を分散させる北米MMAスタイル型のファイターは、まさに相性最悪と言えるでしょう。

 

そういえばヒラモトって自分の中では未だにK-1甲子園時代でちゃんえなと交際していたイメージが強いのですが、もう25歳になっていたんですね。

今年2月にUFCフェザー級タイトルマッチに挑戦する🇪🇸イリア・トプリアと、UFCバンタム級7位の🇨🇳ソン・ヤドンが現在26歳、UFCライト級4位の🇦🇲アーマン・ツァルキアンが現在27歳。

ほぼ同年代の彼らとヒラモトを比較するのは流石に可哀想ではあるのですが、それでも「UFC王者になる」と豪語したのであれば、こんなレベルの試合でやっとこさ勝ってチヤホヤされていてはダメでしょう。いつまでも若手のようで実はそうは言っていられないギリギリの年齢に差し掛かってしまっているわけで、もううかうかしていられない。

 

もっとも、朝倉ミクルと試合して盛り上げられれば本人の中ではそれで満足なのかもしれませんけどね。

 

 

 

 

⚪️👑🇯🇵朝倉海VSファン・アーチュレッタ🇺🇸⚫️(2RTKO)※RIZINバンタム級タイトルマッチ

 

 

 

王者🇺🇸ファン・アーチュレッタVS挑戦者🇯🇵朝倉海の試合は、2Rに朝倉がカウンターの膝でダウンを奪い、パウンド連打でTKO勝利を納め、新王者となりました。

朝倉はTDとグラウンドの対処が良かったです。初回にアーチュレッタにギロチンを取られた時もサイドポジションを取って外し、トップキープしていましたし、立ち上がり際のスプロールによるTDDや、ロープ際でも腰が重くアーチュレッタにTDされないように防いでいました。

アーチュレッタも計量失敗によるペナルティの影響もあり、前のめりになってパンチを振ってきてはタックルを仕掛けていきましたが、朝倉もバックステップで下がりつつもしっかりとカウンターをヒットさせ、スタンドの攻防における主導権を握っていました。

その辺りの冷静さと、組みへの対応能力の向上が、2Rの相手のタックルに合わせた膝蹴りでのカウンターの一撃に繋がったのでしょう。

 

試合後にはUFC進出とフライ級で戦う事も示唆していた朝倉。

UFC進出に当たって懸念すべき点を挙げるとするならば、近年はリングでの試合が多かったが故に、ケージでのMMAの試合にちゃんと適応出来るのかという事と、朝倉の最大の武器は近距離での打撃・カウンターであるが故に、バンタム級より更にスピードが求められるフライ級での試合&リングよりも可動域が広いオクタゴンにおいて、得意の打撃が相手に当たりずらくなってくるという点です。

朝倉はどっしりと下半身を構えてパンチを打ち込む分、一発の威力はあるのですが、反面打ち終わりに身体が居着いてしまい、相手にカウンタータックルを狙われる可能性も高くなります。

VS堀口第2戦でも露呈した、重心が下がったところへのカーフキックへの対応も問われるでしょう。

特にUFCフライ級は🇬🇧ムハンマド・モカエフ、🇷🇺タギール・ウランべコフ、🇺🇸ティム・エリオットと、何気にランカークラスにグラウンド巧者が多い階級でもあるので、ある意味ではバンタム級よりも茨の階級となるかもしれません。

マッチメイク次第ではスタイルがツボにハマって連勝してランキング入りもあるでしょうが、その逆もありえるかも分かりませんし、その辺りは挑戦してみないと分かりません。

いずれにしろ年齢的にもUFC挑戦はリミットギリギリと言えるでしょう。

 

 

 

 

⚪️👑🇯🇵堀口恭司VS神龍誠🇯🇵⚫️(2R一本・リアネイキドチョーク)※RIZINフライ級王座決定戦

 

 

 

初回に神龍がタックルを仕掛けて、堀口が一回スプロールで切ったところへ神龍が強引にロープ際へと押し込んでグラウンドの展開に持ち込んだわけですが、もし広いオクタゴンでの試合だったら堀口が完璧に切っていたと思います。

 

グラウンドでは堀口相手にトップポジションを取り、立ち上がり際にもRNCを仕掛けていくなど、ファンの間では善戦したと評価された神龍。

しかしながらそこから「打撃(パウンド含め)で削って明確にダメージを与える」という、フィニッシュするに当たっての重要なシークエンスには至らず、逆に堀口は2R初回での右ストレートのフェイントからの右ハイキック、立ち上がり際の左右のパンチと、スタンドにおいて明確に効かせる打撃をヒットさせ、外掛けで2度のTDを決め、最後はバックマウントからのパウンド→RNCで試合を決める事が出来ました。

打撃技術・総合力の差が勝敗を分けた試合で、神龍は善戦したものの終わってみればまだ両者の実力には差があるんだなと思えた試合でした。

 

フライ級に階級を下げた堀口恭司はパワーレスが懸念されましたが、去年のVS扇久保戦は完璧と言っていい試合運びで完勝していて、これはUFCで戦ってもトップ5入りする実力はあるだろうな、と思いました。

問題は加齢による影響と、今回の試合を観ていても思いましたが近い距離になった時にふっと気を抜いて被弾するような場面があった事で、やはり反応速度の衰えや膝の手術のよる影響はあるんじゃないかと思っております。

今の堀口と平良達郎が試合したら堀口が勝つと思いますが、1年後になると分かりません。

 

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

実はインスタで筋金入りのRIZINファンの方を約1名ほどフォローしているのですが、大会が始まる前に「大晦日のマッチメイクが酷い、今のRIZINはPRIDE武士道以下だ、もうファン辞めるかも」という投稿をしていて驚きました。

RIZIN旗揚げ時に、RIZINにはPRIDEを超えるような団体になって欲しい、いずれUFCと肩を並べるような団体に成長して欲しい、とバラ🌹ちゃん色のお花畑🌺な未来予想図を語っていたPRIDEおじさん達がTwitterに何人か居て、自分は「は❓❓」と非常に冷めた目線で彼らのツイートを眺めていたわけですが、そういうPRIDEおじさん勢のファンからしてみれば、ブレイキンダウン勢とそれに群がる若いファン達に媚びたRIZINの一部のマッチメイクを見て、思うところは多分にあるでしょう。

 

RIZINも営利団体ですし、現状ブレイキンダウンが勢いがあるので、現代の若いファンのニーズに即したマッチメイクを提供せざるを得ないというのは、ある意味仕方がない部分ではあります。

自分も旧K-1ファンで、新生K-1にはかつての旧K-1のような世界観を復活させて欲しいという願いもあったりするのですが、それができないという台所事情と既存のファンのニーズも理解できますし、格闘技の地上波ゴールデン放送復活が絶望的となった今、20年も昔の熱狂と世界観を今の時代に完全再現させる事は難しいわけです。

 

それでも大晦日の大会ではメインとセミの試合で、堀口恭司と朝倉海という勝つべき選手がきっちりとフィニッシュで勝ってくれて、試合終了後の堀口恭司のプロポーズによって大団円の結末に終わったという事もあって、大会前に不満を口にしていたファンの方も結局はRIZINワールドに心を絆されてしまっていました。

これこそが榊原黒魔術と、佐藤大輔の煽りVの力の結晶なのでしょうし、だからこそRIZINという団体が様々な問題を抱えながらも、多くのファンを魅了し続けている要因の一つではあるのですが、ワタシのように特に日本格闘技界に対して意地悪に揚げ足を取りたがるRIZINぼんやり勢や、数十年来の筋金入りのMMAファンや、一部選手の側からしてみれば、今回の平本蓮VSヤーマンのような試合で、主に若いファンからの賛美の意見が多い風潮に対して、居心地の悪さというかガラパゴスMMAゆえのヌルさというものを感じているかと思います。

 

とはいえ、RIZINが日本MMA界のレベルの底上げに貢献しているのは事実のようで、特に近年成長を感じたのは昨年日本人としてRIZINのベルトを獲った朝倉海と鈴木千裕という二人の選手です。

打撃が特に重要視されている世界のMMA界の流れにあって、それとは対局に、「打低極高」の傾向ゆえに世界で結果を残す事が出来なかった日本MMA界において、打撃を最も得意としている両者がRIZINのチャンピオンになったというのは、日本MMA界の時計の針を進めた快挙なんじゃないかと思っております。

 

問題はそれが世界の舞台で果たして通用出来るのか、といった点で、海外におけるケージファイトでの適応だったり、日本では当てられないような苦手なファイトスタイルの相手との試合だったりで、彼らの本当の評価が問われてくるんだと思います。

 

やはり、選手の側がUFCやPFLといった北米メジャーを目指すのであればそれこそ行くべきタイミングですぐに行くべきだと思います。

もたもたしてると選手としての全盛期があっという間に過ぎていってしまいます。

 

 

というわけで珍しくRIZINについて茶化す事なく真面目にレビューしましたが、今後もRIZINに関しては遠く離れた所から見守りつつ、気が向いたらYoutube公式にアップロードされた無料動画を視聴した上でレビューしていきますので、RIZINファンの方々はくれぐれも期待せずにのんびりと待っていて下さい。