UFC296 感想 | 銀玉戦士のアトリエ

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年内最後の大会となりましたUFC296の感想です。

 

メインイベントは現UFCウェルター級王者🇬🇧レオン・エドワーズに、トラッシュトーク王でドナルド・トランプ信者の🇺🇸コルビー・コヴィントンが挑むUFCウェルター級タイトルマッチという事で、プレスカンファレンスではコヴィントンの不躾な発言に激怒した王者エドワーズがペットボトルを投げ付けたりと、久々に火薬の匂いが漂ってくる会見となりました。

 

試合前の乱闘寸劇が話題のブレイキンダウンといい、目立ちたいがためにやっているトラッシュトーク絡みの記者会見のほうが盛り上がるという構図は日本も海外も変わらないわけですが、UFCウェルター級ランキング3位のコヴィントンのような実力でも世界トップレベルの選手がトラッシュトークの仕掛け人としてけしかける海外に対し、日本では素人ユーチューバーとか元半グレみたいな中途半端な実力の格闘家(?)ばかりがトラッシュトークに勤しんで、逆に真面目にやっている格闘家のほとんどが注目されないという捻れた構図になってしまっています。

 

 

 

 

プロレスでもベビーフェイスキャラとヒールキャラが居るように、ヒールの存在がある事で正義の優等生的なベビーフェイスキャラの魅力も引き立つという作用があります。なのでヒールキャラに対しても格闘技を汚すな‼️排除しろ‼️というのではなく、試合を盛り上げるために上手く利用していきたいところですが、日本のヒール格闘家は先程も言った通り実力がまだまだ追い付いていないというのが課題ではありますね。

 

まぁヒールキャラをやり通すのにも近年の高度化した格闘技においては試合本番においての精神的なリスクが伴いますし、UFCも多国籍化が進んでいるので、あんまり混み入ったトラッシュトークを仕掛けるとそれこそガチの国際問題になりかねないので、UFCにおいての過激なまでに悪童らしい悪童キャラの選手はコナー・マクレガーやコルビー・コヴィントン辺りの世代が最後になるんじゃないかと思っています。

ヒールが居なくなった格闘技が味気ないと思う人も居るでしょうけど、他のプロスポーツみたく分かりやすいヒールが居なくても盛り上がれる業界こそが一番の理想なのかもな、と思いつつ、肝心の試合についての感想を書いていきましょう。

 

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

 

 

⚪️🇷🇺タギール・ウランべコフVSコディ・ダーデン🇺🇸⚫️(2R一本・リアネイキドチョーク)※フライ級

 

 

1R、打ち下ろし気味に入った右ストレートでダウンを奪ったウランべコフ。直後に三角やギロチンを仕掛けていきますがダーデンはこれを外すと、スイープで上を取るスクランブルの展開。

スタンドに戻るとダーデンも左右のパンチをヒットさせるなど反撃を見せますが、ラウンド終盤にウランべコフが投げでTDに成功、RNCを狙っていきますがダーデンが外したところでラウンドが終わります。

 

2R、両者やや疲れが見える中でダーデンは必殺の右に活路を見い出し、ケージに押し付けていきますが、ウランべコフが背負い投げ的な技ありの投げでTDに成功、ダーデンが立ち上がった後もバックに回って四の字フックでスタンディングのRNCを狙っていきます。

ダーデンは必死にディフェンスするものの、ウランべコフのチョークが強く入りグラウンドに倒れ込んだところでタップアウト。

 

ダーデンも極め掛けられる寸前のピンチでチョークを外す場面を何度か見せたりと、粘りに粘りましたが、最終的にはタギール・ウランべコフが一本勝ち。バックコントロールの堅さとサンボ仕込みの投げは、流石はダゲスタン共和国出身ファイターで、ハビブ・ヌルマゴメドフと同門のEAGLES MMA所属と言ったところです。この選手はフライ級ランキング12位の選手で、平良達郎の次の相手はこのウランべコフか、先週の試合で一本勝ちを決めたティム・エリオットになるかと思います。

いずれもグラウンドに定評のある選手で、平良の真価が問われる試合になるかと思います。

 

 

 

⚪️🇺🇸コディ・ガーブラントVSブライアン・ケラハー🇺🇸⚫️(1RKO)※バンタム級

 

 

 

 

2016年、あのドミニク・クルーズ相手に驚異の打撃センスやノーガードディフェンスを披露した衝撃の王座戴冠からはや7年。

王座陥落からは負けが込んでしまい、ノーランカーとなってしまった32歳のコディ・ガーブラントが再起を賭けて、ブライアン・ケラハーに挑みます。

 

1R、中間距離を取り、ケラハーが頭を下げて懐に入ってきたところへ左右フックのカウンターをヒットさせるガーブラント。

ケラハーも中間距離で強烈な右のカーフキックをヒットさせつつ、ガーブラントをケージに押し込みTDを狙おうとしますが、ガーブラントはスルリと抜けてスタンドに戻ります。

前進してのコンビネーションの連打をヒットさせるガーブラント。続いて右フックのカウンターを効かせてゆくと、最後も左右のフックでダウンを奪ったところでレフェリーストップ。

 

コディ・ガーブラントが久々の快勝とも言える1RKO勝利を納めました‼️

ちょっとカーフキックを効かされる場面もありましたが、それでも全盛期を思い起こさせる切れ味鋭い左右フックのカウンターは健在でした。

ガーブラントはこれで2連勝。次戦の相手として元フライ級王者デイブソン・フィゲレーロとの対戦をアピールしていました。

 

 

 

 

⚪️🇺🇸ジョシュ・エメットVSブライス・ミッチェル🇺🇸⚫️(1RKO)※フェザー級

 

 

右の強打を打ち込みたいエメット、それを掻い潜ってTDを決めたいミッチェルによるスタンドでの静かな駆け引きが行われた中、その静寂を打ち破るエメットの右のオーバーハンドフックの一撃が炸裂しミッチェルは横に倒れながら失神‼️‼️‼️‼️

 

ジョシュ・エメットがらしさを見せた1RKO勝利を決めました‼️‼️‼️

この選手はツルツル頭といい、フック系主体のパンチの打ち方といい、K-1MAXに出ていたマイク・ザンビディスを彷彿させるといつも思っております‼️

K-1最高😝👑👑👑‼️‼️‼️‼️‼️‼️

 

 

 

⚪️🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿パディ・ピンブレットVSトニー・ファーガソン🇺🇸⚫️(3R判定)※ライト級

 

 

 

世代交代感が漂うマッチアップその1。

1Rは両者スタンドの攻防。左右ストレート系のパンチ、カーフキックを放つファーガソンに対し、ピンブレットはタイでのムエタイ修行で得た重い左ミドル、右カーフキックを蹴り込み、荒っぽいながらもワンツーや右ストレートをヒットさせてファーガソンをぐらつかせ、ラウンド終盤には右ストレートを効かせてからのラッシュの飛び膝→左右フックでダウンを奪い、グラウンド&パウンドで攻め立てて初回を取ります。

 

2R、蹴った後にファーガソンがバランスを崩すと両者グラウンドへ。

トップポジションでケージ際で押さえ込み、上から強烈なパウンドを打ち落とすピンブレットに対し、ファーガソンも下から三角締めを狙っていきますが、同じく柔術黒帯のピンブレットはそれをディフェンスしたところで長時間のグラウンドコントロールに成功、このラウンドも取ります。

 

3R、両者疲れが見える中、ファーガソンは右ボディストレートをコツコツとヒットさせ、ピンブレットのボディを集中的に攻めていきますが、ピンブレットもタックルからTDに成功。

そのままトップキープ+パウンドでコントロールし、ファーガソン捨て身のギロチンもディフェンスしたところでこのラウンドも取って試合終了。

 

パディ・ピンブレットが、レジェンドファイターのトニー・ファーガソンに完勝を納めました‼️‼️‼️

 

ピンブレットさんは相変わらずパンチを打つ時に顎が上がっていたりと、ボクシングに関しては勢い任せな部分はありますが、それでも当たれば倒れる拳を持っている選手で、ムエタイ修行で会得した重い左ミドルやカーフキックと共に、ファーガソンをスタンドで苦しめ、ダウンを奪いました。

3Rはスタミナが切れてしまってピンチに陥る場面もありましたが、そこでTDを奪ってしっかりとグラウンドコントロールしたのも良かったと思います。打撃が重くなっていましたし、フィジカル的に強化されていってるなという印象です。何だかんだ言われていますが相応の地力の強さはあると思いますし、課題の部分も改善していければランカー戦線においても活躍できるポテンシャルは秘めています。

 

逆にファーガソンはUFC7連敗。一時期はハビブVSファーガソンのライト級最強対決を熱望されていた時期もありましたが、引退あるいはリリース止む無しといった状況に追い込まれてしまいました。

年齢的にも引退して貰って静かに余生を過ごしていって欲しいものですが、性格的にボロボロになっても現役を続けていそうなタイプだからね。。。

 

 

 

 

 

⚪️🇰🇿シャフカト・ラクモノフVSスティーブン・トンプソン🇺🇸⚫️(2R一本・リアネイキドチョーク)※ウェルター級

 

 

 

世代交代感が漂うマッチアップその2。

1R、サウスポーに構えワイドスタンスのトンプソンに対し、ラクモノフはじわじわとプレッシャーを掛けてトンプソンをケージへと押し付けます。

トンプソンはTDされまいと金網際でディフェンスしますが、ラクモノフはクリンチ打撃+金網押し付けでじわじわと相手の体力を削りつつ、初回ラウンドを取ります。

 

2R、再びサウスポーに構えるトンプソンは左ミドルをヒットさせ、右のサイドキックでラクモノフを突き放そうとしますが、再びケージ際に追い詰めTDされまいと堪えるトンプソンに対し、身体に乗り上げたところで投げてTDに成功すると、そこからグラウンド&パウンドでコントロールしていきます。

1度目のRNCは何とか外すものの、ラクモノフがトップポジションから再びさりげなくバックに回ると、ライディング(馬乗り)の状態からRNCを仕掛け、トンプソンはタップアウト。

 

ランキング6位のカザフスタン共和国出身、シャフカト・ラクモノフが一本勝ちを納め、自身の無敗記録を更新しました‼️‼️‼️

 

 

 

 

⚪️👑🇧🇷アレッシャンドリ・パントゥージャVSブランドン・ロイヴァル🇺🇸⚫️(5R判定)※UFCフライ級タイトルマッチ

 

 

 

パントゥージャはオーソドックス、ロイヴァルはサウスポー構え。

ワイドスタンスに構え、前手を出して牽制するロイヴァルに対し、初回から右カーフ、右ミドルをヒットさせ、距離を詰めてはパンチを打ってからTDを狙ってゆく王者パントゥージャ。

右ミドルをヒットさせロイヴァルが苦悶表情を浮かべると、パントゥージャはボディへの膝蹴りからTDに成功し、トップキープ+パウンドで第1ラウンドを取ります。

 

2Rも同様に目まぐるしい攻防が繰り広げられますが、全体の印象としてはスタンド、グラウンドで試合を支配してゆくパントゥージャ。

3Rも初回にTDに成功し、バックに回ってはRNCを仕掛けていきますが、ロイヴァルがこれを外してスイープで上を取ってスタンドに戻ると、パントゥージャは攻め疲れから失速し逆にロイヴァルのパンチ、顔面への膝蹴りを貰ってしまいます。

 

4R、ロイヴァルが逆転を狙う中でパントゥージャがTDに成功すると、タイトなバックコントロールでロイヴァルのケージを蹴っての対応にも反応し、しっかりとコントロールし続けていきますが、ラウンド終盤にロイヴァルが逆にトップポジションを取ると、パウンドを打ちつつパントゥージャの足関節もディフェンスしていきます。

 

5R、スタンドでサウスポーに構えるパントゥージャに対し、ロイヴァルの左右のストレートが次々と顔面を捉えていきます。

パンチを貰うも打ち返してゆくパントゥージャですが疲労の色は濃く、ピンチを迎えますが中盤にTDに成功すると、トップキープ+パウンドでグラウンドコントロールに成功、終盤はパスガードでマウントポジションを取ってポイントを取り返したところで試合終了。

 

判定は3者が王者パントゥージャを支持し、初防衛に成功しました‼️‼️‼️

 

UFCフライ級タイトルマッチらしい、打極投全ての展開において目まぐるしい攻防が繰り広げられた試合でした👏👏👏👏‼️

中盤までは打撃、グラウンド両方でパントゥージャが試合を支配していた展開でしたが、ロイヴァルも何とか凌ぎ切りながらもガス欠を誘い、反撃に転じていったタフネスには感服させられました。

最終5Rの打ち合いはまさに王者危うし‼️といった場面ではありましたが、パントゥージャがTDに成功してからはパスガードでマウントポジションを取るなど、スタンドではヘロヘロだったのに何でグラウンドではこんなに動けるんだよ⁉️って感じでしっかりとコントロールしていったのは良かったと思います。

 

アグレッシブなファイトで初防衛に成功した王者パントゥージャ。

次回の防衛戦も楽しみです。

 

 

 

 

 

 

⚪️🇬🇧レオン・エドワーズVSコルビー・コヴィントン🇺🇸⚫️(5R判定)※UFCウェルター級タイトルマッチ

 

 

プレスカンファレンスでは一悶着あった両者ですが、1、2Rは比較的手数の少ないスタンドの攻防。

しかしながら王者エドワーズがしっかりとプレッシャーを掛けつつ要所では強烈な左ローキックを腿裏にヒットさせ、左前蹴りや右フック、左ストレートをヒットさせつつ、コヴィントンの踏み込んでのパンチやタックルをバックステップで難無くかわし、自分の間合いを掌握しつつもコヴィントンをスタンド塩戦法で蛇の生殺しのような状態にさせていきます。

 

3Rになるとコヴィントンが遂にTDに成功します。しかしエドワーズもしっかりと対処して立ち上がると、逆にダブルレッグでコヴィントンにTDを奪うという展開。エドワーズはスタンドではしっかりと手綱を握りつつも、相手の土俵であるグラウンドでも勝負出来るという意志を見せていきます。

 

4R、タックルに行ったコヴィントンに対し、ケージを背負いながらニンジャチョークで締め上げるエドワーズ。

かなり深く入っていましたがコヴィントンが回転しながら外してゆくと、エドワーズは際に左ハイキックをヒットさせ、スタンドでは強烈なローキックでダメージを与え踏み込ませないようにします。

 

5R、コヴィントンがシングルレッグからTDを奪いますが、エドワーズが直ぐに立ち上がると、逆にTDを奪い返し、バックマウントから三角締め→三角腕十字で一本を狙いますが、コヴィントンもはこれを外してトップポジションへ。

ポイントを取られているコヴィントンはフィニッシュしたいところですがトップキープからの展開が作れず、判定へ。

 

判定は3者が王者エドワーズを支持し、2度目の王座防衛に成功しました。

 

相変わらずメイウェザー的な手堅い試合運びをするエドワーズさんですが、それによってグラウンドの攻防でも戦えるだけのスタミナと余力を残す事に成功していました。

この選手は打撃フォームも綺麗だし立ち姿もブレないんですよね。

4Rのニンジャチョークや、5Rの三角腕十字を仕掛けるシーンでは、相手の土俵であるグラウンドの展開で一本決めてやろうという気の強さが垣間見えていましたが、コヴィントンもそれをさせませんでした。

 

 

 

 

 

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

2023年のUFCがこれで終了しました。

今年は1月のUFC283で行われた🇺🇸ジャマール・ヒルVS🇧🇷グローバー・テイシェイラによるUFCライトヘビー級タイトルマッチ、2月のUFC284で行われた👑🇷🇺イスラム・マカチェフVS👑🇦🇺アレクサンダー・ヴォルカノフスキーと、激闘続きのタイトルマッチから始まり、4月に行われたUFC287では🇳🇬イスラエル・アデサンヤが🇧🇷アレックス・ペレイラを2RKOで下してのミドル級王座奪還、7月に行われたUFC291では🇺🇸ジャスティン・ゲイジーが🇺🇸ダスティン・ポイエーを2RハイキックでのKOで下し、8月に行われたUFC292では👑🇺🇸ショーン・オマリーが🇯🇲アルジャメイン・スターリングを2Rカウンターの右ストレートでKOしたりと、10月に行われたUFC294での👑🇷🇺イスラム・マカチェフVS👑🇦🇺アレクサンダー・ヴォルカノフスキーの再戦では、前回の試合とは打って変わってマカチェフがヴォルカノフスキーを1Rハイキックで沈めたりと、衝撃的なKO決着も多いシーズンとなり、コロナ明けで世界のあらゆる国々で行われた各会場も盛り上がりを見せました。

 

やはり今年も世界最高峰の人気とMMAの競技性を兼ね備えたUFCが、世界のMMA市場においては独走で一人勝ちだったな、というのが世界における格闘技界の流れだったと思います。

そういう流れの中でも、ACAやBRAVE CFやCAGE WARRIORSのようなリージョンに根付いたMMA団体も、しっかりと存在価値を示していってると感じます。

ただ今年はコナー・マクレガーが試合をしなかったという事もあり、UFCにおいてPPVが100万件以上売り上げた大会というのはありませんでした。

UFCもマクレガーやロンダ・ラウジーらが全盛期だった2010年代の躍動と比較すると勢いがやや鈍ってきているのかな❓という印象です。

これはUFCに限らずとも、いわゆる「MMAブーム」みたいなものは終わりを迎えているんだと思うのですが、だからと言って急激に廃れるというわけではなくて、これからは他のプロスポーツと同様に、スポーツコンテンツとして末長くファンに愛されるように維持していくフェイズに突入していくんだと思います。

 

まぁ自分もTwitter辞めて2年が経過して、マクレガー成分が薄まってきていて、格ヲタからは半分足を洗った身分になってしまったので、これからはのんびりと自分のペースで格闘技観戦を楽しんでいきたいと思っていますが、来年はそのマクレガーの復帰戦も控えていますし、彼にはもう一度夢を見させて欲しいなとファンとしては強く思っています。

 

ではでは、2024年もUFCを楽しんでいきましょう‼️