久しぶりに比較的新しい映画を観れた気がします。

日本アカデミー賞を獲っていて、レビューを見ると評判がよかったのでAmazon primeで観てみました。


最初、というか始まって1時間半くらいはダルいです。

ちょっと途中で「観るのやめようかな」と思いました。

低予算らしく仕方ないところではありますが、全体的に安っぽいです。

主要キャスト以外の役者は、演技のための演技というか、教科書に乗っている基本をそのままやったような演技であまり面白みがありませんでした。

やっぱり名前が知られている俳優さんって基本をベースに工夫して演技しているから面白いんだな、って感じました。

低予算でそういう役者さんを呼べなかったんでしょうけど、それが安っぽさを際立たせましたね。

笑いの部分もちょっと寒くて。

斬られて歌舞伎の真似をするシーンや、"滑る" "落ちる" を言わないようにってシーンは観ていて辛かったです。

ベタな笑いは好きですけど、なんかこの映画の笑いにはハマりませんでした。

よかったのは、現代にタイムスリップしてきた侍がヒーローではなく斬られ役を選んだという設定と、ケーキを食べて多くの国民がこれだけ美味しいものを普通に食べれるようになったことに感動するシーンくらいでした。

この空気で1時間半続くので、ちょっとキツかったですね。


ラスト30分の展開はよかったですね。

ちょっと予想できた展開でしたけど、自分好みのバッドエンドの匂いがして。

そして最後の殺陣は緊張感がすごかったです。

刀を交える前の動きも音もない睨み合いのシーンをあれだけ長く入れた映画って他にもあるんでしょうか?

Wi-Fiの調子悪くてフリーズしたのかと思いましたから 笑

けど、そのシーンが観る者に緊張感を与えてくれたと思います。

そしてバッドエンド…と思わせておいてのハッピーエンド。

先ほどバッドエンドが好みみたいに書きましたが、殺陣の途中から「両方死なないでくれ」って願うようにもなっていました。

昔からバッドエンドの映画が好きだったんですけど、なんか最近は辛くなってきたんですかね?笑

年齢のせいなのか分かりませんけど、今の精神状態ではハッピーエンドでよかったと思えました。

そもそも僕自身は映画にハッピーエンドとバッドエンドのどちらを求めているんだろうかと考えてしまいました。

思いつくところでいえば『セブン』とか『ダークナイト』とか好きなんですけど、『バッファロー66』みたいなイヤな終わり方をすると思わせながらハッピーエンドになるのも好きだったな、と思ったり。

この映画で言うと、両方生存するこのハッピーエンドに個人的には好感が持てましたが、どちらかが死んだらどうだったんでしょうか?

それもどちらが死んで、どういう締め方をするかでこの映画の印象が大きく変わってきそうな気がします。

今の自分がハッピーエンドとバッドエンドどちらを面白く感じるかは、これから観る映画に持つ感想で自己分析していけそうです。


そんな最後の決闘もどこか物足りなく感じました。

多分、人間関係の描写が少なかったせいだと思います。

時間や予算の都合上、仕方なかったのかもしれませんけどね。

決闘をする2人はタイムスリップする前からもっと関わっていた方がこの決闘の重みが出たんじゃないでしょうか。

さらに言えば、真剣での撮影を許可した監督も実はタイムスリッパーで、タイムスリップ前に2人に大きく関わっていたようにしてもよかった気がします。

普通、撮影で真剣で決闘させるなんて、責任問題とか考えたら簡単に許可出せませんからね。

そういうのを取っ払ってでも2人には真剣で戦わせたい、という思いが伝わるようなシーンがあったら最後の30分はもっと重みがあるシーンになったんじゃないでしょうか。


これまで書いたことから、この映画に十分な予算があればもっと素晴らしい映画になったんじゃないでしょうか。

ストーリー作りは上手いと思うので、いい役者や撮影技術やいろいろなものを揃えて次作にさらにいい映画を作って欲しいと思える監督さんだと思います。


最後に、この映画で本当のタイムスリッパーは助監督役の女性なのではないかと思うくらいの事実が判明するので、よかったら調べてみてください 笑