2020年12月のMVP | 銀玉戦士のアトリエ

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☆2020年12月 月間MVP☆

 

🇺🇸スティーブン・トンプソン🇺🇸(UFCウェルター級)

 

【UFC FIGHT NIGHT VS ジェフ・ニール戦 dif5R判定勝利】

 

UFCウェルター級5位、空手ベースのスティーブン・トンプソンが、コンテンダーシリーズ出身で現在7連勝中、ランキング11位のジェフ・ニールに挑む。

下克上を狙う相手に、トンプソンはきっちりと勝利を納めてトップ戦線に踏み止まれるか。

 

 

1R、まずはワイドスタンスでガードを下げ、オーソドックスに構えるトンプソン。

ニールはいつものサウスポー構えでガードを高く上げ、ロングレンジで一定の距離を取りつつプレッシャーを掛けてゆく。

トンプソンは下がりながらもサイドキックや右ミドルで突き放そうとするが、トンプソンの蹴りの距離になるとバックステップで下がるニール。ニールは今回はあまり手数を出さず、様子見でトンプソンの隙を伺ってゆく。

トンプソンがサウスポーにスイッチし、右フック、サイドフックを当てる。そして左ストレートのカウンターを当て、強烈な右ハイキックをガードさせる。

距離を詰めてカウンターを狙いたいニール。ラウンド終了間際、両者がカウンターを狙う交錯時に頭をバッティングし、両者共に出血する。

 

2R、小刻みなフットワークのフェイントを入れるニール。変幻自在の打撃スタイルのトンプソンに少しでも揺さぶりを掛けたいところ。

トンプソンがサイドステップしながら下がって、金網に近い距離になったところへニールが金網にトンプソンを押し付け、右の脇を差す。

トンプソンはここで削られないよう上手く逃れてスタンドに戻り、バックステップから右ストレートのカウンターをヒットさせる。

トンプソンのカウンターの左ジャブが、ニールの右目を的確に狙う。この攻撃でニールが右目を負傷したのか、それを気にしてガードを内側に覆うシーンが多くなる。トンプソンは右ミドル、ハイキックと放っていき、ステップインしながらの右ストレートをガードの中央に突き刺し、すかさずサイドステップでポジションを変え、ブロックの隙間を狙って負傷した右目を狙い、左フックを当てる。

終盤、ニールがケージに詰め、左ストレートをヒットさせるも、金網を背負いながら細かくパンチを打ってガードさせ、その硬直の隙を狙ってサイドステップで脱出するトンプソン。

ニールの右目を負傷させる左ストレートをヒットさせた事で試合の主導権を握り始めたトンプソンが、このラウンドを取る。

 

右目が見えない状態でもガードを上げてプレッシャーを掛けていき、何とかビックヒットに繋げていきたいニール。

だがトンプソンは3Rに右ミドルから右ストレートを当て、なおもプレッシャーを掛けるニールを誘い、下がりながら右ストレートのカウンターを当ててゆく。

4Rにはサウスポーにスイッチしての右ストレート、ステップインしての右のショートエルボー、右のテンカオと更に攻撃のバリエーションが増して行く。

トンプソンは細かいフェイントとパンチを繰り出す事によってニールに反射的にブロッキングさせ、ブロックの隙間への攻撃や、硬直時間の隙を見てサイドステップで素早くポジションを変える。

トンプソンの両構えのスタンスから繰り出される予測不能な攻撃と、打ったら直ぐにポジションを変える、を徹底した素早いフットワークは3R以降も冴え渡り、狭い視界で戦わざるを得ないニールは、トンプソンの動きが追い切れない状態だ。

だが4R終盤にトンプソンを金網に押し込んだニール。ラウンド終了後、トンプソンが足を引きずる動作を見せ、どうやら試合中に足を怪我した様子である。

 

最終5R、苦悶の表情を浮かべながらもファイティングポーズを出して試合に挑むトンプソン。

ニールも片目が見えない中で勝利への執念を燃やし、左ストレートをヒットさせるが、トンプソンも打ち合いに応じて両者のパンチが交錯する。

足の怪我の影響からか、フットワーク中に少しバランスを崩す場面が見られるトンプソン。

だがアドレナリンを出して気力を振り絞り、相手に的確にダメージを与えて弱点を突いていく「攻めのアウトボクシング」を展開する。

愚直にワンツー、左ストレートを狙うニール。

下がりながらワンツーを当ててサイドに回り、ガードの隙間にショートアッパー、右フックをヒットさせるトンプソン。

終盤、両者の後手のカウンターがヒットし、互いに試合中に負傷しながらも死力を尽くして5Rフルに戦い抜いた両者の試合は、判定フルマークでスティーブン・トンプソンが上げられ、2020年最後のUFC興行、最後のメインイベントを見事な勝利で飾った。

 

⭐️スティーブン・トンプソン  ハイライト動画🔜https://youtu.be/ilBENf9qQvE ⭐️

 

 

幼少の頃から父親の道場で空手を習い、キックボクシングに転向。ロープのない円形のマットで行われるローキック禁止のアメリカンキックボクシングルールにて、プロアマ合わせて56戦無敗の戦績を引っ提げてMMAに転向する。

広いオクタゴンで繰り広げられるスタンドの攻防は彼の打撃スタイルとの互換性が高く、激戦区であるUFCウェルター級でも勝ち星を重ねるようになった。

その実力は元UFCウェルター級絶対王者であったジョルジュ・サンピエールをして『MMAにおいて世界トップクラスの打撃スキル』と言わしめた。

両構えが可能な伝統派空手のステップから繰り出されるパンチは伸びがあり、無駄な力みが無くモーションが消えるので、相手からしたら察知しずらい技である。

更には通常のキックボクシングとは違うタイミング・角度から繰り出される独特のコンビネーション、前後左右に動く巧みなフットワーク、バックスピンキックやサイドキックや掛け蹴りといった七色の蹴り技を駆使する事で相手を翻弄させ、KOを狙う。

ノーガードスタイルでありながらもディフェンス力と距離感に長けており、相手の打撃を外しつつもリターンでカウンターをヒットさせるのが特徴だ。

テイクダウンディフェンスや寝技の技術も向上の跡が見られ、元カレッジレスラーであったジェイク・エレンバーガーをトップキープで支配するまでに到っている。

容姿端麗のイケメンで、華のある勝ち方が魅力のトンプソン。

37歳という年齢だが未だ衰えを知らない強さを武器に、強豪レスラーや個性豊かなキャラクターの選手達がひしめくUFCウェルター級で、華麗なる足技で王座獲りを狙う。