☆2022年5月 月間MVP☆
🇺🇸マイケル・チャンドラー🇺🇸(元Bellatorライト級王者)
【UFC274 VSトニー・ファーガソン戦 dif2RKO勝利】
世界第2位のMMA団体Bellatorの看板選手であり、元Bellatorライト級王者の肩書きを引っ提げて昨年UFCデビューを果たし、タイトルマッチにも挑戦したマイケル・チャンドラーが、元UFCライト級暫定王者トニー・ファーガソンに挑む。
ライト級トップランカーだけにハードなマッチメイクをこなしてきたものの、両選手共に連敗中だけに負けられない一戦だ。
1R、チャンドラーはオーソドックスに、ファーガソンはサウスポーに構える。
チャンドラーが左ジャブを見せ、ファーガソンも左ミドルを腕に当てる。
左カーフキックをヒットさせるチャンドラー。リーチが長くサウスポー構えながらも低重心のファーガソンを下から崩そうとする。
しかし、ファーガソンはチャンドラーの踏み込みに左ストレートを合わせてダウンを奪う。
すかさずプレスを掛けていって左ミドル、左ストレートをヒットさせるファーガソン。畳み掛ける際にもあくまでもチャンドラーの距離よりも遠目のリーチを活かした打撃を心掛け、必要以上に深追いはしない。
ファーガソン優勢の展開ながらも、右ストレートから左フック、右ボディストレートと打撃をヒットさせるチャンドラー。チャンドラーのパンチをサイドステップでかわすファーガソン、ここで体位が入れ替わるような形でチャンドラーがオクタゴンのスペースを広く使える中央のポジションを取り、即座にタックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。
ケージ際にファーガソンを押し込み、強烈なパウンドを打っていくチャンドラー。
ファーガソンが蹴り上げで突き放すもチャンドラーは直ぐ様ケージに押さえ付け、下からの三角も外して強烈な右エルボーでファーガソンの左瞼をカットさせる。
その後も上からパウンドを打ち下ろしていったチャンドラー。ダウンを奪われながらもチャンドラーがワンチャンスで流れを変えた互角のラウンドだったと言えよう。
2R、ファーガソンがスイッチしてサイドステップする。
ファーガソンにとってふと気を抜いたその瞬間、チャンドラーの右の上段前蹴りがファーガソンの顎を打ち抜き、その瞬間意識を失ったファーガソンが前のめりに倒れる。
サイドステップで動く相手に、距離設定、位置取り、タイミング全てが合致していないと当てる事すら困難な前蹴りを顎にヒットさせるという高等テクニックで、UFCライト級トップファイターの一人であるトニー・ファーガソンを見事にKOしたマイケル・チャンドラーが、勝利の瞬間に歓喜のバク宙を舞った。
大学時代はレスリングでオールアメリカンに選出された実力者で、2009年にMMAデビュー。
2011年11月に当時ベラトールライト級王者だったエディ・アルバレスに挑戦し、4R一本勝ちを納め、王者に戴冠する。
素早い踏み込みから繰り出される強烈な打撃と、レスリング仕込みのグラウンド技術を武器に数々のKO、一本勝ちを納め、またファンを熱狂させる激闘を繰り広げる事から、ベラトールの看板選手として注目を集め、その実力は当時からUFC王者にも匹敵すると評価されていた。
2020年、MMAファンがかねてから待ち望んでいたUFCとの正式契約を結び、2021年1月にUFCデビュー。
当時ランキング6位のダン・フッカーをスイッチからの左フックで一発KOする鮮烈デビューを果たす。
同年5月にチャールズ・オリベイラとライト級王座決定戦に挑み、2RTKO負けを喫するも、11月にジャスティン・ゲイジーと年間最高試合クラスの大激闘を演じ、ファンを虜にしていった。
レスリングで鍛え上げた強靭なフィジカルと足腰の強さから、素早い踏み込みで一気に距離を詰めての強烈な右のオーバーハンドが最大の武器だ。
加えて構えを左右にスイッチしながら、左右どちらでもKOできるパンチとコンビネーションも持っており、プレッシャーを掛けていった時の打撃戦の強さは世界トップレベルと言える。
打撃の踏み込みと同じモーションからの素早いタックルでテイクダウンを奪い、高いレスリング能力に培われたトップキープ能力と強烈なパウンドでグラウンドでも相手にダメージを与え、あわよくば一本勝ちも決める事が出来る。
年間ベストKO賞に確実に選出されるであろう鮮烈なKO劇でファンの度肝を抜かせた歴戦の勇士は、UFCのベルトを虎視眈々と狙ってゆく。