伊藤誠は貴方の心の中に潜んでいる〜「School Days」〜 | 銀玉戦士のアトリエ

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ABEMAで、あの伝説のドロドロ恋愛アニメ「Schools Days」が無料放送されていたので、全12話をイッキ見してしまいました。

(以下、アニメ本編のネタバレを大いに含みます↓)

 

 

 

知ってる人はご存知かと思いますが、この作品は最終回の結末が非常に衝撃的で、アニメファンの間では大きな話題性を呼んだ事でも有名です。

ざっと説明すると、主人公の少年(伊藤誠)が、桂言葉(かつら ことのは)と西園寺世界(さいおんじ せかい)という二人の女の子に二股掛けてしまった末に、最終回では二股掛けてた片方の女の子である世界に逆上され、誠は包丁で世界にメッタ刺しに刺殺されてしまいます。

で、誠が二股掛けてたもう一人の言葉に、世界は深夜の学校の屋上に呼び出され、誠への想いが強過ぎてヤンデレ化してしまった言葉に世界が刺殺されるという、とんでもねぇ結末の最終回でした。

ちなみにこの作品のリアルタイム放送時は、最終回の内容があまりにも衝撃的であるという事でTV局からは放送が見合わされ、代わりにTVでは船の映像に差し替えられていた事から、ネット上では「Nice Boat」と揶揄されました。

その後公開された「School Days」の最終回は大いに話題になり、やがてネット民たちの格好のネタの材料になっていきました。

特に、恋愛アニメ史上最低の主人公と揶揄され、二股掛けていた言葉と世界だけに留まらず、学校の不特定多数の女子と肉体関係を結んでいた伊藤誠が世界に刺殺されるシーンでは「逆にスカっとした」「誠氏ね」と多くのネット民から歓喜の声が上がっていました。

 

自分もこの最終回に関してはニコニコ動画等でネタにされていたのでよく知ってはいたのですが、アニメ全編を通じての視聴はまだだったわけです。

最終的に恋人の世界に刺殺されてしまう誠クンでありますが、こういう結末に到ってしまうのにもちゃんとした経緯と理由があるわけです。

それを知らずに最終回とあらすじだけを観て「誠氏ね‼️」「誠氏ね‼️」と騒いでいるのは、KOや一本のフィニッシュダイジェスト集だけを見て全てを知ったかのように勘違いしてると同じなので、ABEMAでクリスマスから一週間の間だけ無料放送されるという事で、試しに全話視聴してみたわけです。

というわけで「UFC Arist」今年最後となる本エントリーは、当格闘技ブログにおける試合解析のコンセプトに基づいて「何故に伊藤誠は(人生を)フィニッシュされるに到ったのか」「世界や言葉のTRIGGER😎⚡️を引かせてしまった動機とは何だったのか」というのを全話視聴した観点からの分析と、主人公である伊藤誠について考察していきたいと思います。

何で最後が「School Days」なんだって😝⁉️うるせーバーカ😝‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️文句ある奴は金屏風をバックに土下座🙇‍♀️🙇させてTRIGGER😎⚡️すっぞ😝💢‼️‼️‼️‼️Paaaaaang🍞🥖😝‼️‼️‼️‼️お前ら漢気😎🌹✨見せろや😝‼️‼️‼️

 

 

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まずは「School Days」主要登場人物の紹介から。

 

 

 

 

※伊藤誠(主人公・被害者)

彼女が居るにも関わらず、学校の複数の女子と片っ端から肉体関係を結んでいくという女性関係のだらしなさから、多くのアニメファンから顰蹙を買い、アニメ終了から15年経過した現在もなお「誠氏ね」とネット上でサンドバックにされている伝説のヒール主人公です。

・・・ですが、いかにもプレイボーイといった性格や容姿というわけではなく、どこにでも居る普通の高校生といった顔立ちです。

エヴァンゲリオンの碇シンジくんとか、恋愛シミュレーションゲームの主人公とか、純愛エロ漫画でもお馴染みの田中ユタカ作品に出てくる男の子って大体こういう優しい顔立ちをしていますが、いわゆるメインターゲットの視聴者層(=暇でモテないオタク君)が自己投影しやすいキャラクター像として、学生として平凡な性格、平凡な顔の主人公が採用される事が多いです。

で、あくまでも創作作品の主人公なので、現実とは違い作品上で主人公は複数のヒロインの女の子にモテモテな立場になっている事のほうが多いです。

 

伊藤誠も最初からゲスな性格だったというわけではなく、最初の頃は友達と仲良くやっていながら、恋に対してはやや奥手で不慣れだったという、ごく普通の高校生といった少年でした。

しかしながら、言葉と付き合っていながらも、高校で隣の席の世界と肉体関係を結んでしまった事により、状況は一変。

言葉と世界のどちらかを決められず二股関係をズルズルと続けてしまう優柔不断さや、何故か女の子のほうから誠に色目を掛けて近寄ってくるモテ男ぶりから、調子に乗って複数の女子と肉体関係を結んでしまい、更には相手の女の子の気持ちを考えない身勝手な性格が露呈するようになっていき、本人の知らず知らずのうちに言葉と世界を精神的にかなり追い詰めてしまうわけです。

前述した恋愛シミュレーションゲームの「平凡で優しい性格だけど女の子にモテモテ」な主人公像を逆手に取って、リアルな愛想劇をぶち込んだ挙げ句リアルに醜い性格が露呈してしまった最低の主人公と成り下がっていったのが、伊藤誠というキャラクターなのです。

アニメでは世界を妊娠させたにも関わらず(後に想像妊娠と判明)責任取らずに言葉に気持ちが再び傾いていった事から、世界に逆上されてしまい包丁で殺害され、死亡。

 

 

 

※桂 言葉(かつら ことのは・メインヒロイン1・加害者)

 

メインヒロインの一人で、誠の彼女。

容姿端麗、才色研磨のおっとりとしたお嬢様タイプの女の子で、90年代恋愛シミュレーションゲームの金字塔「ときめきメモリアル」のメインヒロインである藤崎詩織ポジションの完璧美少女です。

誠とは相思相愛の関係となりますが、誠が世界に浮気するようになってからは孤立を深めるようになっていきます。

それでも言葉は誠への想いを更に深めていくのですが、誠の気持ちは言葉から離れていき、やがて誠が世界に浮気している事実を知ると、着信拒否された誠あての携帯番号に独り言の電話を掛けるなど、精神崩壊に拍車が掛かってきます。

アニメでは誠を殺した世界を夜の学校の屋上に呼び出し、彼女を刺殺。ラストでは小さなヨットに乗って死んだ誠の生首を抱えて寝ている言葉の姿が映し出され、物語が終わる。

 

 

 

※西園寺 世界(さいおんじ せかい・メインヒロイン2・加害者/被害者)

 

メインヒロインその2で、誠の彼女。

誠とは学校の席が隣同士で、気兼ねなくよく喋る間柄。

誠が言葉と恋人同士になるよう仲を取り持ったり、恋愛に不慣れな誠に対してアドバイスをするなど、世話焼きの一面がありますが、同時に誠に対して秘めたる想いを抱いており、やがて二人は禁断の関係を結ぶ事となります。

「同じクラスで掛け合い漫才やっている友達同士がやがて恋人同士になる」というのも少女漫画の王道ではありますが、言葉との関係がややギクシャクしていた誠にとっては、普段から仲が良い上に恋人でもないのに簡単に自分の胸を触らせてくれる()世界に精神的に依存していく関係性になっていきます。

しかしながら誠も浮気症でハッキリしないので世界はそれに振り回されてしまい、やがて精神的な脆さを見せるようになっていきます。

アニメでは上述の通り誠を殺害するが、言葉に誠宛ての携帯で学校の屋上に呼び出され、彼女に刺殺される。

 

 

 

他にも誠と肉体関係を結んだ数名の女の子とか、言葉と半ば強引に肉体関係に到った澤永とかいうゲス野郎も居ますが、これらの人物に関しての紹介は割愛します。

 

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

ではここからは、普通の高校生だった誠・言葉・世界がどのような経緯で暗黒道へ堕ちていったのか、アニメのストーリーを辿りながら検証していきましょう。

 

 

 

 

 

主人公の伊藤誠は、以前から同じ通学電車に乗る桂言葉の事を気にかけていました。そんなある日、誠は学園に伝わる「好きな相手を携帯電話の待ち受け画面にして、3週間隠し通したら想いが叶う」というおまじないを実行したものの、その日の内に隣席の西園寺世界に見つかってしまいます。事情を知った世界はお詫びという名目で、誠と言葉の間を取り持つ事から、物語はスタートしていきます。

序盤の展開を見る限りでは、終盤のドロドロ劇を感じさせない爽やかでコミカルな恋愛アニメといった印象です。

誠もこの時はまだ交際経験ゼロの童貞で、言葉とのデートもぎこちなさや自己中心的な部分が垣間見えるも、二人の仲を取り持った世界のアドバイスを受けながら前進させようとしています。

 

言葉は大人しい性格で男性恐怖症の部分があり、誠とデートしていても気持ち的に噛み合わない部分がありますが、それでも誠のために手料理を作ったり自宅に招いたりと、彼女なりに誠意を尽くして、誠への愛を更に募らせていきます。

 

序盤の世界は世話焼きで明るい隣の席の女の子という好印象キャラクターです。

誠と世界の会話を聞いていると、誠を精神的に支えてあげられて相性も良いのは言葉よりも世界なのでは❓と思ってしまうのですが、彼女はあくまでも恋のキューピッド役。

しかしながら本心では誠の事を前から好きだと思っていて、1話のラストではファーストキスをしたりと、誠への想いが溢れ出て矛盾した行動に出る事があります。

この曖昧さが後に三人の立場を複雑化させていくわけですね。。。

 

 

 

誠は言葉と実際付き合ってみたものの、誠の未成熟さもあって性格的には言葉は誠にとって高嶺の花的な存在といった感じで、当初の好きだったという気持ちが変化してきます。

そして普段から隣の席で気兼ねなく喋っている世界に誠は「なんか言葉の相手をするのって、疲れる」と思わず本音を漏らしてしまいます。

ここから「School Days」の物語の転調が始まります。

 

 

それでも誠と言葉の仲を取り持とうとする世界は、誠に一線を越えさせて二人の恋を前進させてあげようと、「特訓」と称して誠に自分の胸を触らせてあげたり、(あくまでも練習だけど)あえて誠を誘惑するように仕向けていきます。

 

そういう事をやっちゃう世界もどうなん❓って思いますし、本心では誠への下心が丸見えではあるんですけどね(笑)。

これでは、誠の気持ちが言葉から世界に靡いてしまっても仕方がありません。誠でなくとも、普通のスケベ男子だったら大体そう考えますね(笑)。

 

そして、世界への想いが抑えられなくなってしまった誠は、世界に告白し、二人は禁断の逢瀬を重ねる事になっていくのです。

 

 

言葉寄りの視点から考えてみれば、言葉が男性恐怖症を克服しながらも彼女なりに一生懸命、誠との距離を縮めようと頑張っているのに、このゲス野郎は人の気持ちも考えないで浮気しやがって誠氏ね💢💢💢💢‼️‼️‼️‼️と思うのは当然でしょう。

 

ただ、最初は一目惚れでもお付き合いしていくうちに性格的に合わなくて恋が冷めてしまう、なんて事例は普通にあるわけで、それならそれで仕方がないですし、席が隣で気兼ねなく話が出来て、しかも付き合ってもいないのに胸を触らせてくれる()、世界のほうが「一緒に居てラク」だというのは、(この時は)決して肉体関係だけの話では無いんだと思います。言葉と今ひとつ噛み合わない誠は世界から恋のアドバイスを受けていたと同時に、世界に対して精神的に依存していったわけですね。

 

また、誠と言葉をお節介にも引き合わせておきながら、節目節目で誠への想いが抑えられずに彼を誘惑していった世界の曖昧さにも問題があります。

結局世界のこの矛盾した行動が、後の惨劇を招く第1のTRIGGERとなってしまうわけです。

誠の事が好きならば言葉と誠を引き合わせずに、ストレートに誠に告白すればいいわけですし、誠と言葉の恋を本気で応援しているのであれば、あくまでもそれに徹するべきでした。

 

 

それからの誠は世界と一緒に居る時間が長くなり、逆に言葉に対しては避けるようになっていきます。

罪悪感を感じた世界は言葉に誠との関係性を正直に話すよう、誠に促そうとしますが、誠は自分が傷付くのが怖いので答えを先送りします。

 

誠が言葉への気持ちが冷めていって、世界のほうを選んだのならばそれはそれで仕方がないと自分は思うのですが、だったら言葉に対してコレコレこういう経緯で別れます、ごめんなさい、と、それこそ金屏風😎の前で土下座🙇‍♀️してでもハッキリと自分の意思で別れを告げるべきなのですが、怖くてそれをやろうとしない。

 

 

自分も人間関係を構築するのが苦手な部類なので気持ちは分かるんですけど、言葉だけでなく世界のためにもちゃんとここはケジメを付けないといけないわけです。自由を謳歌するには責任が伴うわけですね。

結局のところ誠は、「責任」を取る事から逃げ続けてきたために言葉や世界を更に苦しめていって、最後はああなってしまったわけです。

恋愛のみならず人間関係や家族関係の構築、仕事でもそうですが、トラブルの対応には初期消火が何よりも大切です。ヒヤリ・ハット、定期点検。

面倒だからと後回し後回しにしてしまうと、傷口は更に広がっていきます。

 

 

そうこうしている内に、屋上での誠と世界の会話を偶然聞いてしまった言葉は、二人の関係性を知ってしまうわけです。

 

言葉から気持ちが離れていった誠とは対照的に、言葉は最初の頃よりも誠への想いが更に強くなっていました。

 

そして、三人の関係性を知った世界の友達、刹那が登場、

親友である世界のためを思った刹那は、誠と言葉はもう別れたからとクラスの前で宣言し、誠の携帯を取って言葉を着信拒否して、二人を合わせないようにしました。

 

刹那も世界の事を想ってこういう行動に出たわけですが、結果的にこれが悪手だったように思います。

言葉は美人ですが浮世離れしていて、クラスでも友達が居なくて女子にいじめられている状態。

そんな言葉にとって、自分に好意を抱いてくれ(た)誠はまさに白馬に乗った王子様のような存在だったのでしょう。

誠の気持ちが自分から離れていっているにも関わらず想いを募らせて「誠くんの彼女は私です」とあくまでも言い張る言葉もまた、誠に精神的に依存してしまっている状態で、更に追い打ちを掛けるかのように着信拒否されたら、言葉は完全に孤立してしまうわけです。

で、刹那も刹那で実は誠に秘めたる想いを抱いていて(どんだけ誠はモテるんだよ・・・w)、自身のフランス行きが決まる前日に、寝ている誠にそっとキスをしていたところを言葉に見られてしまったりと、火に油を注いでしまった感があります。

 

刹那も言葉へのアフターフォローまで含めて上手に立ち回っていれば、もしかしたら最終回の惨劇を防げたかもしれないダントツのMVPキャラになっていたでしょうが、いかんせん口数の少ない舌ったらずなキャラクターなので、そこまでには至らなかった感があります。

 

第三者の立場である刹那が本来やるべきだった事は、誠に対して、オノレの優柔不断さといい加減さと鈍感さが結果的に世界と言葉を無自覚に苦しめているんだという事をハッキリと、ハッキリと突き付けて本気で怒ってやって、二人の前で金屏風😎をバックに土下座🙇‍♀️させるよう強要して促す事と、孤立している言葉に声を掛けてあげる事です。

 

原作であるゲーム版では、言葉と刹那が仲良くなるルートが存在しているみたいだけどね。

 

 

物語は佳境を迎え、誠のだらしなさとゲスっぷり、世界の精神崩壊、完全孤立した言葉のヤンデレ化に更に拍車が掛かっていきます。

 

 

責任から逃れてるクセに、性欲だけは人一倍の誠は、向こうから関係性を求めてくる学校の女子達に片っ端から手を出していきます。こうも簡単に誠なんぞとヤラせてくれる女子が学校に多く居るっていうのも異常な世界観ではありますが、だからこそ誠は「女ってこうも簡単に股を開いてくれるんだ・・・‼️」と思ってしまい、更に更にスポイルされていくのです。

世界は、誠が中学の同級生だった乙女に浮気していた事を知り、更に精神的な支柱だった刹那が居なくなってしまった事で、ショックで寝込むようになり学校に来なくなっていきます。

そして妊娠したかもしれないと誠に告げますが、誠はいつもの責任逃れで逃げ腰の態度を取ります。うわ・・・「けつあな確定」が今年の流行語大賞に選ばれたどこぞの有名プロ野球選手と同じやん。

誠を世界に奪われ、ゲス野郎の澤永に強引に犯され、ヤンデレ化していった言葉は、繋がらない誠との携帯電話に向かって独り言を発したりと、異常行動が目立っていきます。

しかしながら世界への妊娠がバレてしまった事で学校の女子から結局総スカンを喰らい、孤立していった誠と偶然会った事で、二人は再び寄りを戻していきます。

だがその一方で世界は妊娠(後に想像妊娠と判明)しているわけで・・・

 

 

こうなってしまうと、もう取り返しの付かない状態です。

もう一度言いますが、トラブルの対応には初期消火が何よりも大切です。ヒヤリ・ハット、定期点検。

面倒だからと後回し後回しにしてしまうと、傷口は更に広がっていきます。

 

 

世界に問い詰められるも、誠は逆ギレし、

 

「何で子供なんて作ったんだよ!?」
「何でみんなの前であんなこと言ったんだよ!?」
「いきなり子供なんて言われたって、俺どうしていいかわからないよ!!」
「もういいから帰ってくれよ!彼女ヅラして家に居座らないでくれよ!」

 

と吐き捨てる始末。

 

更には誠と言葉のキスを目の前で見せつけられてしまい、世界は・・・

 

後はこうなってしまいました。

 

 

 

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

改めて「School Days」を全話視聴してみると、誠、世界、言葉の3人の人生の歯車が狂っていく過程が丹念に描かれた、素晴らしい作品でした。

その集大成とも言うべきあの結末も、日本のアニメ史に今後100年以上は残り続けるであろう完璧なバットエンドです。

 

そして、特に終盤に掛けては自分勝手、責任転嫁、性欲の権化と化した醜悪なキャラクターとして描かれていて、それが多くの視聴者のヘイトを買っていた伊藤誠という主人公は、悪い意味でかなり人間臭いキャラクターだなと感じました。

アニメキャラではまず他では見かける事は無いでしょうけど、誠のように相手を勝手に妊娠させても堕ろすように強要する奴はけつあな確(ryのケースに代表されるように現実の世界でも居ますし、交際相手が居るのに自分の都合の良い不特定多数の異性とセックスに及ぶ、いわゆるヤリチンとかビッチと呼ばれる層も然りです。

若い頃に、ブラックコーヒーとタバスコと青汁とパクチーをぶち込んだようなドス苦い恋愛経験がある人は、終盤の誠の身勝手で怠惰な行動と言動を見るとグサグサと胸に突き刺さるのではないでしょうか。

 

伊藤誠の紹介文でも書きましたが、彼も最初の頃は普通の高校生活を送っていましたし、顔立ちも特別にイケメンというわけでもなく、どこにでも居る普通の高校生といった感じです。

男性向けの恋愛ゲームやハーレム系の恋愛マンガの場合、メインターゲットの視聴者層(=暇でモテないオタク君)が自己投影しやすいキャラクター像として、誠のように学生として平凡な性格、平凡な顔の主人公が採用される事が多いです。

で、あくまでも創作作品の主人公なので、現実とは違い作品上で主人公は複数のヒロインの女の子にモテモテな立場になっている事のほうが多いです。

そういう意味では、「ToLOVEる」のような既存のハーレム系漫画も、「School  Days」も共通しているわけですが、違うのは「School Days」には生々しくもリアルな人間の感情と、愛憎劇の人間関係が存在しているという点です。

 

伊藤誠がアンチにヘイトを買うようなクズ人間に成り下がっていったのも、「女の子にモテる努力を全くしていないにも関わらず、複数の女の子が何故か誠に好意を寄せてくる」というあの特殊な環境がそうさせていった部分はあると思います。

 

ジャニーズ系のイケメンでもない限り、平凡な学生生活を送っている大多数の人間ならば、あそこまで一方的にクラスの女の子にモテモテになるような事はあり得ないわけです。

せいぜい自分に好意を寄せているクラスメートは1人か2人、私もそうでしたが学生時代に異性との交際経験がゼロだったという人も珍しくはないはずです。

 

でも、そんなモテない学生くんだって普通に性欲が備わっていますし、誠のようにカワイイ女の子を見るとあれこれ構わず性的な目で見てしまうのは、15歳前後くらいのあの年頃の少年たちならば特に当たり前のようにやっている事です。

ただ、現実でそういう欲望の妄想を本気で実行してしまうと女の子に嫌われてしまいますし、社会的に抹殺されかねないですし、だからこそ私たちは理性という名の重石で己の欲望に蓋をしているのです。

 

「School Days」の感想をネットサーフィンで漁っていると、大体が主人公である伊藤誠への嫌悪感を綴った感想で溢れ返っているわけですが、その中でたまに「自分がもし誠のようにモテモテだったら同じような事をしていたかもしれない」という意見が強く目に止まりました。

 

確かに、自分が誠の立場になってみて、あれだけ一方的に自分に対して好意を寄せてくるカワイイ女の子が数多くいるあの環境下ならば、自分の欲望が抑えられなくなってしまって、誠のように勘違いしてしまうのも無理はないのかもしれません。

誠がどんなに視聴者から顰蹙を買うようなクズ人間でも、少なくとも言葉と世界はずっと誠を好きで居てくれるわけですし、相手を繋ぎ止めるために相手の気持ちを想って自ら努力するという作業を放棄しても別に構わないわけです。

 

そして、自分勝手で流され易くて優柔不断で傷つくのが怖い、という誠のキャラクターも、いかにも90年代に批判されていた碇シンジくん的な内気な若者像、オタク像をそのままなぞったものです。

 

こうして考察してみると、「School Days」という作品は、世のモテない男性の自己投影の対象となっている美少女ゲームやハーレム系漫画の主人公像を逆手に取った、大いなる皮肉であると言えるかもしれません。

もしも貴方が「School Days」の世界に飛ばされて「伊藤誠」に転生したら、ごく普通の生活を送っている世の男性方も誠と同じような愚行をやっていたのかもしれない・・・。

自分は誠のような恋愛境遇や修羅場とは無縁の人生を送ってきたわけですが、それでも伊藤誠というキャラクターをどうしても嫌いになれず、身に積まされてしまうのは、彼の狡くて弱い感情も含めて自己投影してしまう部分があるからだと思っています。

 

 

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

人間は生まれた時代、環境、国、自分の周囲を取り巻く人間関係、そして自分が選んだ人生の選択肢によって、自分の性格というものが形成され、大なり小なり、良い方向にも悪い方向にも変化していくものです。

 

「School Days」の原作はエロゲーで、プレイヤー(=伊藤誠)の選択肢によって複数のハッピーエンドとバットエンドが用意されています。

アニメ版のあの最終回だけがやたら世間では印象が強く残っていて、あの結末こそが「School  Days」という作品の「正史」に思われている節があるようです。

しかし私は、あの結末もゲーム版にある複数のエンディングの中の一つで、物語は再び振り出しに戻って、違う選択肢の物語へとループしていくのだと思っています。

アニメ版のラストのエピローグでは、1話冒頭のシーンと同じ誠の独白と共に、穏やかな学校生活のシーンで幕を閉じるわけですが、あれは「School  Days」が「シンエヴァ」や「FF零式」と同じく、ループ世界である事を示唆しているんだと自分では勝手に解釈しています。

 

 

アニメ版終了後に発売された外伝的作品「マジカルハート⭐️こころちゃん」では、アニメ本編のドロドロ展開からは考えられない程、コミカルタッチな作風となっています。

 

そこで登場する誠は本編終盤のゲスっぷりからは考えられない程の真人間になっていて、空から落ちてくるヒロインを自ら身を挺して助けるというカッコいいシーンが用意されていたりします。

 

また、原作であるゲームのエンディングの一つには、クラスの女子にいじめられている言葉を誠が助けて、二人が結ばれるという結末も用意されています。

アニメ版の伊藤誠しかしらない人がこの結末を見て「なんていい奴なんだ、こんなの自分の知っている誠ではない」と感想を述べていましたが、誠だって元々は非行に走っている様子もない「ごく普通の高校生」なので、こういう結末もありうるわけですね。

 

 

こちらはPS2版の特典アニメ。誠のモテっぷり+優柔不断も「ToLOVEる」みたくコミカルに描けばこうも見方が違ってくるわけです。

 

 

 

 

 

「最適の選択肢を選べば運命は変えられる」みたいな事を誠はOVAの劇中で語っていますが、例えば恋愛だけに限らず人との出逢いによって自分の人生が大きく変わっていくように、それ次第で人は善にでも悪にでもなれるのです。

 

 

 

 

このOVA作品も、「School Days」の数あるループ世界の中の一つなのかもしれませんね。

 

アニメのあの結末だって誠だけでなく世界も死んでいますからね。

で、唯一生き残った言葉も警察に逮捕されるでしょうし、世界を殺した罪と誠を失った悲しみを一生背負って生きていくという、死よりも重い罰が待ち受けているわけです。

まぁ、15年も経過しているわけですし、そろそろ「誠氏ね」の呪縛からキャラクター達を解き放ってあげて欲しいです。中々難しいだろうけど(笑)。

一応、ゲームの中のハッピーエンドの結末に終わるエンディング動画を貼って、長文を最後とさせて頂きましょう。

 

 

 

 

 

それではよいお年を。